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志の時代とSDGs #時代の潮目

緊急事態宣言解除を目前にして久しぶりの九州に出張に向かっています。今回は私が参画している「実業で社会課題を解決する」をスローガンに掲げた中小企業の経営者が集う団体「経営実践研究会」の活動で福岡の IT企業を訪問して自立支援型の障がい者雇用の企業で日本一高い障がい者所得を実現されているその志とロジックをレクチャーしてもらうのが目的です。その事業所で実現されている課題解決は私が創業の志に掲げた「職人の社会的地位の向上」と非常に近しい面があると感じて、こんなご時世ではありますが博多まで足を伸ばしリアルに訪問させて頂くことにしました。

時代の潮目

最近、明らかに時代の潮目が変わっていると感じることが少なからずあります。風の時代に移ったとか、西洋と東洋の文明隆盛の転換期に入ったとか、統計学の世界でも時代の転換の理由が取り沙汰されていますが、私個人の印象はなんといってもIT,情報革命が本格的に進み、今まで知り得なかった情報をたくさんの人が知ることになり、考えなかったことを考えるようになったことが大きな影響を与えているように思います。毎週水曜日の朝に参加している朝活のmtgで、最近入会された企業主導型保育園を経営されている経営者が自己紹介がてら口にされたのは、経営者として事業を行っているが、金儲けよりも社会課題の解決の方が興味がある。との言葉でした。なんて素晴らしい志を持っておられるのだと称賛の声が上がっておりましたが、実はその考え方は特異なものではなく、ごく一般的な経営者の感覚になってきていると肌で感じています。経営実践研究会という団体では明確に本業を通して社会の問題を解決するための実践と研究、そして伝播を行うことに会の目的を明確にしておりますし、その理念に賛同された企業が毎日のように新規会員として入会されて急激に組織を拡大し続けています。

オールド・スタンダード

これまでの昭和から平成の高度成長期からバブル経済崩壊、そして閉塞感漂う失われた20年と呼ばれた経済の低成長期を過ごしてきた日本では明らかにこれまでの延長線上では解決できない課題が数多くあることが顕著になりました。暗いトンネルの出口の光は、拝金主義、世界がカップリングすることで強者に富が集まる新自由主義、金が金を産み続ける金融資本主義のパラダイムでは見えないと多くの人が感じて、カネではないもっと大切なモノがあるのではないかと気づき始めたのではないかと思っています。ただ、その様な考え方は別段新しい概念でもなんでもなく、今話題の大河ドラマ「晴天を衝く」の主人公、渋沢栄一がその著書「論語と算盤」の中でも経済と倫理観に基づいた社会に溢れる問題解決を同時に行うべきだと示されていますし、明治から昭和の日本人に大きな影響を与えた二宮尊徳先生は「道徳なき経済は罪であり、経済なき道徳は寝言である。」と、善き心を実践する企業の在り方と事業を存続させる収益を上げる活動は表裏一体であると述べられています。高い志掲げて事業に取り組むのはそもそも特異な事ではなく、少し経営の勉強をすれば見えてくる元々事業の在るべき姿なのです。

忘れられた叡智

しかし、昭和から平成にかけて日本を呑み込んだ金満主義はそんな原則をすっかり吹き飛ばし、カネこそが唯一信じられるものであるかの様な錯覚を世の中に充満させました。それが令和になり、情報の流通量が圧倒的に増加したことにより当たり前のことに多くの人が気がつき始めたのではないかと思っています。10年ほど前、まだYouTubeがこの世に出始めた頃に日本を代表する哲学者の田坂広志先生が寓話仕立ての音声だけの動画で本当に大事なものは目に見えないものであると語られていました。そこでは知識資本、関係資本、信頼資本、評判資本、文化資本、共感資本と金銭以外の資本の大切さとそれは日本だけではなく、世界各国に備わって大事にされてきたもので、今の株主中心の資本主義経済によって駆逐され、忘れられた叡智を取り戻すことが閉塞感に満ちた世の中を変えて、希望が溢れる持続可能な循環型社会に変えると予言されていました。もう随分前になりますが、私はその動画を観て、孔子による論語を源流とした上杉鷹山が実際の経済政策で実証した、事業者自身が在り方を見つめ直し、目的と存在意義を明確にして事業に取り組むことで市場から存在を許されて持続可能な経営を実現できるとの原理原則に基づいた経営論が決して新しい概念ではなく、昔ながらのスタンダードだったのを再認識したのでした。


在り方の時代

この動画を見た10年程前には、これから時代は大きく変わるのだとの予感を持ちました。そして今、明らかに時代の潮目が大きく変わったのを肌身で感じます。その顕著な例の一つとしてSDGsが一時の流行りではなく、その価値観と考え方はいよいよ社会に浸透してきたことがあります。私が理事を務めている地域団体「NPO法人ひょうご安心リフォーム推進委員会」なるリフォーム事業者が集まって地域で安心で安全なリフォーム工事ができる環境を整えることを目的にした啓蒙団体で毎年行われる認定資格の更新研修会の今年のテーマもSDGsを取り上げることになりました。これまでは集客や提案、ブランディング等に圧倒的な強みを持つ事業所の経営舎を招聘して「やり方」ばかりを熱心に学ぶ傾向が強かったこの団体で、企業の「在り方」についての研修を行うことになったのは非常に大きな変化だと感じました。SDGsを経営計画の中に取り込んで明確な目標を設定して取り組んでおられる経営者をお呼びして、会員企業が持続可能な社会実現のための取り組みをスタートさせる機会にしたいと思っています。完全に潮目が変わったと思うのです。ちなみに、SDGsが国連で採択された直後はちょっとしたブームのような風潮もあり、改めて取り組むのに気恥ずかしい照れみたいなものがあったのは否めません。しかし、今はもうそんなうがった見方をせずに良いことは良いと認め、真摯に向き合える時代になったと思うのです。以下に2年前の全国工務店協会の全国大会の際に一度私たちがSDGsに対しての取り組みをまとめたブログと新しい変化を受け入れようとのBTSの国連でのスピーチ動画を転載しておきます。

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新しい時代に適応する人材育成を行っています。





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