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サスティナブル経営とみんな化

近年、経営環境の大きな変化に対応して事業モデルを考え直す必要に迫られていると考える経営者が増えている、と言うより殆どの経営者、経営幹部の方はVUCAと言われる先行き不透明な時代に危機感を募らせてこれまでの延長線上にこれからは無く、何かしらの変化をしなければと考えていると思います。事業再構築を行うにあたっては生業を変えるくらいの勢いで事業ドメイン自体の見直しを行うべきだと言われますが、同時に人材開発、組織の再編、もしくは組織の在り方自体を見直すべきだと気づき、組織論を熱心に学ぶ方が増えていると感じています。

激動の世界への対応

私が代表を務めている株式会社四方継では3年前の第20期目のスタートに合わせて、その前の1年間をかけて事業と組織の見直しをスタッフと共に行いました。世の中が大きな転換期を無かるにあたり、自分たちの内面に目を向け、これからの新しい世界にどのように向き合うかを繰り返し話し合い、そして皆で考えました。その中で見出されたインサイトは、「信頼関係に結ばれた人とだけ丁寧に価値あるモノづくりの仕事がしたい。」とのごく当たり前ではあるが、簡単ではない状態を整えることでした。その結果、建築会社として、顧客の要望に耳を傾け、ライフスタイルの提案を行って建築請負をする事業から脱出し、建築とは関係のない分野までフィールドを広げ、地域の住民の普段の暮らしを良くする活動を通して信頼で結ばれるコミュニティー作りを行うのを事業ドメインに改めました。脱、建築へのリブランディングを行ったのです。

同時進行させた組織改革

そのような新たな取り組みと同時進行で進めたのが進化型組織への移行です。それ以前から、私たちは大工と設計士が集まった専門家集団としての最適な組織を探究し、試行錯誤しながら様々な形に変容を繰り返していました。大きな流れは個々のメンバーがやりたいことをやりながら、現場価値創造を叶えて顧客からの圧倒的な信頼を得ることで持続可能なビジネスモデルを成り立たせる、自律分散型の組織へ変わることで、プロジェクト事に大工と設計のメンバーが集まって協力し、その事業が終わると解散を繰り返しながら誰にも負荷が偏らない全体最適を目指す組織形態です。
また、役割等級制度とキャリアパスの表を運用しながらリーダー層、マネジメント層のメンバーによる事業所全体の運営にも徐々にシフトして、その延長線上に事業承継を行うことを決めて、社名と事業ドメインを変更した際に私が持っている株式の30%をスタッフに譲渡して、2026年には100%の株を譲渡すると宣言して事業承継プロジェクトを進めています。

組織の民主化

現在、5名のマネジメント層のメンバーに対して事業承継のプロジェクトを行っており、毎月、ロードマップに沿ったmtgを繰り返しています。私は念頭の全体会議で今年の大きなテーマに「民主化 democracy」と掲げましたが、そもそも合議制の民主的な事業所を目指して事業承継のプロセスを進めて来ました。その指針として採用しているのが手放す経営laboratoryが発行している無料テキストのDXOです。
このテキストには管理する側とされる側を作らず、個々の良心や判断に委ねる、給与も自分達で決めるし、経費の使い方も自分たちで決める、全く自由な働く環境を維持しながら、持続可能性を担保する収益構造はしっかりと守る。そんな自由と民主的な組織へのロードマップが示されており、まずは自分たちの存在意義や共通する価値観を見つめ直し、関係性の質を高めるところから自律する組織へ変容を遂げるまで丁寧に指南されています。

手放す神、来神

そのテキストの発行元の手放す経営laboratoryの代表、坂東孝弘さんがこの度、経営実践研究会の兵庫定例会で登壇いただくことになりました。また、以前からのやりとりの流れで来神されるタイミングで、DXOを実際に使ってワークショップを繰り返している私たちの事業所にヒアリングに来たいと申し出てくれました。実は、私達が繰り返しているワークショップはあまり順調に進んでおらず、長年一緒に働いて来たメンバー間で様々なわだかまりや軋轢があったり、事業所を運営する内閣としての関係性を再構築するのに手こずっているのが現状です。進化型組織の理論構築をされている日本の第一人者と言っても過言でない坂東さんにお越し頂くのには、あまり目に見えてキラキラな成果が上がっていないだけに、少し気が引ける部分もありましたが、組織の変容がそんなに簡単にサクサク進むものも現実として見て頂くのも良いかと思い、あえて神戸の西の果てまでお運び頂きました。

ビジネスモデルの構築が前提条件

弊社にて設計、スタッフのメンバーからのヒアリングを終えた後、手放すラボのメンバーと一緒に神戸で開催される経営実践研究会の兵庫定例会の会場へと向かい、坂東さんの講演を聴かせていただきました。ご機嫌な組織をこの世の中にたくさん生み出したいとの坂東さんの想いとともに、進化型組織の前提条件として、収益が上がるビジネスモデルの確立が必須だとの当たり前の事を聞いて、今更ながらその難しさを実感させられました。持続可能なビジネスモデル構築には、組織の改革が不可欠で、メンバーそれぞれの個性を生かし、財布を発揮してもらえる環境を整えなければ、事業所としての強みは見出せません。しかし、その組織改革を行うには、収益構造ができあがることも必要と、卵が先か、鶏が先かのパラドックスに陥ってしまいそうなお話でした。結局、日向選択ではなく、どちらも同時に進めながらバランスよく整える感覚が経営には必要なのだと改めて考えさせられました。

組織のみんな化

弊社でのヒアリングを行っている際に、坂東さんが強く反応を示したのは、私が今年のテーマに掲げている「民主化」でした。そして、私が坂東さんの講演を聞いて、1番印象に残っているのは「組織のみんな化」との言葉です。明らかに、目指す先は同じであり、世界中で形骸化しており、全く実効性を発揮していない本質的な民主化こそ、世の中を良くして、人々を幸せにする大きな方向性なのだと再確認させていただきました。事業や様々な組織での活動を通して、令和デモクラシーを起こしていきたいとの私の想いは、意外と多くの人と思いを共にすることができるのだと勇気をいただくことができました。多くの気付きと学びに満ちた素晴らしいご縁を頂けている事に心から感謝しています。坂東さん、ありがとうございました。

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