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真実の瞬間を担うタレンティズム

私が主宰する建築実務者向けの研修事業、一般社団法人職人起業塾で行っている研修は決して安易に起業を推すものではありません。しかし、その名の通り、末端の現場実務者に起業出来るくらいのスキルと経営感覚を身につけてもらうことを目指しています。VUCA(不透明、不安定、複雑、曖昧)化が加速する今の世の中ではあらゆるスピードが速くなっており、現場で怒った問題に対して判断を下すまでの時間を要する、これまでのトップダウン式、ヒエラルキー型組織では時代の大きな変化への対応が難しく、もっと有機的に多方面、多接点で迅速に経営判断を同時に行えなければならない、課題や問題の解決を同時多発的に行えるようになるべきだと考えています。その為には経営感覚を持った実務者が顧客接点を担うべきだと思い、主体性を発揮する人材育成のサポートを行っています。指示命令通り、機械や道具、ロボットの様に言われたことしかできない人材ばかりでは、情報化社会のなかで多様化したユーザーのニーズに対応することはできないと思うのです。

真実の瞬間

一般社団法人職人起業塾で行っている研修の根本的な考え方は、人は誰しも、それぞれ大きな才能を持っていて、それを開花させることが出来れば、事業全体で大きな効果性を発揮することが出来る。とのタレンティズム(才能主義)に立脚しています。それは組織のトップが決定した事項を末端に落としていくこれまでの組織構造を逆転させて、ボトムアップ式の組織へ変革するアプローチで、実は以前から数多くの実績を上げており、令和になって新型コロナの蔓延、パンデミックで世界の価値観が逆転したことにより最近になって急激に脚光を浴びる様になったと感じています。数年前に話題になった書籍「真実の瞬間」には破綻しかけの北欧の航空会社、スカンジナビア航空が、顧客接点の強化に取り組み、クルーに大きな裁量、判断する権限を渡すと同時にフライトとその前後で顧客との接点を持つ一人当たり15秒の短い時間に集中して徹底的に顧客満足の獲得に取り組んだ結果、業績を飛躍的に回復させた事例が描かれていました。以前は現場から離れた上長に判断を仰いでいた使い走りの末端の現場のスタッフと目的を明確に共有した上で経営者に準じた役職者と同じ権限を与えることで、多くの人材が潜在的に持つ表見的には見えない才能(思いやりや親切心、臨機応変な対応など)を発揮させることによって企業のリソースを爆発的に増加させることに成功した事例です。

誰もが持つ才能

私はタレンティズムにおける才能とは、そもそも誰もが持っている良き意図、良心がその根源だと定義しています。起業当時の私自身、大工として現場で汗を流しながら、営業、設計を兼務していた際に、工事を任せてくださった顧客は、私のトークが流暢だったわけでも、設計スキルが高かったわけでも、大工としての技術が卓越していたからでも、信用のおける会社だったわけでもなく、熱心に顧客の立場に立って物事を考えて、親切な提案と施工を心がけていたから吹けば飛ぶようななんの強みもない小さな工務店(というより大工)に仕事を任せてくれたのだと思います。それと同じような営業形態で営業している事業者は数多くあり、受注を重ねる職人経営者は特別な才能を持っているわけではなく、起業当時の私と同じように、それなりの専門知識があり、熱心で親切な程度です。そんな営業マンとも呼べない人でも、ご縁を持った顧客にとっては卓越した存在になるのですから、経営者でない職人や現場監督でも少しの意識改革と行動変容を行うだけで、圧倒的な成果を叩き出してもなんら不思議ではありません。これが、私が研修で行っている起業できるくらいのビジネススキルの習得であり、やる気さえあれば誰にでも必ず身に付くものです。私が講師を務める研修では、職人をはじめとする建築実務者の若者達に君達にも絶対に出来ると熱く語りかけています。

自立循環型モデル構築と職人の地位向上

タレンティズムに立脚した研修を行う目的は、塾生を派遣されている工務店やリフォーム会社における、持続可能な自立循環型ビジネスモデルの構築、それを担う仕組みづくりです。現場実務者が顧客接点で誰しもが持つ才能(親切心、良き意図、相手の立場に立つ思いやり等々)を発揮すれば、必ず現場での圧倒的な顧客満足を勝ち取ります。建築業の最終的な評価は現場にしかなく、そこで圧倒的な接点強化ができると、顧客はリピーターとなって繰り返しの受注を受けることが出来るし、紹介から発生する新規受注も見込めます。いわゆる宣伝広告や売り込みのプロモーションをすることなく、信頼関係に裏付けられた集客が叶う様になり、自然発生的に売り上げ利益を上げ続ける状態を整えることが出来るのです。このように循環する受注のサイクルは現場での工事品質、顧客対応、アフターフォローと全て現場実務者によって作り出されるというのが私の持論で、それを担う人材の育成を行うことで、引いては職人をはじめとする現場実務者の社会的地位の向上を叶え、安心してやりがいのある労働環境を整え、建築業界に入ってくる若者たちに夢と希望を与えることになると信じています。地道な取り組みではありますが、創業時に掲げた私のミッション「職人の社会的地位の向上を叶える」の実現への足掛かりになると信じて研修事業を精力的に推し進めている次第です。

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タレンティズムに立脚した研修やってます。

https://www.shokunin-kigyoujyuku.com












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