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社会課題解決×ビジネス 〜協働ガバナンスから始めよう〜 @ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ

私が世話人として参画している経営実践研究会ではソーシャルビジネスやNPO/NGO、進化型組織、CSV経営等の時代の最先端をいくビジネスで卓越した成果を挙げられた方々やその理論を支える教授等がアドバイザーとして登録されており、メンバーの活動を熱心にサポートして下さっています。現時点でその数は80名を超えており、現在も増え続けています。いわば、全国の先進的な取り組みをされているトップランナーがこの研究会、一局に集結している様相を呈し始めています。

経営実践研究会 大阪特別講演

ソーシャル・プロジェクト・プロデューサー降臨

先日、その数多くのアドバイザーの一人である広石拓司氏に登壇頂き大阪での特別講演が行われました。広石拓司氏はソーシャル・プロジェクト・プロデューサーとして地域・企業・行政など多様な組織の協働による社会課題解決型事業の構築に多数携わって来られており、慶應義塾大学総合政策学部、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科などの非常勤講師も務められています。上梓された著書も数多く、ソーシャル系スタートアップの支援者、プロデューサーとして非常に有名です。
経営実践研究会では以前からソーシャルカンパニーフォーラム等でコメンテーターやパネラーを務めて頂いており、柔和な笑顔で切れ味鋭いコメントを口にされるのを耳にして、以前から一度じっくりと話を聴いてみたいと思っていました。今回の大阪特別講演で私のその希望が叶えられた形です。

ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ

基調講演を拝聴するに先立って、予習がてら経営実践研究会の指定図書でもある広石氏の著書を拝読しました。タイトルに「 ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ 〜コレクティブな協働なら解決できる! SDGs時代の複雑な社会問題〜」とつけておられる通り、完全にソーシャルビジネスの起業家やCSVモデルに新たにチャレンジする組織、経営者向けの実務書でした。しかも、新たなビジネスモデルへの指南だけではなく、複雑に絡み合い解決不可能とも思える社会課題が溢れ返る今の時代に、それに向き合い解決を目指す中で、誰もがぶつかる壁を網羅的に想定し、先回りしてその回答を示すなど、場数を踏んだ現場を知り尽くした実践者しか持たない知見を余すことなく披露されています。その辺りは以下に紹介する目次を見るだけで大まか想像がつくと思います。とにかく、非常に実践的で参考になる書籍でした。

・第I部 ソーシャル・プロジェクトの成功に求められる視点・視座 要素ごとの解決から集合的(コレクティブ)な解決へのシフト
第1章 ソーシャル・プロジェクトの成功の条件
第2章 コレクティブな協働へ 問題解決に関わる用語の定義をシフトしよう
第3章 コレクティブな協働を実践するための協働ガバナンス

・第II部 コレクティブな協働ガバナンスの考え方・進め方12ステップ
第4章 問題解決の前提を整える協働 課題の再発見とゴールの明確化
第5章 問題解決の運営基盤を整える協働 計画策定と運営制度整備
第6章 問題解決の推進力を強化する協働 継続的改善と中間支援
第7章 成果を生み出し、定着させる協働 継続力強化と成果の見える化

ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ

パーパス経営へのシフト

この度の広石拓司氏の講演のタイトルは「社会課題解決×ビジネス」と掲げられていました。経営実践研究会のメンバーは全員、本業そのもので社会課題を解決する、経済性と社会性を両立するCSV経営を標榜している経営ばかりです。とはいえ、経済的合理性の中のマーケットで生きてきた人や組織が、大まか経済合理性の外にある複雑な社会課題の解決を目指して事業に取り込むのは容易ではなく、チャレンジを繰り返しながらも思い通りに進められず挫折を味わう事業所も少なくありません。
また、近年の若者の意識調査の結果からは、就職を希望する会社の条件の第一位は社会貢献性の高い事業所になるなど、SDGsの概念が学校で教えられる様になった影響もあってか、企業の社会的責任を求める機運が高まっています。昭和〜平成の価値観で儲かれば良い、もしくは儲かった時だけボランティアや寄付をすれば良い時代では無くなっています。パーパス経営と言われる志を掲げたCSVモデルは時代の要請になっており、まさに「社会課題解決×ビジネス」はあらゆる事業所にとって大きなテーマになっています。

社会課題の複雑化と解決の圧倒的困難が前提

広石氏の書籍、また今回の講演で大前提として据えられているのは、社会課題の複雑化です。表面的に困っている人を助けたところで単なる対処に過ぎず、根本的課題は解決せずに棚上げ、問題は発生し続けます。課題の根本解決とはシステム自体の変更、革新とその定着を成さなければならず、それにはあまりにも高い壁が聳え立ちます。日本国全体とは言わなくても、地域や業界のシステムやスタンダードを変更することさえ一人で、一社で出来るようなものではないのは誰しもが気づいていながら、広い連携を組んでの協働に踏み込めずに、まずは自分が出来ることを地道に行うしかないとゴールへのマイルストーンも計画も明確にしないまま、闇雲にマスターベーションを行ってしまっているのも散見します。
本当の社会課題解決は社会に定着させる着地を目指すが故に、立場や役割、業種業態、年代さえも超えて幅広い連携をとり、多くの人たちと共に協働する事が不可欠です。そして、これが出来るようになれば、これまで解決不可能だと思われていた複雑で困難な社会課題解決数多く解決できるパターンが生み出されます。

ソーシャルビジネス、CSVモデルを目指すあなたに

広石氏が上梓された 書籍「ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ」の冒頭に最も重要な3つのキーワードが書かれています。本文はその3つの概念を実行、実装するための具体的なステップが詳細に書かれていると言っても過言ではありません。
その3つとは、「協働ガバナンス」「主体性と関係性の相乗効果」「目標・目的の共有」であり、上述した複雑化した社会課題に対する向き合い方、在り方を明確に示しています。特に、協働ガバナンスとの、あまり聞き慣れない、しかし、直感的に絶対に必要だと感じる考え方については、ソーシャル・プロジェクトを立ち上げる、進める上での要諦だと改めて認識すると共に、広石氏によってプロジェクトを起動する際に必要不可欠なタスクを暗黙知から形式値に詳らかにされているのは非常に大きな意味があると感じました。共にプロジェクトを進めていく上で協働するにあたってのメンバーが協働ガバナンスをまず整備する意識を共有しているといないでは大きな違いが確かにあると思います。ソーシャルビジネス、社会課題解決型モデルを標榜される経営者は基礎的リテラシーを備える書ですので、是非ともご一読下さい。強くお勧めします。

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不登校児童問題、児童養護施設の子供達の社会定着の低さ、モノづくり業界の人材不足の課題解決を目指して全国の志を同じくする経営者と協働しています。ご一緒しませんか?

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