見出し画像

オモロイをシゴトに! 〜みらいのたからばこで感じた子供たちのリアル〜

私が代表理事を務めている一般社団法人マイスター育成協会では、先週末、2つの場所での同日イベントでキャリア教育の啓蒙活動を目的としたブースを出展しました。志教育×技能×キャリアをスローガンにした職人の技術を習得しながら、高校卒業資格を取得できるマイスター高等学院の紹介を兼ねて、子供たちに職人の職業体験をしてもらえるブース出展です。
1つは大阪の堺市で行われた「未来建設王国」、もう一つは、インテックス大阪で二日間開催された「みらいのたからばこ」。どちらのイベントも非常に多くの子供たちで賑わい、大人気のブース出展となりました。
現在、若者等が学校を卒業して社会に出る際、職業選択の候補にさえ挙がらない職人の仕事に触れて楽しそうにしている子供達とそれを見守る親御さん達と接してリアルに感じられたことがいくつかありました。

Photo by 吉田 茂樹
Photo by 小川泰毅
Photo by 清水 一人

手裏剣はテッパンのコンテンツ

未来建設王国は一般社団法人マイスター育成協会の副理事長である森建築板金の森社長が中心になり、板金を曲げて作る手裏剣のワークショップ。鉄板を折り曲げてなんでも作ってしまう職人の凄さに子供達も驚いたと思います。また、手裏剣を作って投げるのは子供心にはドンピシャに響いたようで、開始からずっと絶え間なく子供達が並び、売り切れ御免の大盛況だったようです。サポートに行っていた理事メンバーの話によると、中学校を卒業して働きながら高校卒業資格を取得できるマイスター高校の説明を熱心に聞かれる親御さんも多く見えられたみたいで、子供達に多くの選択肢を与える、学歴社会の中であっても、テストの点数や内申書の評価だけではなく、一つの物事に一心不乱に打ち込める集中力があったり、教わったことを一つずつ丁寧になぞれる素直さのような誰にでもあるようで、そうでもない才能を発揮できる場がある事を知って頂ける機会になったようです。

Photo by 田中 健治

一番人気は鉋体験?!

インテックス大阪で開催されたみらいのたからばこは2日間で3万人をゆうに超える来場者があり、あまりの混雑に入場制限をかけて8千人もの人を断ったと言われていましたが、今まで見たことが無いほど多くの子供達が集まる盛大なイベントでした。私たちのブースではかんなで木を削る体験をしてもらいましたが、スタート早々から子供達が殺到、ふと気付いた時には50名を超える長蛇の列が出来ていました。副理事長の清水社長が機転を効かせて追加の材料を調達に走ってくれたおかげでなんとか材料切れにならずに済みましたが、予想を大幅に超える子供の数に本当に圧倒されました。ご縁を頂きました奥田絵美さん、桑原あずささんの企画力と企業を巻き込む力、そして集客力の凄さには恐れ入りました。
せっかく、大工の体験をしてみたいと並んでくれる子供達がこんなにいるのだからなんとか応えたいと、サポートに集まってくれたメンバーは昼食を摂るのもそこそこに必死で子供達への指導と手伝いをしましたが、結局、時間切れで多くの希望者をお断りしてしまったのは反省と今後の課題にしたいと思います。

色めき、喜ぶママ達

昼食も取らずに終日忙しく子供達が鉋で木を削る指導をしておりましたが、その合間に側で見守っている親御さんにマイスター高等学校の説明も行いました。殆どの親御さんは自分の子供が職人になるなんて露ほどにも思っていないようでしたが、高校で職人の技術が学べ、社会で活躍するための基礎知識を習得し、しかも高校卒業後は単なる職人ではなく、資格取得などを経て建築のプロフェッショナルへの道を進める会社への就職がセットになっていると聴いて、「そんな学校があったの!」と色めくお母さんもいました。しかも、試験は面接と作文のみで、やる気さえあれば合格できると聞いて、知り合いの子供が不登校になっているので紹介したい。とか、そんな学校が出来たら良いと思っていた。とか、私達にとって最大限の賛辞というか、大きな期待を寄せていただいているのを肌で感じることが出来ました。

オモロイをシゴトに!!

そして、やっぱり1番の収穫は、子供達はモノづくりを楽しいと感じている、そして出来上がった成果物に対して思い入れを持つのを如実に感じられたことです。細い木の棒を削って先を細くして箸の形に整えるだけの私達にとっては至極簡単な作業ではありますが、子供達は真剣な眼差しで作業に向き合い、出来上がった箸を持って本当に嬉しそうにしていました。そんな楽しい事を仕事にできるなんて素敵やん、と手前味噌ながら素直に思いました。私が子供の頃は子供達の将来なりたい職業の1位は大工さんでした。それから時代は大きく変わり、私が若かりし頃にはなかった職業がたくさん生まれ、職人の働き方も、取り巻く環境も大きな変化を遂げました。これからはAIの発達で無くなる職業も多くあると言われます。それでも、基本的な人の営みは1万年前からさほど変わっていないと言われるように、衣食住にまつわる産業が潰えることはありませんし、モノづくりは面白いものなのです。

確信と覚悟と誓い

これまでの子供向けイベントでは、ただ単に職業体験を楽しんでもらう、職人の世界に触れてもらうだけでした。しかし、高校という子供達にとても身近な進路が用意され、それがグレーでもブラックでもないまともで良い会社(未来創造企業認定)に正規雇用され、職人のさらに先のキャリアパスまで整えている事業所が集まって、ブースを出展することで、全く意味合いが変わったと感じています。現在、関西圏を中心に10社以上の事業所がマイスター高等学校として生徒を迎える準備を進めています。2年後には全国で50校を超え、10年後には各市町村をカヴァーできるように広げていきたいと思っています。それらの事業所が進路の選択の一つとなる高校として全国の中学校で職業体験の出張事業とインターンシップの受け入れを定期的に行うようになれば、職人として働く若者は確実に増えるであろうと今回の2つのイベント出展で確信を持ちました。日本のインフラを守る、そして学歴社会に縛られないキャリア教育を全国に普及させるプロジェクトは始まったばかりですが、私の残りの人生をかけて、やり切ろうと改めて心に刻み込みました。
素晴らしい機会を頂けたご縁に心から感謝します。ありがとうございました。

PS.マイスター高等学院のプロジェクトはCSV経営(共有価値創造=社会課題解決型モデル)を実践し、研究する一般社団法人経営実践研究会で立ち上げている1000のプロジェクトの一つでもあります。藤岡会長も応援に駆けつけてくださ李、顧問に就任頂いたコドモエナジーの岩本社長や強力に応援してくれているワンピースの久本社長、ドローンヒーローの田中愛莉社長、メタバースの櫻井さんなど、多くの方と一緒に出展出来たのは我々から社会変革のムーブメントを起こすのを実感できたイベントでもありました。もちろん、主催の奥田絵美さん、桑原あずささんもメンバーであり、最先端を走り抜ける多くの仲間に囲まれていることを本当に嬉しく思いました。皆様ありがとうございました。

_________________
日本の未来に貢献する学校を運営しています!

職人の地位向上、自助の精神を醸成させる研修事業を行ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?