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PDCAの誤解 〜PD caPDのススメ〜

複数の単語をつないだ言葉の頭文字をとって新たな単語として作り出すことをアクロニムと言います。NATOやTTPなどそれ自体が単語として認知され広く世界で使われるようになったりしています。有名なアクロニムの1つがPDCAで、Plan(計画)、Do(行動)、Check(検証)、Act(改善)の4つのサイクルを一まとめにして単語として使われます。一昔前までは経営企画をする立場の人が頻繁に使っていた単語ですが、最近は建築業界の現場実務者や職人たちの間でも使われるぐらい認知が広がりました。計画から改善までのサイクルを意識するのは非常に重要なことではありますが、私は個人的にこのアクロニムには少し問題があるのではないかと感じています。

蔑ろにされてしまったpriority

その難点と言うのは事業やプロジェクトを進めるにあたり、PDCAの頭文字を並列に並べてしまっていることにより、優先順や重要度があやふやになり、どれも同じような位置づけだと勘違いされてしまっている感があるということです。本来、事業そのものをシンプルに見直すと計画と実行が全てであり、実行し終わってから検証して改善するわけではなく、実行しながら予実管理をして計画通りに着地させる事が重要です。計画とはそもそも目標に到達するために立てるものですから、予定が少々狂ったとしても修正を加えながら目標に到着するのがmustです。その意味でPDCAが一括りの単語の様に使われてますが、計画と実行と検証、改善はそれぞれ並列に独立したものではありません。そこには確実に優先順位(priority)が存在するはずなのです。

PDCAサイクル

PDcaPDcaPD

そのように考えると、PDCAのC(検証)とA(改善)はDo(実行)の中に含まれると言っても過言ではありません。そして、プロジェクトを進める上で不可欠な予実(予定と実行)管理とは実行しながら計画の進捗を確認することであり、計画通りに進んでいなければ計画を見直し、着地が狂わないように行動を変更することに他なりません。結局、C(検証)とA(改善)は計画を進める中で、定期的かつ精度の高い進捗確認をすることであるべきで、計画と実行の中に含まれることになるのです。このように考えるとPDCAをリアルに実務的に分解するとPDPD(計画→実行→計画変更→実行)となり、その間でチェックと改善を細かく組み込むのが予実管理のあるべき姿だと思うのです。アクロニムにするとPDcaPDcaPDといったところでしょうか。(笑)

 PDCAの誤解の大きすぎる弊害

PDCAを並列かつ独立したタスクのように誤解していると、計画を立てて実行に移し、着地までそのままがむしゃらに計画を進める、全て終わってしまってからじっくりと検証をして、次の計画に向けて改善案を立てる。そんな悠長なルーティーンを繰り返すことになってしまいます。これでは実行可能な計画が練り上がるまでにずいぶんと時間がかかってしまいますし、そもそも当初の計画は目標通りに着地することはありません。目標未達を繰り返すということは、計画立案すること自体が無駄なことになってしまいますし、事業(プロジェクト)本体も成り立たなくなることを意味します。ましてや、急流を下るかのような時代の激しい変化が猛スピードで起こっている今、そんなテンポでは間違いなく時代に取り残されてしまいます。


私が所属している経営実践研究会の研修や講演に出席すると「いまどきPDCAを回す、なんて言ってる奴はやばい」と言うようなことを耳にすることが頻繁にあります。もちろん、それを言ってる人も検証と改善が必要ないと言われているわけでは決してなくて、実行をしながらの予実管理の中に検証と改善が含まれていて、ことさらそれに腰を落ち着けて時間を割くような無駄なことをせずにこまめに計画を見直して小さなPDcaPDをくるくる回す必要性を説かれているのだと私は受け止めながら聴いていますし、その場に集まっておられる方は大まか私と同じ理解をされていると思います。
ただ、PDCAという言葉が思いの外一般化して誰もが使うようになったことで、上述のような誤解した概念として受け止めているのではないか?と感じることが最近になって散見したので改めて整理をしてみた次第です。事業とは計画と実行が全て。あとは予実管理をしっかりと行って目標通りに着地させること。プロジェクト(工事現場や建築の事業全般も然り)を引っ張るリーダーはPDcaPDの概念を深く胸に刻んで事業に向き合ってもらいたいと思うのです。

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