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世界を変えるはじめの第一歩 

先日、教育界で長年事業をされておられる大先輩に話を伺う機会がありました。私は現在、職人育成の高校、マイスター高等学院の立ち上げを行っている事もあり、教師から始められ新たな教材の開発、販売、そして啓蒙に取り組んで来られた方の深い知見に触れて、これから教育事業に関わっていく中での方向性を示して頂けた様に感じました。ご縁に深く感謝します。

根本解決は教育にあり

私が現在立ち上げを行っているマイスター高等学院は学歴社会から弾かれた、もしくは馴染めない若者に対してモノづくりの世界で自分自身でまだ気付いていない才能を発揮して、ゆくゆくは現場作業だけに限らず、設計や施工管理、営業職など幅広く活躍してもらえる場を作り、ガバナンスを整えた事業所で未来への希望を持てるキャリアプランを運用を通して職人の地位向上と共に、職人が若者から憧れられる存在になることを目指してます。好きで、得意で、稼げる、そして求められ、喜ばれる生き甲斐を持った働き方を職人の世界で実現したいと考えています。関西からスタートするこのスキームが全国各地に普及すれば、国土交通省がこの20年取り組んで全く成果を上げられず、建設業界で喫緊かつ重大な問題になってしまった職人不足を根本的に解決出来ると考えています。難しい問題ではありますが全ては教育に答えがあると思っています。

教育が最優先

“Education First!"と国連の会議場で訴えたのはタリバーンに銃撃されても怯える事なく声を上げ続けたマララ・ユスフザイさん。当時、研修事業を始めたところだった私が、世界のあらゆる課題や問題の根本を解決するのは教育なのだと改めて気付かされた言葉でした。そして、子供達や若者が社会に出て価値を生み出し、活躍できるように適切な教育を受けられるには、大人たちがもっと学び、自分達を、組織を、コミュニティーを、そして社会を変えていかなければならないのも同時に気付かされました。タリバーンには彼らの宗教や信条があり、揺るぎない価値観の世界で規律を持って生きているのでしょうが、マララさんに限らず、学ぶ自由は許容するべきで、大人が変わらなければなりません。そして、それは程度の差はあれ、全世界に共通している問題だと思うのです。参考までにマララさんのスピーチ全文はこちら、

根本のそのまた根本

教育界で卓越した業績を残されてきた大先輩と話す中で、教育に関する多岐に渡る話題が飛び出しました。教育の課題というと学校や教師に目が行きがちですが、根本的なアプローチを考えれば幼児教育やそれを担う親のリテラシーや意識を高めることの方が重要性が高いとのお話もあり、教育業界ビギナーの私とは視点も視野も視座も全く違うことが痛いほど感じさせられました。教育に全ての根本的な解決の道があるとの認識はありましたが、その教育にも複数のレイヤーが存在し、より深く、広く教え、育むことが必要なのだと、その底知れない奥深さ、難しさを知らされることになりました。特に、母親に向けてもっと気軽にアクセスできる相談のプラットフォームができるだけで、多くの子供に関する不幸な出来事が解消されるとの実体験に基づいたお話は自分自身の子供時代の経験にも当てはまる部分があり、胸が熱くなりました。是非とも実現して頂きたいと思います。

親へのアプローチ

子供の教育の前に親に対してリーチができるようになるべきとの考え方は、そのまま私たちが行っている職人育成の高校の普及にも当てはまります。現在、10数社の経営者と学校運営のための社団法人を立ち上げておりますが、そこに集まった方々は皆さん、職人の未来を真剣に考え、生涯に渡って活躍出来るようにキャリアプランを整え、運用しようとガバナンスを整えた会社運営をされています。しかし、建設業界全体を見渡すと職人を人としてみるのではなく、道具として見ているのではないか?と疑問に感じる事業者が圧倒的多数を占めています。必要な時だけ雇い入れ、要らなくなったらすぐに手放す、若くてバリバリ動ける時は多く払うが年老いて生産性が落ちたら稼げなくなって当たり前とばかり、作業の出来高に合わせた支払いをする。それが分かった上でなんの対策も講じないのが業界のスタンダードです。これでは若者に見放されても当然で、まず、経営者の意識を変えるところから着手しなければ職人育成学校のプロジェクトは前に進みません。

業界変容への第一歩を踏み出す

建設業界の職人不足に関する問題は20年前から危惧されてきました。国土交通省も業界団体も様々な取り組みをしてきましたし、民間企業でも職人の育成に取り組まれてきた事業所もあります。もちろん、成果をあげている事業所もありますし、設備業界や塗装業など若手の入職が増加した職種もあります。業種によってばらつきがありますが、中でも建築工事の中心的な役割を果たす大工の減少については惨憺たる結果になっています。その原因はやっぱり、数多くの経営者の思考やリテラシーが低く、目先の収益の確保を優先し、中長期的な視点を失ったからだと考えています。まずは私たちが職人育成を通して、全ての答えがある現場で顧客や地域との共通価値を生み出し、持続可能な事業所の体制を整えること、そしてそれを広く伝播することで業界のスタンダードを変革していきたいと思っています。とにかく、第一歩は教育から。膨大な時間がかかりそうですが、命の炎が尽きるまでやり切りたいと思っています。

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現場で作業+@の価値を生み出すにはまず志。志を起点にした職人育成のサポートを行なっています。


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