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死は存在しない

実は私、田坂塾の塾生です。多摩大学名誉教授であり、世界賢人会議の日本代表や内閣官房参与等を歴任され、非常に意欲的に次々と作品を発表される著作家で、その著者を読むにつけ日本でトップの哲学者だと感じ入り、尊敬して止まない田坂広志氏にかなり以前から傾倒し、長年、師事して学ばせて頂いております。その田坂塾長から少し前にオンラインの講義を受けて、その際、新たな著書を上梓したと聞いて早速書店で買い求めて手にしてみました。タイトルは「死は存在しない」
この最新刊こそ、近年出版された著書の流れを汲んだ最終的に行き着いた田坂塾長が示す一つの結論だとの感想を持ちました。

田坂氏に断られたオファー

実は田坂氏は私が参画している経営実践研究会のアドバイザーでもあります。私が実行委員長を務めている同会最大のイベント、ナショナルフォーラム2023での基調講演をどうしてもお願いしたくて、同会の会長であり、長年に渡って田坂氏と懇意にされている藤岡氏を通して、来年のフォーラムへの登壇をお願いして頂きました。残念ながら、執筆活動が忙しく地方でのリアル講演は受けていないとの回答が返ってきて断られてしまいました。塾生の私としては大いに落胆しましたが、今回の著者を拝読して、田坂氏が限りある命の使い方を真摯に選択されているのが良く分かり、ひとり納得した次第です。田坂塾長の講義は当分、オンラインだけで我慢しようと思います。

田坂塾長の強すぎる影響力

田坂塾長の凄さはその知見の幅の広さと底知れぬ深さです。ビジネス論や社会論、人生論等の本も上梓されていますが、それらの書籍を通じて常に根底にあるのは深い思想と哲学への帰納であり弁証で、哲学書としての品格を感じ取れるその文筆には深い示唆を与えられます。私にとってはそれらの書籍を拝読することを通して、まさに人生の糧を頂いてきたと思っています。
共感資本社会の根本的概念と言われる信頼資本、関係資本等の見えない資本の認知とその活用を示された「忘れられた叡智」では日本人として誇りと希望を与えられましたし、「使える弁証法」では成長すべき方向性と可能性を教えられました。「知性を磨く」では学ぶべき事柄を絞り込む選択肢を示されましたし、「人は皆多重人格」で自己認識が改められ、自己肯定感と自分が持つ可能性を感じる事が出来ました。とにかく非常に強い影響を受けています。

科学と宗教の融和

そんな田坂塾長の近年の著書は2021年の「運気を引き寄せるリーダー」、2020年の「直感を磨く」、2019年の「運気を磨く」等々、科学では解明されていない不思議な世界、やもすればスピリチュアルな領域かと思われる様なテーマを題材にして来られました。今回の「死は存在しない」はそれらの作品群の着地として以前から言及されてきたゼロポイントフィールドの存在と人の人生やそこで起こる出来事、そして生死との関わり合いを量子物理学の観点から、あくまで仮説としながら解き明かされています。まさに人類史上最大のジレンマだと言われる、科学と宗教の融和の具体的な指針を示されたと言えます。その論理構成は非常に明快で分かりやすく、塾生の私としてはすっかりゼロポイントフィールドの存在を確信してしまいました。

ゼロポイントフィールドとの交信@オレ

元来、私は最近メタ認知と言われる空から自分の人生をまるで小説を見るかのように俯瞰する癖があります。それは若かりし頃に親友を殺人事件で突然亡くして、その時の激しい悔しさと怒り、吐口の無い憤りに没入した経験があり、そこから這い出す為に友人が生きたかったであろう人生を自分が生きようと誓いを立てたことに由来します。
その癖は事件から40年近く経った今でも尚、変わることがありません。私の人生は死者との対話がベースになっているのです。長年に渡るその対話の中で人生の目的を見出したり、志を立てたり、あくなき挑戦を繰り返したり、人生の優先順位を組み換えたりしてきました。若くして逝った友人に人生を導かれたと言っても過言ではありません。それは田坂塾長が語られたゼロポイントフィールドとの交信に他ならないと思ったのです。

黄泉の世界からの導き

今となっては口にするのも恥ずかしいですが、親友を殺された当時の私の生きる目的は唯一無二で復讐でした。それが歳月を重ね、年に数回の墓前での対話を繰り返す中で少しずつ変わって行き、いつしかこんな私でも世の中を良くする為に働く事が出来るし、そんな役割を背負っても良いのだと思い返す様になりました。その一つのキッカケにヒプノセラピーなる催眠療法を受けた経験があります。セラピーでは催眠で無意識の世界に誘われ、夢の中で過去に邂逅して若くして亡くなった友人に出会い、会話を交わしました。そこで彼が私に伝えてくれたのは「もう陽のあたる場所に出ても良いんだよ」との言葉でした。それから私の生き方は大きく転換し、3つの法人を立ち上げるに至り、それらの代表を務めている今に至ります。

世界の真理が見渡せる書

田坂塾長は人の肉体も意識もあらゆる情報が記憶されていて瞬時に繋がるゼロポイントフィールドから生まれ、そこに帰る。人の人生はひとときの夢であり、死とは夢が覚めて元の世界に戻る事、本質的な死は存在しないのだと今回の著書で結ばれています。何もない真空のゆらぎから量子が生まれ、今の世界が生み出された宇宙の起源と膨張から辿れば人の命などほんの一瞬です。しかし、瞬き程の人生も永遠に記憶されるとすれば、それは単に刹那に生きるのではなく、丁寧に真摯に意味や意義が残る様に過ごさねばならない。一瞬であり、永遠である命はやっぱり大切に使わなければならないと感じた次第。とにかく、世界の成り立ちがスッキリと理解出来る良書でした。ご一読を超絶オススメします。

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生きる意味、事業の目的から価値創造を考える実務者向け研修を行っています。第20期生募集中です。

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