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良知と未来思考の座標軸で考える持続可能な世界

先日のnoteに損得勘定、メリットデメリットで判断することの是非と、それは座標軸で表されるあり方によってよくも悪くもなると言うようなことを書きました。今日は追記というか、その辺をもう少し掘り下げてみたいと思います。前の記事はこちら

判断に良いも悪いも無い

人が行動を選択する上での判断基準はメリット、デメリットの他にも良し悪しや好き嫌い、相性や直感、もしくは生理的に合う、合わないなど様々あると思います。そしてそれらはそれぞれ個別の基準ではなく、複合的に絡み合い、トータルでの判断に結びつくと考えています。また、人によってバラバラのそれらの基準は全て良いも悪いもなく、事実として存在するものであり何人たりとも否定できるものではありません。ただ、人間は社会に身を置き、他者との関係の上で生きているわけですから、できれば多くの人から共感され、支持を受けて応援されるような判断や選択を行って人生を積み重ねる方がより良い人生になると思うのです。現代の人の営みは経済と切っても切り離せない関係にあり、富める者と貧しい者との格差がどんどん広がっています。世の中が大きく変化し、あらゆる情報が白日のもとにさらされる中、多くの人から反感を受けるビジネスは廃れ、共感を得る人や事業は大きな発展を遂げるようになりました。産地偽装や事実の隠蔽、収賄などモラルや法律に背き誤った判断をした結果、社会から排除され破綻した企業の例は枚挙に暇がありません。

共感、共鳴、共謀

人はそれぞれ様々な判断基準を持っています。全く同じ人が2人といないように、それは近い人もいれば全く噛み合わない人も出てきます。そんな中、人生は誰と過ごすかで大きく変わると言われますし、古の昔から類は友を呼ぶと言われています。良い人には良い人が、悪い人には悪い人が、情に薄い人には薄情な人が、金儲けが好きな人には金に執着の強い人が、志が高い人の周りには夢を持った人がそれぞれ集まり、小さな社会を形成します。それは目には見えない在り方の座標軸が近しい者同士が惹かれ合う結果です。そして、人が人を判断するのは何を言ったかではなく、何をやっているかであり、その人が判断し、選択した行動を見て自分と近しい世界観を持っているかどうかを人は判断します。その結果、誰しもが自分と近い判断基準や価値観世界観を持っている人と行動を共にしようとします。そこに存在するのは良くも悪くもなく共感であり、共鳴であり、共謀です。

人としての本分としての仕事

数多くの人に共感され、支持されることが決して正しいとは限りませんし、判断基準の価値観は人それぞれであることを考えれば、いかなる選択も行動も本質的な意味では良いも悪いもありません。ただ、社会の一員として生きていく上で決められたルールを破ってしまうと社会から排除されますし、悪人だとレッテルを貼られてしまいます。また、人が生きる上での欲求を満たして幸せに生きていくには経済性を切り離すことができないのは現代社会における事実です。それは単に大きなお金を手にするとか、安定して稼げるとかと言うことではなく、未来に対して恐れや不安を抱くことなく日々を暮らせる状態を整えて、生存の欲求から解放されて人間ならではの文明に守られた文化的な営みであり、種の保存の原則でもある少しでも世の中を良くして次世代に継げるようになる最低限の条件になっています。これが現在私たちが行っているいわゆる働くとか仕事をするとかを通してお金を稼ぐ経済活動の意味であり意義だと思うのです。

良知と座標

王陽明は人は生まれながらにして良知を持っていると言われました。良知とは天とつながり一体となる自然の摂理であり、絶対的な真理とも言われますが、その中の一つが誠実さであり真摯さです。吉田松陰先生が「至誠にして動からざる者は未だこれ有らざるなり(至誠而不動者未之有也)」 と言われたように、日本だけではなくアジア全体、西欧諸国、アフリカでさえ誠実さ、真摯さを兼ね備えた人や行動を美しいと評しますし協力的な態度がみられます。何に対して、何を以って至誠と言うのかは人それぞれではありますが、良知に従い、自分の人生に真摯に向き合うことでおのずと生まれ持った役割や使命に気づき、それを全うすることで世界中の人に共感してもらえる判断基準やあり方を身に付けられるようになるのだと私は考えています。「今だけ、金だけ、自分だけ」との誰からも忌嫌われるようなあり方(座標)ではなく、マズローの人間の5段階欲求の最上位、自己実現の先にある他者貢献や次の世代に生きる人たちにより良い世界を残す未来志向へと座標軸を定めることができると思うのです。それが回り回って多くの人からの共感を得て経済的な持続性をつくりあげられるのだと思っています。人生は魂を磨く修行の場と言われますが、その真摯で座標を定めた人が増えるこそさが持続可能な未来に向けて幸せな社会を作っていく第一歩になると思うのです。

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良知を開く、建築実務者向けの研修を行っています。


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