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前提条件が変わった世界の3つのタスク #社会課題解決型モデル

人と話している時に、どうも話が噛み合わない、お互いのやりとりがズレている、もしくはそこはかとない違和感を感じることがあります。趣味嗜好が違うとか、基本的な価値観が異なるとか様々な理由がありますが、最近になって気づいたのは話をする前提条件についての認識が違うのではないか?という事です。ありとあらゆる情報がインターネットで取得できるようになり、情報格差がなくなりつつある現代、誰もが自分が知っている事は相手も知っていると思いがちですが、実はそうではなく、話すに当たっての前提条件の確認とすり合わせが必要ではないかと感じることが多くなっている気がします。

2パターンの起業家

最近、起業する、もしくは起業して間もない若い経営者と話す機会が多くあります。小さな会社ながらも20年以上事業を続けているシニア経営者として、エールを送る、何かサポート出来ることがあれば手伝うように心がけていますし、求められたらアドバイスを行ったりもします。起業家の方は皆さん、ビジネスモデルを確立したいと熱心に学び、考えて事業プランを立てられますが、それを聞かせてもらう度に、大きく2つのパターンに分かれていて、昔ながら、効率化や売上拡大を目指すこれまでの延長線上で収益をあげようとする人(マーケティング・セールス型)と、新しい時代に即した思考や目的を掲げて課題解決を行うことで、事業を成り立つようにしようとされる人(社会課題解決モデル)に大別されると感じます。

マーケティングは終わった

私は15年以上前から熱心にマーケティングを学び、自社に落とし込む実践を繰り返してきました。その真髄はマスマーケットにアプローチするのではなく、自社独自のマーケットを構築することこそマーケティングだと、信頼関係の構築の為の仕組みを丁寧に作り込み、スタッフやお客様をはじめたくさんの方に支援を頂いたおかげさまもあって、10年以上前に宣伝広告や販促イベントなどを一切行わずに事業を継続するのに必要な売り上げ、利益をあげられる状態を作ることが出来るようになりました。そんな私が最近よく口にするのは「マーケティングの時代は終わった」ということで、世の中は大きく変わりビジネスモデルの構築も次の新たなフェーズに入ったという意味です。

現象ではなく原因、もしくはあるべき姿

そこにある前提条件は、世界は変わった。という時代の流れに対する認識です。上述した2パターンの起業家の一方はこの前提条件が共有できていないのだと最近になって気づきました。もちろん、コロナによるパンデミックは世界の常識をひっくり返し、グローバル社会を鎖国状態に変えたとか、核兵器を脅しの材料に使って軍事大国が隣国に対して軍事侵攻を行う奪い合いの世界が極まったなど、表面的な変化については誰もが知っているし、世界の変化を感じていると思うのです。しかし、それらの現象の根本的な原因を考えたり、これからどのような世界になっていくか、していくべきか、したいかを考える人と考えない人の差が世界への認識の差ではないかと思うのです。

社会課題解決型モデルの卓越

先日、私が所属する経営実践研究会のイベントで大阪に琉球アスティーダの早川社長をお招きして特別公演が開催されました。卓球のプロリーグであるTリーグ発足から3年でタイトルを獲得し、同時に株式上場を果たして、大谷翔平選手と並んでアメリカの雑誌フォーブスの日本の顔100人に選ばれた早川社長は、これまで多くの企業をIPOに導いてきたまさにマーケティングのプロフェッショナルです。琉球アスティーダはプロ卓球チームの会社でありながら、スポンサーによる広告料が無くなったとしても経営が成り立つ程、スポーツ×TEC、スポーツ×ローカルビジネスなど、多岐にわたる収益構造を組み立ておられ、新しいスポーツビジネスのモデルを作り上げられています。その早川社長が講演の中ではっきりと口にされたのは「私たちは社会課題解決型モデルです。」との事業の定義でした。

志こそが経営基盤

最新の情報を収集と分析を行い圧倒的な人脈と地域からの信頼を最大限活用すると共に、最先端のテクノロジーを駆使して構造化された琉球アスティーダの卓越したビジネスモデルの基礎を支えているのは、紛れもなく沖縄に広がっている社会課題を解決するという強い意志であり、早川社長が若い頃から掲げてこられた、強い者ではなく弱い者に光が当たる社会の実現という志です。貧困に喘ぐ沖縄の子供達に夢を与える、地域に産業を起こし村を豊かにする、そして、その事業に共感し、賛同して資金を提供してくれる理解ある企業には本質的な経済効果を生み出すブランディングやマーケティングのサポートを行い、スポーツの事業を通して子供達、シングルマザー、地域、地元企業、その他誰もが喜び、幸せになる事業を作り出す、その過程の一つがIPOだったとのお話は(何度聞いても)鳥肌が立つほど心を動かされると共に、自分達が行ってきた方向性が間違っていないとの確信と勇気を頂けます。

価値観の転換が前提条件

たった今、ウクライナでは弱肉強食の奪い合い、ゼロサムゲームを繰り返す資本主義社会の行き着く先が核戦争に怯える現代だと明確に示唆しています。これから先、世界は基本的な価値観の大きな転換をしなければ世界経済の破綻、環境破壊の進行みならず人類の存続さえも危うい状態に陥っています。奪い合いではなく与え合い、Win-Winではなく三方良し、ヒエラルキー型のピラミッド構造ではなく、個々か才能を生かす自立分散型の組織へ、金が資本ではなく、信頼を資本とした共感資本社会へ。このような価値観のシフト、釈迦構造の成熟化が日本だけではなく世界を含めて必要なのは誰しもが感じられているのではないでしょうか?

志、計画、実践

そんな激変する世界で私達経営者は持続可能なビジネスモデルを模索し、構築していかなければなりません。特に私達のような地域の生活インフラの安心を担っている事業所は絶対に潰れてはいけません。持続可能性を高め、実装するためにも、今一度、これからのビジネスに不可欠な前提条件として、多くの人に共感を得られる強い志を持つこと、それを口にするだけではなく、実際の行動に移せるような綿密で、具体的な計画を持つことを認識すべきだと思うのです。そんな価値観、世界観の事業者が集まれば相互理解が一瞬にして深まるし、協業によるシナジーやイノベーションが起こるようになると思うのです。志と計画と実践、この3つについて情熱を持って語れることがこれからの起業家、全ての経営者に必要だと思うし、付き合いをしていく前提条件になるのではないでしょうか?

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