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志を立てろ!はヤバいのか?志が無いのはヤバくないのか!

京都で進学塾といえば成基学園、と言われるくらい有名な塾があります。有名大学への進学率で圧倒的な成果を出されており、少し前までは成基学園に入る為に塾に通う子供もいたとの事、凄い塾です。
その教育の特徴というか理念は子供達に「志」を立てさせることで、ただ単にテストでいい点をとっていい学校に入る事を目標にするのではなく、何のために勉強するのか、なんの為に進学するのか?との問いを投げかけ、志を立てさせてから勉強を進めるらしく、HPのトップには「未来への責任。志望校合格のその先の、子どもたちの未来にまで責任をもつこと。それが成基学園の教育です。」と書かれています。目的意識を明確に持った子供達は「4つのJ」としてまとめられている人としての成長に欠かせないマインドを身につけられる様になり、持続的な学びの習慣を身につけてなりたい自分になれる道を歩む若者になるとの事です。原理原則に大人も子供も無いと言う事ですね。成規学園のHPはこちら、

4つのJ

・自尊心(自分を敬い、重んずる心)
・自負心(自分を信頼し、誇りに思う心)
・自己肯定感(「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」と感じること)
・自信(自分の能力や価値、可能性を信じること)

志教育こそ全ての源

私は20年前の創業以来、一貫して職人教育を行なってきました。また、5年前からは社内で行っていた教育をカリキュラム化して、一般社団法人職人起業塾を立ち上げて全国で職人をはじめとする現場実務者向けのビジネススクール「職人起業塾」を展開して来ました。その内容は現場で圧倒的な信頼を勝ち取る事で付加価値を生み出す職人の育成で、現場を起点にした自助の精神に基づいた職人の地位向上を目指して来ました。そして、その根底にはやっぱり志を立てる事にあります。その塾は次回で第19期目を迎え、これまで200人以上の卒塾生を輩出して来ました。大きな活躍をして経営者や経営幹部になった塾生も多くいます。吉田松陰先生が言った様に「志を以って万事の源と為す」を実践的な研修で成果に結びつけて来ました。

成規学園のロゴ「人は月、人は種」

無力過ぎる私塾の取り組み

そんな一般社団法人職人起業塾の活動ですが、創業時に掲げた「職人の社会的地位向上」とのミッションの達成には程遠く、業界全体を俯瞰すれば私の取り組みなど髪の毛一本の影響も与える事が出来ていないのが現実です。この5年間にも渡る取り組みでは、残念ながら建築業界にインパクトを与える事はできませんでした。昨年から、コロナの蔓延で研修の回数が減少した事もあり、どちらにしてもこのままではまずいと思っていた矢先に知り合ったのが経営実践研究会です。そこで様々な業界のトップランナーの経営者と交流させてもらい、多くの学びと深い気付きを頂きました。そんな新しい環境の中で、私がたどり着いた結論は社会課題を解決するには社会にインパクトを与える規模のスケールが必要だという事と、1社では出来ない事も志を同じくする仲間を募り、協業する事で成し遂げる事が出来るという事でした。そんな気づきから「新しい職人高等学校プロジェクト」を立ち上げる事に至りました。
プロジェクト立ち上げについての経緯と構想はこちら、


先達に学ぶ

若者が志を立てる教育職人としての技能、そして高校卒業資格を取得させ、キャリアプランを整えた事業所に正社員の職人として就職できる職人高等学校の設立を目指すにあたり、私はこれまであまり関係を持ってなかった教育関係者の方に会ってお話を伺う機会をこのところ頻繁に持っています。今回は「志教育といえば成基学園さんでしょう!」と経営実践研究会で共に活動している世界のサイトーさんに成基総研の中園社長に繋いで頂いて京都まで足を運んで来ました。
成基学園さんは圧倒的な知名度と実績を誇る学習塾ではありますが学校法人ではありません。それでも、私が行おうとしている通信教育高校とのコラボで高校を運営されており、大学進学率100%を目指して志を中心に据えた教育を行われています。私が考えている職人育成とは少し趣きは違いますが、目指す方向性は全く同じであり、非常に参考になるお話を伺う事が出来ました。次回は実際に草津の学校に訪問させて頂く約束も頂く事が出来たのも嬉しい収穫です。本当にご縁に心から感謝です。

衝撃の事実

今回の成基学園さんへの訪問で最も印象深かったというか、衝撃を受けたのは、圧倒的な知名度を誇り、特に京都では誰もがその卓越した実績を認める有名塾ですら、「志共育」を大方針に掲げて、学生に学ぶ目的、人生を何に使うのかを問う事に対する保護者を含めた外部からのアンチテーゼが向けられるとの言葉です。志を立てろ、と言うだけで宗教の匂いがするとか、神道系の洗脳ではないか、などのクレームや批判があるなんて、今の日本は一体どうなっているのだ?と憤りを通り越して不思議な感覚に陥りまし。逆の観点から見れば、志を立てる、大事にする、それに向かって努力や行動を積み重ねることの方が一般的ではないし、社会から爪弾きにされると言う事になります。これは由々しき事態というか、かなりヤバい状況だと思いました。
ただ、中園社長によると、「志共育導入当初はたしかに「志」という言葉のインパクトから、最初は否定的な態度をとられた保護者様もいらっしゃいましたが、趣旨をご説明すればご納得いただけますし、何よりもわが子の立てた「志」を目にしていただければ、お喜びいただけております。 昨今はクレームもなくなりました。」とのことで、ひとまず胸を撫で下ろしました。

志共育について熱く語るの図

誰もが志を熱く語れる世界

新卒採用を行なっている事業所向けのアンケート調査で新入社員に求めることは何か?との問いへの回答では、コミュケーション力、主体性、経営理念への共感だと多くの経営者が答えられます。また、私の身の回りの経営者に新入社員に期待することを訊くと、「何より重要なのは志やろ」と答えられる方ばかりです。ならば、学校で学んでおくべきは志を立てる事であり、確固たる目的意識を持った若者が自社の理念に共感して同じ目的に向かって働いてくれるなら、経営者は諸手を上げて学生を受け入れようとすると思います。そして、それは同時に若者達に職業選択の幅が広がる事にもなります。どこでどう間違って志を立てることを揶揄したり、宗教ぽいと嫌う様な日本になったのか、さっぱり分かりませんが、そんな風潮を同じ志を持つ方々とスクラムを組んで私達が変えて行きたいと心底思います。志が万事の源だと誰もが衒いなく口に出来る世界はきっと今より熱く、楽しいと思うのです。

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高い志を持って現場で働く実務者を育てています。

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