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未来を開く第二領域のメタファーと具体化

現在、大阪で一般社団法人職人起業塾では建築実務者向けの半年間の業務改革研修、第19期の講座を開催しています。先日、第4講を終えたところで次回のコミュニケーション講座が終われば序盤のマインドセット部分が終了となり、学びを実務に転化させるアクションプランの作成、実行のフェーズへと駒を進めます。そんな実践の前に深く理解しておくべきは時間の使い方と目的です。今回の講座で受講生に伝えた未来への扉を開く時間の使い方を考えるにあたり留意すべき概念について以下にまとめてみます。

第19期職人起業塾 

人生とは時間の使い方

普段、平和な毎日の暮らしを過ごしていて時間配分の質についてあまり深く考えることはありませんが、意識していなくても人は時間の使い方を選択しています。緊急性と重要性の二軸でマトリックスにして緊急性が高く重要性も高い(一般的な)最優先事項を第一領域、緊急性は低いが重要な事を第二領域と定めて広く世に知らしめたのは「7つの習慣」のスティーブン・R・コヴィー博士ですが、人生とは毎日の時間の集積であり、より良い人生を送るには使う時間の質をあげる、その様な選択を行う事が直接、より良い人生へのアプローチになるのは誰もが知るところだと思います。第一領域の代表はクレーム対応、第二領域は自己研鑽の習慣だと言われますが、どう考えても毎日休む間もなく火事場に向かう消防士の様に緊急出動を繰り返す人生を送りたいとは誰も思わないし、第二領域に注力することで第一領域のタスクを軽減出来るのは誰もが気付かれるところです。

テーマはスモールビジネスの鉄則

緊急性の流動性が習慣を途切れさせる

ただ、緊急性も重要性も環境や状態によって変動するもので、同じ事象を取り上げてもその分類は人によって様々です。例えば、OB顧客のアフターフォローで考えると、定期的なコンタクトを取る場合、期日の前に顧客に連絡を取ればこちらの都合に合わせてコミュニケーションの方法や時間を提示して選んでもらえます。それが、期限を過ぎてしまうと、できるだけ早く!となりますし、逆に顧客の方から督促が入ると最高に緊急性の高いクレームに発展する可能性さえ生まれます。当初は第2領域のタスクだったはずが、第1領域へと移動してしまうのです。このように、緊急性と重要性の領域は常に曖昧で、流動性を持っているがため、すぱっと切り分けてしまうことができず、少し油断するとすぐに第二領域の時間の配分ができなくなってしまいます。第二領域で培われる自己研鑽のための習慣が途切れてしまうのはこんなところにも原因があるのだと思っています。

未来は計画と教育で作られる

個別の案件やタスクは相対的な評価によって緊急性が流動します。タスクをできるだけ第二領域に留めおいて無理、無駄を生じさせないようにするには日々の業務フローで管理するしかありません。しかし、本当に大事な事は、個別のタスクの管理ではなく、全体を通して重要な概念を共有し、管理するのではなく自然と第一領域のタスクが減っていくような環境を整えることだと思います。そのために必要なのが概念の具体化です。
第二領域に対する時間の配分に対して留意する、との非常に曖昧で抽象的な思考をもう少し具体化して実際の業務に落とし込むとは、結局、計画と教育の為の時間を確保することに集約されます。場当たり的な行動から抜け出すには計画が何より必要ですし、自己研鑽の習慣は自分自身への教育です。このように考えれば、未来を開くと言われる第二領域とは「計画と教育」に重点を置くことに他なりません。

今金自分からの脱却

時間の配分、選択とは計画のこと

昨年から私が自社や顧問先での現場改革の取り組みで最も重点的に行っているのが現場担当者、もしくは管理者による綿密な工程表の作成と予実確認、修正です。実は、長年経験を積んだ職人や施工管理技術者は大まかな工程は組めてもリアルで詳細であらゆるイレギュラーを想定した完璧な計画を立てることは非常にハードルが高く、それが出来る者は皆無と言っても過言ではありません。詳細工程表の完全運用を目指すのは第2領域で仕事を進め、本当に重要な事を確実に進めていく入り口になると思って取り組んでもらっています。そして、これもとても重要な教育であり、現場に関わる実務者全員が自分が担う現場や役割に対して実行可能な計画を立案し、計画通りの遂行が出来れば、クレームやトラブルは劇的に減少するし、成長のための自己研鑽の時間も確保することが出来るようになります。これからの社会に求められる持続可能でレジリアンスな自律分散型の組織へと移行することが出来ると思っています。まずは出来るだけ細やかな計画を立てて人生を構成する時間の使い方をじっくり考えるところから始めるべきだと思うのです。

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