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活動家のススメ

近年、経済活動としての事業が金儲け主義に走りすぎて、環境への負荷増大や労働環境の悪化、格差の増大などの複雑な社会課題を生み出していることを受けて、CSV経営(共通価値創造=社会課題解決)が衆目を集めるようになり始めていると、このnoteで繰り返し書いてきました。私が世話人として参加しているCSV経営の研究と実践、そして伝播活動を行う一般社団法人経営実践研究会ではこの一年で研究会員が倍増、年内1000社に届く勢いです。
その研究会に所属するメンバーは皆さん、自己紹介を行う際に〇〇の事業を経営しています。と言わずに、〇〇で活動しています。と口にされます。誰が言い出したのか分かりませんし、もちろんそんな決まりがあるわけでは無いのですが、メンバーの皆さんがそのように言われるのは単に経済活動だけを熱心にやっているわけではないとの主張の表れだと思って聞いています。ちなみに、活動とそれを行う活動家の定義を辞書で引くと以下の通り。

かつ‐どう〔クワツ‐〕【活動】 の解説
[名](スル)
1 活発に動くこと。ある動きや働きをすること。
出典:デジタル大辞泉
かつどう‐か〔クワツドウ‐〕【活動家】 の解説
1 積極的に活動する人。

2 政治運動などに従事している人。
出典:デジタル大辞泉

活動とは世の中を良くすること

辞書の定義では政治活動に従事する人とされていますが、その本質は職業政治家として政治活動で職を得ていると言うことではなく、社会変革を目指して積極的に動く人と言うニュアンスが強いと思います。上述のCSV経営と言うのも、共通価値を生み出す=社会課題の解決を目指す活動を指しており、混迷を極める現在社会に対して地域企業がそれぞれできることに取り組んで少しずつでも良い世の中に変革しようとする取り組みに他なりません。その決意というか、意識が自分のことを、「商売をしています」とか、「事業を行っています」ではなく活動していると言わしめるのだと思います。
CSVについての説明の記事はこちら、

志は1人では叶わない

そんな高い志を持った人たちと共に「活動」をする中で、学ばされたり気づかされることが多々あります。私が経営実践研究会に入会して受けた最も大きなパラダイムシフトは自分1人でできる事はたかが知れており、それではいつまでたっても志を実現するなど叶わないと言う事実に正面から向き合うことです。明治から昭和初期の日本人のほとんどがその著書を読んで影響受けたとされる福沢諭吉先生の「学問のすすめ」には万物の霊長である人間たるもの、目的を達成しなければならないと書かれています。その目的とは、先人から受け継いだ文明や豊かな暮らしをより良くして次世代に引き継ぐことであるとも。その目的を自分の役割として明確にするのが志を立てることであり、その実現は活動を通してしか成し得ません。1人で叶わない志を実現するには志を共にする人達との活動が必要だと言うことです。

目的あってこその人間

福沢諭吉先生の言説によれば、まず志(目的)があり、それを実現するための活動を誰しもが行うべきで、持続性や安心、安全を担保するために経済活動が付随的に必要になる。となっています。そんな観点から見れば、すべての人や事業所は活動を行うべきだし、社会全体を俯瞰して考えればそのような考え方、経済人としてのあり方こそがまっとうな世の中を作ることにつながるとなります。そして、まっとうな世の中を作ることに留意してまっとうな事業を行う事業所こそがマーケットと呼ばれる社会と共通の価値を生み出し、存在を認められ持続可能性を高めると言うのがCSV型の考え方です。

〇〇活動家のススメ

IT、ICTが世界の隅々まで行き渡り、情報革命が世界を席巻した今、あらゆる情報は白日のもとにさらされるようになり、本質的に良い会社、表面的な取り繕いだけを行う会社の判断を一般消費者ができる世の中になりました。いよいよ、本物時代の到来が叫ばれる中、目先の収益だけにとらわれることなく、本来行うべき活動にシフトするのがこれからの企業の目指すべきあり方だと思います。すべての職業人は自分の働きのことを活動していると言えるようになり、自らを活動家だと名乗れるようになるばいいと思うのです。そして、活動とは実のある働きのこと、頭でっかち学ぶだけではなく、本業で共通価値を生み出す、社会課題を解決する実践を伴ってこそ胸を張って活動家だと言えると思うのです。〇〇活動家の肩書を作られることを強くお勧めします。

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