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共感型工務店てなんやねん? @未来ジャーナル

今日は若いご夫婦の夢いっぱいの新居の上棟日。秋空が広がる絶好の建前日和で工事も順調に進んだようで何よりでした。
さて、少し前にリフォーム業界、建築系メディア界隈の多方面で卓越した活躍をされているランリグ社の渡邊社長から連絡があり、工務店業界誌最大手の新建ハウジングの三浦社長が進行を務められる「未来ジャーナル」なるウェブメディアの取材のオファーをいただきました。私は数年前に新建ハウジングで職人育成についての連載をしていたこともあり、三浦社長とは旧知の仲で、今回は新建ハウジング社が運営する「チカラボ」なる工務店向けのスタディーサイトに私が寄稿した「共感型工務店へのシフト」をテーマにインタビューを受けました。ただ、私の立てるロジックは全て現場主義、三浦社長のイメージとは少し違う内容だったようですが、時代の変遷に適応した工務店の在り方とともに職人育成の意味合いが大きく変わってきたことをお伝えするいい機会を頂けました。そのチカラボでの記事はこちら、

ベクトルが合ってこその共感

「共感型工務店」をテーマにチカラボに私が5回シリーズで書いたコラムを乱暴に要約すると、これからの時代は「共感」が、人、モノ、カネ、情報に次いだ第五の経営資源になる。共感を持続可能な経営に資する資源として活用できるようにするべきだと言う内容です。このように書くとInstagramでいい感じの写真を投稿して同じ雰囲気が好きな人からの共感を集めてその人たちに対してアプローチして工事を受注をする。と言う風に取られがちですが、決してそんな薄っぺらいプロモーションの方法論ではありません。

共感を経営資源にするには一瞬のいいね!とInstagramの写真にアクションを起こしてもらうとかでなく、顧客と事業者が長い時間軸で同じ価値観を共有し、事業に対して賛同してもらう(=共感)という非常に高いハードルを乗り越えなければなりません。共感型のビジネスモデルに移行するには、上っ面のプロモーションではなく本質的なリアリティーのある事業への実装が必要で、その事業が顧客の世界観や価値観、目的と重なる必要があります。同じ方向性を共有してこその共感です。

共感を経営資源とする条件

リアリティーのある事業への実装の必要性とは、即ち共感を得る大前提として圧倒的な評価を得る必要があるとの条件提示です。私たち建築事業者にとっての評価は全て現場で作り上げるモノが顧客にとっての目的(理想のライフスタイル、暮らし)を担保できるかどうかにかかっています。それはプロセスを含めて顧客の意図と意向を汲み取って、実際のモノとしてカタチを作り上げ、暮らし始めた後のあらゆる問題を解決して快適な暮らしを叶える細やかなサポートまでを兼ね備えて初めて得られる評価を指しています。それがあってこそ初めて長期に渡る応援を得られる共感に繋がるという意味です。
共感を得る大前提としてまず高い評価がなければならないのは自明の理。共感を資源に転換するとは、顧客とライフスタイルやデザインの趣味嗜好が一致すると言うだけではなく、事業そのものに対する圧倒的な評価があってこそだと考えるべきです。この顧客の目的と事業の一致こそが本当の意味での共感を生み出し、継続的につながりを持った顧客に応援されて事業を継続できる状態を整えることができれば、顧客数の蓄積に従って事業は持続性を高めることにつながります。これが共感資本がサスティナブルモデルの構築につながるロジックであり理由です。

共感型工務店てなんやねん

今日のインタビューで私が話した共感を得るための具体的な事業の根本的な取り組みはなんといっても大工の正規雇用、採用と育成です。これは単に施工品質や施工能力を担保するためだけではなく、設計段階のプロセスから作り手が住まい手と関わり、工事を進めながら現場でコミュニケーションをとり、工事後は安心して暮らしてもらえるように積極的なアフターフォローを行うことを事業として行うためであり、作るプロセスから暮らしまで作り手が寄り添うことで顧客からの高い評価を勝ち取ると共に、一緒に暮らしを作っていく感覚を持ってもらう為でもあります。その上で「つない堂」なる地域コミュニティーサービスの月額会員制の事業部を立ち上げ、毎月、暮らしを良くするためのイベントを地域の方とコラボして開催したり、DIY支援の工事で出た端材を提供したり、私たちが作った野菜を提供したり、地域で活躍している信頼に値する専門家を紹介したり、その紹介のプロモーションを会員向けに行ったり、一年に一度、半日の社員大工による無料メンテナンスを行ったりと、同じ目的、同じ方向性のビジネスを実装しています。

私たちは既に10年以上、全く宣伝広告を行わずにリピートと紹介で97%の売り上げを上げ続けるビジネスモデルを作り上げて来ました。私たちが今あるのは、間違いなく地域の方、ご縁があった方々に支えられ、応援されて来たからに他なりません。現在、つない堂で行っているサービスはそんな顧客に対する恩返しの意味合いも多く含まれています。良き意図を持って、良き行いを重ねれば、良き状態を作ることができる。成果は全て状態に由来するとの原理原則が今の世の中で本当に実効するのかを確かめる取り組みでもあります。共感型工務店とは事業の意図を明確に示し、実際の取り組みが顧客に応援して貰えるモデルであり、私たちはそれを四方継という名を社名を冠して、建築の枠を飛び越えて、四方良しの世界を実現する理念と共に行動で表しています。共感こそ私たちの1番の経営資源なのです。

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一般社団法人職人起業塾では、共感型ビジネスモデル構築に欠かせない人材育成のサポートも行っています。






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