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決める。とは何か。

令和3年3月4日晴れ

啓蟄

1年を24の兆しに分けた24節気では今日は本格的な春の到来、啓蟄とのこと。毎朝散歩する河川敷の千本桜にも少しずつ蕾がついて、ゆっくりとしかし確実に春が近づいて来ているのを感じさせてくれます。今日は朝から東京オリンピックが海外からの観客を制限して開催する方向で協議されているとか、アメリカの長期金利上昇を受けて日本の住宅ローン金利が上昇傾向にあるとか、これまで凝り固まって止まっていたいろんなことが(良くも悪くも)新しく動き出すニュースが流れ、新しい季節、いかにも春っぽい雰囲気を醸してくれていました。

暮らしづくりの順序について

このところこのnoteで住宅の取得=暮らしづくりにまつわるコラムを継続して書いています。土地探しから建築デザイン、住宅ローンの選択、登記や保険の加入や見直しなど住宅を取得する際にはやるべき事はたくさんありますが、ボンヤリとしたややこしい事は小割りにして考える、順序をしっかりと整理して、1つずつ確実にこなしていくべきだと思っています。私のおすすめはまず初めにライフプランの作り込み、自分の理想とするライフスタイルを明確にするところから逆算するべきだと思っていて、そのことを伝えたいと思ってコラムを書いてきました。実際に、住宅取得のご相談をたくさん受ける中でそんな話をするのですが、いつも気になることが1つあります。それは一つずつのプロセスできっちりと「決める」意思決定を行わずに進めていくと最終的に計画が根底から崩れ、振り出しに戻る可能性がとても高いと言うことです。

決めるとは、決めて断じること。

私がお勧めしている順番を決めて進めていくと言うのは、その1つずつのステップでしっかりと結論をつけてその前提条件を守りながら次の階段を上ると言う意味です。1段目の階段が基礎や土台と結び付けられておらずフラフラのままで組み上げてしまった場合、のほうに登ったときに転がり落ちてしまいます。そうならない様にするには「決める」と言う作業が非常に重要になるのですが、そこまでの意識を持たずなんとなく決めた気になって次のステップに進んでしまう事は(もちろん私を含めて)人間誰しもあることで、「決める」事の質が非常に注意が必要だとこのところひしひしと感じています。

住宅にかける費用、誰が決めますか?

最もわかりやすい事例として、住宅を取得された方への事後調査で資金計画通りに家が建てられず、予算オーバーしたと言われる方が圧倒的多数に上ることが挙げられると思います。結果オーライなら何の問題もありませんが、それが後々、暮らしの負担になったのでは話になりません。私は、家づくりの相談に来られた方にはじめに住宅にかける総予算は誰が来ますか?と言う質問をします。選択肢は以下の様に3つです。

1、不動産会社に決めてもらう。
2、銀行に融資可能額を決めて進める。
3、建築会社に理想の住まいへの思いを伝え見積もり金額を聞いて決める

このような質問をしますが、もちろん答えはこの3つのどれでもなく、正解は「住宅にかける費用は自分たちで決める。」に決まっています。そもそも人生で最大級の大きな買い物であり、自分たちのライフスタイルを決めかねない一大プロジェクトの総予算を他人に決められることなどあり得ません。

成行きまかせの事業計画じゃね?

それは当然の流れですし、相談に来られた方も大体の方は自分で決めるべきですよねと答えられます。にもかかわらず、結局思っていたよりも余分に住宅費用に予算がかかったと言われる方が後を絶たないのは私から言うと、自分たちで費用の上限を決めていないから。に他なりません。想定よりも広くて良い土地が出てきたから、自分たちのこだわりを伝えると建築費用が高くなったたから、諸経費の計算を細くしていなかったから、住宅ローンの約款を読んでないし、細かな仕組みを把握していなかったから、と、理由は様々ではあるのですが、そんな事はどうでもよくて、要するに生命保険に入ってまで銀行融資まで受けて実際に触ったこともないような多額の現金をつぎ込んで行う家族にとって一大事業の総費用が結局成り行き任せになっているのが問題だと思うのです。

決めると考えるは決定的に違う。

人が一度下した決断を一生守り続けなければならないと言う規則はありません。時代の変遷や環境の変化に従って臨機応変に適応するのはAIやロボットにできない人間独自の強みだとも思っています。しかし、そんな原則論はさておき、住宅を取得するにあたり毎月これぐらいのランニングコストならば安心して住み続けることができるし、家族や子供に対しても責任を取れると言うボーダーラインをライフプランをもとに導き出してから家づくり(暮らし作り)に取り掛かろうとするならば。その根拠となるライフプランはしっかりと精査して、許容範囲はここまでと厳しく自分たちで上限を定めるべきだと思うのです。決めると言うのはボーダーラインの決定のことであり、それが曖昧なうちは何一つ決めたとは言えないと思うのです。これは住宅取得だけに限られる話ではなく、日々の生活や、仕事上でも常につきまとう話で、絶対守るべき上限はできるだけ早く決めておいた方が良いと思いますし、自分自身も(できているかはともかくとして)そうありたいといつも思っています。
あなたは決めていますか?

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