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【解説編】kintoneクイズ2024〜基本機能の限界に挑戦する

はじめに

みなさんこんにちは。サイボウズ公認 kintoneエバンジェリスト プロジェクト・アスノートの松田です。

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

このクイズコンテンツは、先日2024/03/09に開催された kintone Café 千葉 Vol.5 のセッションとして、Slidoを使って実施したものです。
ほぼ同じ内容を、クイズメーカーというサービスを用いて一般公開しました。

出題の狙い

今回公開した10問のクイズは、最近私が関与したkintone活用シーンの中で思った、次のような気づきを元に考えています。

  • これ結構よくハマってるのを見かけるな・・・

  • それ、基本機能で実現できるんだけど、機能の活用法を知らないために困っているな・・・

  • 自分たちは常識的に使っている機能だけど、意外と知らない人もいるな!

  • kintoneを長く使っているからこそ、注意するべき点があるよね!

  • kintoneのアップデートによって、新たにできるようになったこと、快適に使えるようになったことが、意外と広まっていないな・・・

  • kintone公式ヘルプに、コンテンツが充実しているのに、あまり知られていない気がする・・・

個々のノウハウを記事や動画で説明するよりも、こうやってクイズにまとめて提供し、同時に解説をしっかりすることで、参加者・学習者の効率をアップすることができるのではないかと思っています。

ぜひ、やった!○点だ!と喜んで(落ち込んでw)終わりではなく、解説をチェックし、知らなかったことがあれば、実際にkintoneを触ってみて、自分で手を動かして確認してみてください。

解説編(ネタバレあり)

ここからは解説となりますので、クイズを楽しみたい方は先にチャレンジしてみてください。


#1問目(添付ファイルの並び順)

添付ファイルに添付したファイルの並び順を変更することはできない
選択肢:
・正しい(できない)
・間違い(できる)

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正解:間違い(できる)

2023/03月のアップデートでできるようになりました!

kintoneにスライドや資料画像を添付しておき、画像をクリックしてスライドショーのように画像を切り替えながら説明する。という使い方ができます。
従来、並び替えができない場合は、一度添付を削除して再度順番にアップロードしていく等の面倒な作業が必要となっていました(※これやる場合はデータ容量に要注意)。
マウス操作で並び替えができるようになりましたので、より気軽にスライドショー用途で使えるようになりました。

なるべくなら、別ファイルをいちいちダウンロードして開いて説明 ではなく、サクサクと説明したいものです。保存用のファイルとは別に、参照用の画像を添付しておくという工夫もできますね。

#2問目(ユーザー選択フィールドの初期値設定)

新規レコード登録時に、ユーザー選択フィールドに自分(ログインしているユーザー)を自動で登録することは?
選択肢:
・できる
・できない

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できる

これは正解率も高いということで、もはや常識レベルと言ってもいいかもしれませんね。
たまに初心者の方に、この機能を知らない人を見かけたりしますが、一度試しておくときっと便利になると思います。

ヘルプの活用ガイドにもしっかり説明されていますので、知らなかった方はチェックしましょう。

#3問目(日付を和暦で表示)

日付データを、基本機能で令和・平成などの和暦で表示することは基本機能でできるか?
選択肢:
・できない
・できる

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できる

kintoneの計算機能で、IF関数やDATE_FORMAT関数を駆使することで可能となります。
kintoneの関数は2020年に大きな転機を迎えました。

こちらも、IF関数実装以降、有識者の間では使われるテクニックでしたが、kintoneヘルプの活用ガイドにもしっかり採用され、詳しく説明されていますので、こちらも参考にしてみてください。

実際やってみたサンプルを紹介します。

頑張れば「元年」も表示できます


通常の判定式と、元年を考慮した判定式(サンプルのため昭和まで)

活用ガイドでは、プラグインを使う例も示されていますが、このような機能が基本機能でできることには、次のような大きなメリットもあります。

  • ファイルから読み込んだレコードに対しても適用可能

  • プラグインや連携サービスによって作成・更新される日付に対しても適用される

#4問目(日付から曜日を求める)

日付から「曜日」を表示することは基本機能で可能である。
選択肢:
・できる
・できない

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できる

こちらもしっかりと活用ガイドに掲載されています。

と、公式ヘルプにはあるのですが、サイボウズ公認 kintoneエバンジェリストの石井さんの記事の方が、計算式の可読性、メンテナンス性からおすすめなので、こちらも参照してみてください。

先程の和暦表示等と組み合わせると、「令和6年3月27日(水)」などの表示も可能となります。お役所に提出する帳票などで使えそうですね!

とはいえ、こんな記事もありますので、ほどほどにしましょう。

#5問目(1年後の日付を求める)

日付フィールドの日付の1年後の日付を基本機能の計算機能で求め、その日付にリマインダーの条件通知を設定することができる
選択肢:
・できる
・できない

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できない

あれ?
この問題に引っかかった人も多いのではないでしょうか。
kintoneの計算機能を勉強していると、日付計算がいろいろできそうなことは書かれていますね。
そうです。この問題は軽く引っ掛け問題となっています。
ポイントは、後半にある「リマインダーの条件通知を設定する」というところ。

日付フィールドの値から、1年後の日付を表示させることは、計算機能で可能です。
うるう年の考慮も頑張れば可能です。

ただし、リマインダーの条件通知の通知のタイミングに設定可能なのは、日付フィールドと日時フィールド、作成日時、更新日時となっています。
そのためには、求めた1年後の日付を、再度別の日付フィールドに入れてあげる必要があります。

kintoneの日付計算の弱点はココになります。求めた日付を日付フィールドに入れることは、基本機能ではできません。プラグインやJavaScriptカスタマイズが必要となります。

画面で見るだけや、帳票出力であれば、基本機能の計算で可能ですが、リマインダー通知を使いたい場合については、注意が必要ですね!

厳密でなければリマインダーの条件通知設定で可能

ただし、厳密な意味(うるう年も考慮)での一年後の日付が必要なければ、リマインダーの条件通知の設定で可能となります。

365日後にリマインダーをセットすることはできる

#6問目(フィールド種類の変更)

運用中アプリのフィールド種類の変更は設定画面からできる(例:チェックボックス→ドロップダウン)
選択肢:
・できる
・できない

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できない

これはもちろんみなさん正解ですよね!
というか、できたら嬉しいなーという願いも込めて作った問題です。
フィールドの種類をあとから変更することはできません。

この問題を出題したポイントとしては、変更可否だけではなく、
実際の活用シーンでは、フィールド種類の変更をするケースは割りとあるが、そのときに適切な対応ができるか?というところです。

フィールドの種類変更を実際やる場合には、次のような手順が必要です。

  1. 新しくフィールドを追加

  2. 既存レコードのデータをファイル出力

  3. 新しいフィールドにデータ読み込み

  4. 不要になったフィールドを削除(なにかあったときのためにすぐ消さずに退避させておく)

フィールドの種類によっては、2と3の間でデータ形式を変換する必要がある場合があります。特に次のフィールドには要注意です。

  • 複数選択系(チェックボックス、複数選択)
    ファイル出力したときのデータ形式が特殊なので、データ形式の変換をうまくやる必要がある。

  • ラジオボタン
    ラジオボタンは「運命的必須フィールド」なので、既存レコードのケアを忘れないことが超大事です。
    これをやらないで追加しっぱなしにした場合、次のようなリスクがあります。

    • 既存のレコード編集保存時にラジオボタンの初期値が自動的に設定されてしまう
      意図せず、誤ったデータが保存されてしまうおそれがありますね

    • カスタマイズや連携サービスでレコード更新するときにエラーとなる
      必須であるラジオボタンが未選択である状態は、正しいレコードのデータの状態ではないので、カスタマイズによる更新時にはエラーとなる原因となります。

#7問目(運用中アプリへのラジオボタン追加)

運用中のアプリに新しくラジオボタンフィールドを追加した。既存のレコードのラジオボタンにはすべて初期値が自動的に設定される。
選択肢:
・正しい
・間違っている

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:間違っている

前の問題でも解説しましたね。大切なことなので改めて。ラジオボタンを運用中レコードに追加した場合は、必ず既存レコードを確認・対応するようにしておきましょう。
古いレコードなので、何を入れたらいいか判断できない場合は、新しく追加するラジオボタンに、そのような選択肢を設けておく、というワザもあります。

未選択(過去レコード)という移行用選択肢を作る方法

#8問目(運用中アプリへのラジオボタン追加)

一覧画面の絞り込みの条件に、関連レコード一覧で参照したフィールドを利用可能である
選択肢:
・はい
・いいえ

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:はい

正解率は約5割!
意外と知られていない機能です。
一覧画面の絞り込み条件に、関連レコード内のフィールドを設定することが可能です。

次のようなアプリ(営業支援パックの顧客管理)を例に見てみましょう

関連レコード一覧「案件一覧」の【営業支援ツール】を含むレコードを表示したい
条件のフィールド選択リストに、関連レコード一覧内フィールドも出てくる!

この機能を活用すると、次のようなちょっと変わったこともできますね。

データを分類するときに、よくある「大分類」「中分類」「小分類」。
3つのドロップダウンで作ることもできますが、それぞれの分類の階層関係を制御し、整合性を保った大中小分類の選択をすることは基本機能では難しいですよね。

そこでメインのアプリでは、小分類だけを選ぶようにしておき、その上位分類である、大中分類は関連レコード一覧で参照するようにします。

一覧を大中分類で絞り込みたい場合は、この関連レコード一覧内の大分類、中分類を使う。

考えたら他にもいろいろアイデア出てきそうですね!

#9問目(運用中アプリへのラジオボタン追加)

プロセス管理のステータスが更新された際に、独自のメッセージを作業者に送ることができる。
選択肢:
・できる
・できない

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:できる

これは約3/4の人が正解でした。比較的正答率が高かったです。
kintoneの通知機能を知っている人であれば、ピンと来ます。
そう、「レコードの条件通知」を使う!ですね。

ステータスの変化のタイミングでの通知は、レコードの条件通知以外にも、アプリの条件通知を使うこともできます。

アプリの条件通知を使ったことがある人は感じていたかもしれませんが、この通知って、ちょっと冷たい感じがしませんか??
「作業者になりました」
「レコードが追加されました」
通知をもらった人が、次にどんなアクションをしたらいいのか?がこの通知文からはハッキリ読み取れません。

なので、私は通常「レコードの条件通知」を多用します。
レコードの条件通知であれば、それぞれの通知設定で通知文を設定できますので、次に行ってほしいアクションを明確に指示することができます。

アプリの条件通知の活用Tips

アプリの条件通知は、管理者として新しく作ったアプリの利用状況を管理したいときに使うこともあります。
レコードが登録されたときに、ちょっと見に行って状況をチェックしたり、必要に応じてユーザーのフォローをしたりすることもあります。
新しく作ったアプリだけではなく、新しくkintoneを使う部署が増えたときもチェック対象にすることがあります。
何事も最初が肝心なので、最初はちょっと手厚くフォローしてあげることで、しっかり定着させることに繋がると思います。

#10問目(アプリの棚卸し)

アプリ管理画面のデータで「最近参照されていないアプリ」を見つけて棚卸しすることが可能である。
選択肢:
・正しい
・間違っている

https://quiz-maker.site/quiz/play/wRgNgs20240309165819

正解:間違っている

今回の10問の中で、いちばん正答率が悪かった問題です。
ポイントは「参照」。最近参照されていないアプリ です。

アプリ一覧(アプリ管理画面)で確認できる日付関係の利用状況データは次の2つです。

  • 最後にレコードが追加・編集された日

  • アプリの設定を最後に更新した日時

kintoneアプリの使われ方には、何種類かあります。

  1. レコードを追加していく

  2. マスタとしてルックアップされる

  3. 必要な時に参照する(資料庫、ルールや規定類)

この中で1は、アプリ管理のデータを使うことで棚卸し可能です。
しかし、2と3は直接または間接(ルックアップ等)的に参照される使い方ですが、この利用状況をアプリ管理のデータで確認することはできません。

2のルックアップで使われているアプリは、アプリ間連携がしっかりと設定されているため、そもそも棚卸しの対象にはならないかもしれませんね。

3の必要な時に参照するアプリは利用状況を見える化するのはなかなか難しいです。プラグインやJavaScriptカスタマイズでPV(ページビュー)的なデータを記録するか、別に設けたログアプリに参照ログを残すという方法が考えられますが、どちらも基本機能では実現できませんね。

3の参照記録に利用可能なプラグインをちょこっと紹介。
どの記事がどれぐらい読まれているか?ランキングを出したり、利用状況の把握にも活用することが可能です。


まとめ

さあ、みなさんのチャレンジ結果はどうだったでしょうか?
意外と、kintone歴が長い人が引っかかる問題もあったのではないでしょうか?

kintoneの活用ノウハウの発信はいろいろな方が記事を書かれていますが、クイズ化することで、より印象に残るのではと思っています。
また、kintone Caféなどのコミュニティの場でも盛り上がることができますので、楽しみながらkintone活用力をつけることができますね!

謝辞

今回のクイズは、クイズメーカーというサービスを使わせてもらいました。
Xでクイズやりませんかポストをしていたところ、開発者のあんどさんからコメントを頂きました。

みなさんもぜひオリジナルクイズを考えてみてください!

いただいたサポートは、今後とも有益な情報を提供する活動資金として活用させていただきます! 対価というよりも、応援のキモチでいただけたら嬉しいです。