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史上最強の栄養教諭 :-)

以前この話に登場した「強面(こわもて)の管理栄養士」、佐久間象子。

佐久間象子の本業は栄養教諭です。
栄養教諭とは、児童・生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる教員のこと。
要するに「食育の先生」として学校に勤務する人です。

今回は佐久間象子の「栄養教諭ぶり」を観察してみましょう。

その日、3年1組の児童たちは朝からピリピリしていました。
佐久間象子先生が給食時間にやってくる日だからです。
佐久間先生は1日1クラスずつ、給食時間に指導を行っています。

4時間目の終了を告げるチャイムが鳴りました。
いよいよ給食時間です。
3年1組の児童の心拍数は増え、体温が上昇しました。

給食の配膳が終わったころ、教室に近づく佐久間象子先生の、サンダルの足音がしました。
児童たちにはそれが「ドスン」「ドスン」という地響きのように聞こえました(象子だけに)。
そしてとうとう、教室のドアが開きました。

「そこのあなた。立ちなさい」教室に入るなり佐久間象子先生は、先頭の座席に座っている男の子を指さしました。「名前は?」
男の子は顔面蒼白になって立ち上がりました。「大野です」
「では大野。今日の献立をみんなに説明しなさい」

腕組みをして構える佐久間象子。
「どうしたの、大野。今日の献立をみんなに説明しなさい」
「は、はい」
大野君は震える手でメモを読み上げました。
「ホウレンソウの磯部和え、サワラの南蛮漬け、玄米ご飯、リンゴ、牛乳です」
「よろしい。座りなさい。ではその後ろのあなた。名前は?」

指された女の子は蚊の鳴くような声で答えました。「小西です」
「では小西。サワラの旬を答えなさい」
「えっ」
「サワラの旬ですよ。いつですか」
かわいそうに小西さんは、どうやら予習をしてこなかったようです。
声もでず、固まってしまいました。

佐久間象子の顔が、みるみる赤くなりました。
「さっさと答えなさい。答えないと、料理が冷えてみんなの迷惑になるんだぞ!」
ますます声がでなくなる小西さん。
クラスのみんなも、じっと下を向いています。

どうなる、3年1組。

すると、学級委員の女の子が手を上げました。
「先生、サワラの旬は春です」
佐久間象子は学級委員のほうに向きなおりました。「名前は?」
「島田です」その表情はちょっと得意げでした。
「そうか。島田。いつあなたに発言してよいといいましたか」
島田さんの顔から血の気がひけました。

「まあいいでしょう。では島田に聞く。今日のリンゴの品種を当てなさい」
「えっ、品種…?」
佐久間象子先生は黒板をドン!とたたきました。
チョークの粉が飛び散り、黒板に少しヒビが入りました。
「わからないのですか。リンゴを食べるときは品種を意識するようにと、前にも言ったはずだ。いったいこのクラスはどうなってる。給食を本気で食べる気があるのか?!」

泣き出す島田さんを見て、佐久間先生はすこし態度を和らげました。
「今日はこのへんにしておく。では食べなさい。いただきますを言う係は誰ですか」
係の遠藤さんが手を上げました。
「では、いただきますを言いなさい」
遠藤さんの号令で教室のみんながいただきますを言い、食事時間が始まりました。

ところが、5分もたたないうちに、佐久間象子は再び爆発しました。
「どうして黙って食べているのですか。食事は団らんで楽しく会話しながら食べるものなのだぞ。何度いったらわかるのですか!」

実際にはこんな栄養教諭はいないので、みなさん、安心してください。

~終わり~



メールマガジンはまじめに書かれています。
今回のような与太話はありません(笑)。

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