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ワサビを追う外国人と逃げる日本人

和食は海外であれほど人気なのに、肝心の日本国内では食の欧米化が進み、和食の知識が廃れはじめている…。
そんな話をよく聞きます。

ワサビの世界にも、そうした流れを見ることができます。

日本

日本の伝統的な薬味であるワサビ。

筆者は「ワサビさえあれば、他の調味料とかはなくてもいいかな」と思うタイプです。
個人的なおすすめは、かき揚げを食べるときにワサビのすったのを多めに載せ、がぶっとやる食べ方です。

そんなワサビですが、日本人のワサビ離れがじつは進んでいるという「悲報」を、読んだり聞いたりすることが増えました。
回転寿司で食べる寿司や、スーパーで買う寿司も、ワサビ抜きがデフォルトになった感があります。

唐辛子の辛さ(※1)はみんな好きなのに、ワサビの辛さ(※2)はなぜか敬遠されているようです。

(※1)カプサイシン
(※2)アリルイソチオシアネート

日本国内でのワサビの生産量も、減少傾向にあるようです。
たとえば静岡県は有名なワサビ産地ですが、農水省によるとこの10年で静岡県のワサビ生産量は半分以下になっています。

理由のひとつは、世の中ワサビ抜きがデフォルト化したせいで重要が減ったこと。
もう1つの理由は、ワサビはきれいな環境(とくに、水)でしか育たないのに、「きれいな環境」が減ってきたこと。

2018年に「静岡水わさびの伝統栽培」が世界農業遺産に認定されました。
これはワサビが豊富に育つから認定されたのではなく、ワサビの将来が危惧されているから認定されたものです。
(だから「遺産」という言葉になっています)

海外

日本ではワサビに逆風が吹いていますが、海外では人気のようです。
その理由は日本食ブーム。
ワサビは「wasabi」として世界あちこちに広がっていきました。

日本での生産が減少するいっぽうで、オーストラリアやカナダなどではワサビの栽培が「儲かるビジネス」とされ、ワサビを手がける生産者が増えているとか。
海外で生産されたワサビが、和食人気に乗って世界に広がっていくようすが、目に浮かびます。

かつてアメリカでは「ワサビの食べ方を知っていることがカッコイイ」とされた時代がありました。
現地のメディアでもワサビがいばしば話題になっていたようです。
いまから10年と少し前のころです。
一説によれば、wasabi という単語の響きが、英語圏の人にはカッコよく感じられるとのこと。
そのカッコよさから、wasabi を社名にするIT企業なんかもあります。
日本人である筆者にはそのへんのセンスはよく分かりませんが。

いずれにせよ、今から10年と少し前の頃は、デートで彼女を寿司レストランに案内し、そこでワサビの食べ方を講釈する男性が多かったといいます。
おかげで、今ではワサビはアメリカでもすっかり市民権を得た風になっています。
ある統計によると、寿司レストランでアメリカ人客が消費するワサビの量は、日本人の倍だそうです。

おまけ

伊豆半島にある函南町というところに
「伊豆わさびミュージアム」
というワサビの殿堂があるそうです。

取材したFNNの記事が面白かったので、リンクを貼りつけておきます。




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