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日本人はヌーハラとどうつきあうのか?

ヌーハラとは

ヌーハラとはハラスメントの派生語の1つに「ヌーハラ」なるものがある。
「ヌードルハラスメント」の略で、麺類を食べるときに麺をすすってズルズルと音を立てる食べ方をハラスメントとしている。
わりと新しい言葉だ。

ズルズル音はおもに外国人に不快感を与えるとされ、

  • ズルズル音をたてる人=加害者

  • その音を聞かされる人=被害者

という構図で語られることが多い。
日本人でも上品なのが好きな人は、ズルズルをいやがるかもしれない。

ただし、逆のパターンも「ヌーハラ」だとする意見もある。
つまり、

こっちはズルズル音を立てて気持ちよく食べたいのに、それを許さない同調圧力があることだって「ヌーハラ」なんじゃないか

という意見だ。

なんかタバコの話みたいな感じになってきたが、いずれにせよ、訪日外国人が増えてくると、この問題は気になってくる。

「あり派」はこう思う

箸文化の日本では明治になるまでスプーンなどなかった。

  • 食器を手に持つ(※1)こと

  • 汁や麺をすする際に音を立てること

などが、咎められることは基本なかった。

むしろ、すする音を
「美味しく食べている証」
とみなす向きさえある。

すすることで空気を含み、麺やスープの味が口内で広がりやすくなり、より美味しく感じることができるという。

すするのは、熱いのを冷ましながら食べるための効率的な方法でもあるだろう。
熱い麺をすすることにより、熱を効果的に逃がすことができ、口の中で適度な温度になるため、熱いまま食べるよりも旨みを感じやすくなるという。

(※1)片手で持てるサイズの場合に限る。

「なし派」はこう考える

しかしそれを不快に思う外国人がいることも確か。
しかも大勢いる。

ちなみに大多数の外国人は「すする」技術を持っていない。
すすった経験もない。
筆者を含め多くの日本人が L と R を区別できないのと同様、多くの外国人は、仮にすすろうとしてもすすれないようだ。
無理にやると、気管支に入ってはげしく咽ることになるだろう。
そもそも、すすりたいとはたぶん思っていない。

海外在住の日本人の多くは、そのあたりを意識している。
うっかりズルズルやらないよう、注意深く暮らしている。
外食するときはたとえ日本食店に入ったとしても、ズルズルやらないように注意しているはずだ。

すすることには健康リスクもあるという。
すするのが癖になった結果、熱い食べものを熱いまま飲みこむようになる人がいる。

それが長期に続くと、

  • 気管支炎になる

  • 口内の粘膜が傷つく

  • 食道が何度も火傷する(※2)

など体にヤバイことも起きやすい。

(※2)いわゆる「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」現象だ。

「日本人がズルズルと音をたててラーメンを食べるのを目撃した訪日外国人が驚いている」そんなマンガ絵をAIに生成させようとがんばってみましたが、こんなんばかり出ましたの図。これでもマシなほうです。他のはもっと奇妙でした。

「オトナ」はこう言うかも

というわけでこの件については
「すするのはアリ派」
「なし派」
両方が存在する。

ただし、もっとも多いのは
「時と場合による派」
だろう。

「時と場合による派」の意見はこうだ。

まず、「郷に入っては郷に従え」が原則となる。
ズルズル音を不快に思う国(日本以外は、だいたいそうかな ※3)にわれわれが旅行したり滞在したりしているときは、その国の文化や習慣に従い、音をたてない。

しかし日本にいるときは音をたててよい。
「訪日外国人も、日本に来たら一緒に音をたてようよ」
とまでは言わないが、日本にいるかぎり、日本人が音をたてて食べていることは我慢してほしい、というか慣れてほしい。

ただし、われわれ日本人も、日本にいる外国人と一緒に食事をするなら、すすって食べる日本の麺文化を事前に説明するように心がけよう。
文化の違いを理解し、互いに尊重しよう。

…だいたい、こういう意見だ。
大人びた、まっとうな意見と言えるかもしれない。

「シーハラ」はないのか?

(※3)について:

筆者はずっと「日本以外のすべての国で、ズルズル音が嫌われている」と思いこんでいたが、ビミョーな体験もした。

オリーブオイルの世界で、ワインと同様に「テイスティング」が行われているのはご存じだろうか。
オリーブオイルのテイスティングでは、口に含んだオリーブオイルの風味を確認するために、シーシー音をたてて空気を出し入れする。
日本のオジサンが食後につまようじを使うときによくたてる、あのシーシー音に近い。

いろんな意見があるだろうが筆者としては
「あれがOKなら、ズルズルも許してもらえないかなあ」
と正直、思う。

オリーブオイルのテイスティングは、欧州や中近東、アフリカの随所で行われているようだが、プロはみんなシーシーやっているようだ。




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