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変化社会に必要とされるサードプレイス

そもそもサードプレイスとは?

 このところ、多方面で耳目に触れる機会が増えたサードプレイスについて、意味や目的をお伝えします。

サードプレスは、英字ではthird placeや3rd PLACEと表記され、「自宅を fast place/1st PLACE、学校、職場をsecond place/2nd PLACEとした時に、それらとは異なる居心地の良い第三の居場所を指す言葉」です。その歴史は、意外と古く1989年にアメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが出版した書籍「The Great Good Place」(日本名「サードプレイス〜コミュニティの核になる『とびきり居心地よい場所』」で初めて提唱されました。
※以降1st place、2nd PLACE、3rd PLACEと表記します。

サードプレイスが生れた1989年のアメリカ


 1989年のアメリカは、1980年後半から90年代にかけて、企業間の競争激化や急速な技術変化、経営の効率化によって、これまで主流だった長期継続雇用(わが国で言う正規雇用・終身雇用)の大部分が終焉を迎え、非長期継続雇用(わが国で言う非正規・ジョブ型雇用)へ置き換わってゆきました。そうした状況に適応できない労働者は職を失ったり、思い描く仕事に就くことができず、人生の大部分を占める“働くということ”に停滞感が生れるようになっていました。

古き良きアメリカでは、「人生においてしばし訪れる予期せぬ変化」に直面すると、教会が調整機能を果たし“図らずとも人生が好転していたこと”はアメリカの社会学者マーク・グラノヴェッターが提唱した"The strength of weak ties(弱い紐帯の強み)"説からも有名です。

当時、教会の果たす役割が3rdPLACEだったのです。

工業化の進展が、社会基盤や人と人の繋がりを希薄にし、孤独社会を形成し、かっては教会の集会で起きていた「失業したことを話していたら、“一緒に働かないか?“と声を掛けられる」「仕事で上手く行かず悩んでいると、“働き方を示してくれるロールと出会う“」といった調整も機能しなくなっていました。

教会のイメージ

なぜ、サードプレイスが必要なのでしょう?

 アメリカの変遷から見て取れますが、家庭と仕事、家族と学校のように、1st placeと2nd PLACEの往復で人生を過ごしていた場合に、「予期せぬ変化」により、いずれかのPLACEを失うと、残すPLACEは単体となってしまい、人が持つ社会的側面の減退させてしまいます。

そもそも「人は社会的動物」であり、他者との出会いや交流を通じて、ストレスの軽減やアイデアの創出、自己理解を深めたり、知的な刺激を受けて活動に気づきを得たりしています。最近では、他者との交流が健康や幸福にも影響している研究結果が公表されています。

「PLACEを一つ失う」と言うことは、物理的な損失以上に、質的側面への影響が大きく、それを防ぐのが3rdPLACEになるのです

日本においても例外なく、企業間の競争激化や急速な技術変化、経営の効率化によるひずみが、我々の働き方や人生にまで変化を促しています。これまで往復してきた1st placeと2nd PLACEを、「予期せず失うこと」を考えても、さらには、自らPLACEに変化を起こそうとするなら一層、第三の居場所が必要とされているのです。

*サードプレイスについて興味をお持ちの方は下記linkをご参照下さい。

・書籍:サープレ!: 自分らしさを取り戻し、可能性の窓を開き続ける「つながり」の場
・コミュニティ:My 3rd PLACE

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