2020.9-5「重陽(ちょうよう)の節句」にちなんで、「菊」のお話
毎週火曜日18:50-19:00オンエア中(レインボータウンFM88.5MHz)の「食とココロの処方箋」です。 少し遡って過去の分も掲載していきます。
9月第5週の食とココロの処方箋。
もうすぐ10月、すっかり秋らしくなりましたね。
季節の変わり目、気温も変わりやすい時期ですから体調にもお気をつけください。
《コーナー①》
最初のコーナーは、今週の暦です。
一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。
二十四節気は、9月22日から10月7日まで「秋分(しゅうぶん)」
七十二候は、9月28日から10月2日まで「蟄虫坏戸(むしかくれて とをふさぐ)」、寒さを察知した虫達が冬ごもりの支度を始める頃。
これは3月初旬の「啓蟄(けいちつ)」の初めの候、「蟄虫啓戸(すごもりむし とをひらく)」と対になっています。
気温が下がってきたこの頃、人間も秋の支度をする時期ですが、10月になっても気温が上がる日があったりしますから、着る物には迷ってしまいますね。
午後5時38分。
少しだけ昼の時間が長くなっています。
秋分
秋分の日は毎年決まった日付ではなく、国立天文台の算出した秋分日を基に、正式には前の年の2月に決められるそうです。
地球から見た空を「天球」という1つの球体に見立てると、太陽の通り道である「黄道」と、赤道を天球上に延長した「天の赤道」が交わる点が2つあって、その1つが「秋分点」です。
この点を通過する瞬間が「秋分」で、暦ではこれを含む日を秋分の日としています。
(もう1つが「春分」ですね。)
実際に昼と夜の差が一番小さいのは、秋分の日よりも4日ほど後になります。
ここからはだんだん日が短くなり、夜の時間が長くなってきます。
秋の夜長といいますが、昔の人のように月を見て過ごす夜はいかがでしょうか。
旧暦の8月15日・現代の暦の10月1日は、「中秋の名月」「十五夜」です。
秋は、月が一番きれいに見えるといいます。
空気が澄んでいて、空を通る月の高さもちょうどいいからだそう。
曇ったり雨が降ったりして、月が見えないこともありますよね。
それにさえ、「無月(むげつ)」「雨月(うげつ)」という名前がついていて、雲の向こうにある見えない月に思いを寄せる昔の人の気持ちが感じられます。
十五夜の後はだんだん月が昇ってくる時間が遅くなってくるのですが、それにも名前がついているのをご存じでしょうか。
十五夜の翌日は、十六夜とかいて「いざよい」。
「いざよう」はためらうというような意味で、十五夜より少し遅れて、ためらうように出てくる月のことです。
翌日の17日の月は、立ち話をしているうちに登ってくる「立待月(たちまちづき)」。
18日はゆっくり座って待つ「居待月(いまちづき)」。
19日は寝室に入って寝ながら待つ「臥待月(ふしまちづき)」。
20日になると夜が更けるのを待って昇ってくる「更待月(ふけまちづき)」。
だんだん昇るのが遅くなる月の出を待つ感じが伝わってきます。
お月見といえば満月に近い十五夜が有名ですが、古来日本では、旧暦9月13日の「十三夜」も美しい月として大切にされてきました。
中秋の名月の後なので、「後(のち)の月」とも呼ばれます。
中秋の名月は中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自のものだそうです。
まん丸ではないところに美しさを見出すあたり、日本らしいような気もしますね。
2020年の十三夜は、10月29日です。
中秋の名月と併せて見る「二夜(ふたよ)の月」。
どちらも普通の平日なので忙しく過ぎてしまうかもしれませんが、ひととき電気やテレビを消して、空を見上げてみるのもいいのではないでしょうか。
《コーナー②》
次のコーナーは、「四季折々の食事と健康」。
この番組では、「医食同源」をテーマに、日本の四季と、旬の食べ物・季節に合った食べ物を紹介しています。
9月は、「重陽(ちょうよう)の節句」にちなんで、「菊」のお話です。
先週までは、「菊酒」や、「食用菊」、「菊花茶」についてお伝えしました。
今週は、同じキク科の植物「カモミール」のお話です。
最近では、ハーブティーやアロマ、スキンケア製品など、身近なお店でも見かけるようになりました。
カモミールにもいろいろ種類があるのですが、主に使われるのは、ジャーマン・カモミールとローマン・カモミールです。
共通する特徴は、鎮静・鎮痛・抗炎症・抗アレルギー・消化器系への作用など。
ひとことで言うと、「鎮める・和らげる」働きと表せるでしょうか。
炎症を鎮める、痛みを和らげる、高ぶった神経を鎮める、不安を和らげる…など、様々な目的で使うことができます。
菊の花も、炎症を鎮めて熱を下げる特徴がありますから、同じキク科の植物同士、似ているところがあるなぁと思います。
今回は、より身近に使いやすいハーブティーとしての活用法をお伝えします。
コーヒーや紅茶、緑茶などと比べると、日常的に飲んでいる人は少ないかもしれませんが、使いやすいティーバッグタイプのものも増えていますので、ぜひ日常に取り入れてみてくださいね。
ハーブティーの中では最も有名ともいえるジャーマン・カモミール。
和名の「カミツレ」の方でご存じの方もいるでしょうか。
イギリスの童話「ピーターラビット」のお話にも、このカモミールのお茶が出てきます。
子供のうさぎのピーターがなかなか眠れない時、お腹が痛くなった時、お母さんうさぎがカモミールを煎じて入れてくれます。
カモミールの特徴がとてもよく表れていますね。
子供も飲める優しいハーブで、「医者いらずの薬草」として、古くから使われている植物なのです。
カモミールティーは「リラックスのお茶」としてよく知られているように、ストレスや緊張、興奮を和らげて、安眠に導く作用があります。
カフェインも含まれていないので、眠れない夜やストレスを感じた時にお勧めです。
苦みが気になる場合は、ミルクティーにしたり、ハチミツを少し入れたりしても、美味しく飲めますよ。
胃腸の働きを整える作用もありますので、消化促進のために食後に飲んだり、ストレスで胃の調子が悪い時や胸やけ・消化不良にもお勧めです。
同じく消化促進してくれるペパーミントとブレンドすると、相乗効果もありますし、スッキリ感も加わって飲みやすくなります。
その他、炎症を鎮める作用は、喉の痛みや皮膚のトラブルにも向いています。
濃いめに抽出して、入浴剤にすることもできますよ。
ぜひお試しください。
ラジオ「食とココロの処方箋」は東京23区エリアを中心としたレインボータウンFM88.5MHzで毎週火曜18:50-19:00オンエア中です。
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