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愛する人と一緒なら、どこにでも。

#どこでも住めるとしたら

”Every man dies but not everyone truly lives" by William Wallace  「すべての人は死ぬが、誰もが真に生きるわけではない。」
この名言はスコットランドからイギリスから独立するために戦った映画Braveheartより主人公William Wallaceが語った言葉である。

今現在私はアイルランドの田舎町にアイリッシュのパートナーと住んでいる。ローマ人たちはアイルランドに"Land of Winter”と名付けた通り、雨が年間を通じてとても降る。太陽の光を浴びられれば、拝むような気持ちになる。Alantic Oceanからの風土により、冬の気温は日本よりも比較的暖かいところが唯一の救いだ。

昨年からアイルランドに住み、今年から本格的にアイルランドに移住を夢見てたが、断念しようと思う。それまでの経緯を綴らせて頂きたい。

私は30歳までシンガポールでOL漂流をしていた。30歳を機に、ホルモンの影響のせいなのか、世間体なのか急に愛するパートナーを真剣に探し始めた。アメリカに留学をして卒業してから、きっと私は自分が本当に活かされる居場所を探してきた。人生は一生「内観」という旅とのお付き合いなのだろう。アラサーの時期は一度日本に帰国し、OLをしながら婚活をスタートさせた。私の場合は様々な国の人との出会いがあり、苦い経験もしつつ、今振り返るとその経験は糧になったと思っている。最愛の今のパートナーに出会うまで、婚活サイトのマッチング登録から卒業をして、退会。これからは一人で一生を生きるんだと絶望の朝と決意を迎え、オフィスへと勤務していた苦い記憶がフラッシュバックする。そんな矢先に今の彼と出会った。

彼はフランス人の知人からの紹介で出会った。交際期間は約5年程になる。その間紆余曲折色々なことがあった。彼は5Gのネットワーク構築のために、アイルランドオフィスから派遣された、エンジニアだった。彼に会うまでアイルランドに無知だったが、徐々に彼を通じてアイルランドを知っていく。アイルランドがイギリスから独立するまでに、ジャガイモ飢饉を乗り越え、生き延びるために、アメリカに移住しアイリッシュ系アメリカ人が誕生した。統計学的に現在のアメリカ人の三分の一がアイリッシュ系の血を引き継いでいるそうだ。白人といってもアイリッシュ人の起源はケルト民族で、主観ながら日本人と感覚がとても似ていると感じる。

アイルランドはケルトの虎という時代を経て、その間に法人税を下げ外資を呼び込み、特にアメリカの協力のおかげでIT立国へと成長した。GDPも高い。北欧や寒い国というのは風土により、その厳しい環境下で生き延びなくてはならないため、力強い。アイルランドはSt. Patrickによりキリスト教カトリック教が栄え支配していった。映画The Magdalene Sistersを観て頂くと理解できるが、1996年までマグダレン精神病院は厳格なカトリックの戒律に依拠した道徳観に基づき、婚外交渉した女性などを収容していた。今現在もカトリック教の影響により男子校、女子校と分かれている学校が多い。共学にいく場合はBaptistを受けなくてはならないという。結婚も離婚をするにも約4年ほどの期間を設けなくてならない。なので事実婚カップルも婚姻カップルと同等な権利が与えられている。男女格差も日本よりはなく、その理由に"Mindset"だと彼が呟いたことに唸った。

今年に入りアイルランドに移住すると決めて、わずか数ヶ月で帰国したい気持ちの変化に正直私自身が驚いている。ホームシックというよりは、フードシックなのである。出汁のきいたお味噌汁、特にお味噌汁が恋しいのである。それにご飯とぬか漬けのお新香さえあれば、何もいらない。出し汁が枯渇した心を潤してくれるのである。美味しいものを、愛する人を喜ばせるために作る料理は、格別な味が宿る。喜んでくれる一瞬のために、紡ぐ作業を厭わないのである。「#どこでも住めるとしたら」とあるが、住む家に機能性(日本のバスシステムやウォシュレットトイレ)、快適性(断熱材)。食事は家庭料理の和食がメイン。そこに愛する人が一緒にいて魂に光をともしてくれる希望さえあれば、それが都なのである。

今年の冬、クリスマスシーズンに私たちはアイルランドからスペイン領土のカナリア諸島に休暇をとった。仕事の関係で心身ともに少し病んでいた私には、この旅行は彼からのクリスマスプレゼントであった。
カナリア諸島のシェラトン(Tenerife)で1週間ほど滞在し、クリスマスディナーを楽しんだ。Half Board Package という朝夕食付きプランで、1食抜いても私のお腹には丁度良いくらいだった。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しで、栄養を摂り過ぎても毒になるのかと、お恥ずかしながら初めて体感したものである。その後もIT Workerがリモートワークする諸島や自然溢れるLa Palma にも滞在した。年間を通して暖かい風土に惹かれ、北欧、ドイツ、イギリス、アイルランドからの旅行者がバカンスに訪れる場所だ。Financial Crisisの爪痕も多々残ってあり、開発が中途半端で投げ出された建築物が、陽気な雰囲気とのコントラス印象をもたらした。シエスタ文化も風土により成り立ち、ホームレスも暖かさにより耐え凌いでいる状況だ。

EU圏主流のビデ

さてバカンスからアイルランドの現実世界に帰り、アイルランドでは固定資産税や水道代がないことに驚いた。アイルランドで住むことのメリットとしては、男女の固定概念が日本よりも少ないことである。学費も無料だし、お父さんが子供の世話をしているのを何度も公園に行って目の当たりにする風景を眺めていると、憧れである。日本は資源がないからできないのか、人口が多すぎるからなのか、分析の結論は出ないが、やはり"Mindset"なのだろう。犬の散歩もリードに繋がれてなくて散歩している犬ばかりを見かけるが、やはり日本の管理社会と束縛感ではなく、信頼で成り立っている国家であると感じられる。日本人であるアジア人の女性として、立場は弱く、やはり劣等感は拭いきれないが、その悔しさをバネに笑顔を絶やさないように努めたい。

パパがベビーカーを押す後ろ姿

Ancestry site により、彼の親族のUnionが春にあるらしい。やはりアメリカに渡ってもアイリッシュは血縁を重んじ大切にするのだと痛感した。もちろんアイリッシュも日本人も現在社会においては、家族の空洞化、絆が薄れつつある。ここで本題の「#どこでも住めるとしたら」の私なりの結論としては、拠点はどこでもよいのである。本質は自分に正直に、自分を満たし、満たされる愛する人とかけがえのない時間を過ごせているかということだ。全ては心の定め次第なのだと。自分自身に偽りがなく、素直に生き、コミュニティーの仲間と繋がる場所が定住地なのだと。この世のしがらみは神様からの産物で魂の学びの機会だと捉えられるようになるまで、まだ自答自問の旅は続きます。



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