![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78508227/rectangle_large_type_2_691dc018aa7cda11dc7edd3ffac9c46e.png?width=1200)
フィンランド語文法 #3 「私は住む」(タイプ1の動詞と母音調和)
フィンランド語には「母音調和」という面白い発音ルールがあり、言語オタクとしては興奮せざるを得ません。
そして、フィンランド語の動詞は全6タイプの活用方法があるそうです。
この記事では「母音調和」と「タイプ1の動詞の活用方法」についてまとめます。
前回の復習
1.前提(「語幹」と「辞書形」)
※分かる方は飛ばしていただいて大丈夫です。
動詞は、人称代名詞によって活用(語尾が変化)しますが、その時どの動詞でも変わらない部分を「語幹」と言います。
(例えば日本語だと、「食べない」「食べて」「食べる」など活用しても「食べ」の部分は変わりません。この場合「食べ」が語幹です。)
そして、そのままですが辞書に載っている形を「辞書形」と言います。
英語だと「原形」が辞書形ですね。
2.母音調和
母音調和は、動詞の活用を理解するうえでとっっても重要な考え方です!
発音の記事では、フィンランド語の母音は全部で8種類あることに触れました。これらは発音時の「舌の位置」によって3つのグループに分かれます。
①前母音(舌の位置が前方)
y,ö,ä
②中立母音(だけど発音上は舌の位置が前方なので前母音)
i,e
③後母音(舌の位置が後方)
u,o,a
母音調和とは、「グループ①とグループ③の母音は同じ語の中に一緒に出てくることはできない」というルールのことです。
たとえば、"asua"(住む)という動詞の場合、決して "asuä" という形にはなりません。
なぜなら、グループ③の母音を使った "asu" とグループ①の "ä" を同じ語で共存させることができないからです!
(個人的にこのルールめちゃくちゃ面白いです!)
グループ②は、①と③のどちらとも共存することができます。
ただし、発音上は前母音に分類されるので、どちらかと言えばグループ①と結びつきやすいです。
例えばグループ②だけで構成される "esti"(「探す」の語幹)は、"estia" にはならず、"estiä" になります。
3.タイプ1の動詞の現在形
母音調和を踏まえたうえで、タイプ1の動詞の現在形を見ていきます。
なお、現在形は、現在のことだけでなく未来のことを表すのにも使われることに注意が必要です。
まず、人称代名詞を思い出してみます。
私、あなた、彼/彼女、私たち、あなたたち、彼ら/彼女ら
・
・
・
・
・
・
・
・
それぞれ、minä, sinä, hän, me, te, he でした。
これらに「住む」を意味する "asua" をつなげると、"olla" の時と同じく、人称代名詞によって動詞の形が変化します。
minä asun(私は住む)
sinä asut(あなたは住む)
hän asuu(彼/彼女は住む)
me asumme(私たちは住む)
te asutte(あなたたちは住む)
he asuvat(彼ら/彼女らは住む)
もう一つ、「生きる」を意味する "elää" も見てみます。
minä elän(私は生きる)
sinä elät(あなたは生きる)
hän elää(彼/彼女は生きる)
me elämme(私たちは生きる)
te elätte(あなたたちは生きる)
he elävät(彼ら/彼女らは生きる)
"asua" と "elää" の活用の違いを比べてみると、以下の2つが見つかると思います。
①hän(彼/彼女)のときの活用語尾が違う
②he(彼ら/彼女ら)のときの活用語尾が違う
これを説明するには、以下の活用ルールと「母音調和」のルールが役に立ちます。
<活用ルール>
minä -n
sinä -t
hän 語幹の最後の母音を伸ばす
me -mme
te -tte
he -vat/-vät
①hän(彼/彼女)のときの活用語尾が違う
こちらは、上記の活用ルールから「語幹の最後の母音を伸ばす」を適用すればシンプルに説明できますね。
"asu" は u で終わっているので "asuu"
"elä" は ä で終わっているので "elää"
②he(彼ら/彼女ら)のときの活用語尾が違う
これは「母音調和」のルールで説明できます。
"asu" はグループ③なので "asuvat" になります。グループ①の母音が入った "asuvät" にはなれませんね。
"elä" はグループ①と②の母音が含まれているので "elävät" になります。グループ③の母音が入った "elävat" にはなれません。
確認クイズ
新しい言語を学ぶと、楽しさと難しさで混乱します。笑
私もまだ覚えている途中なので、自分自身の復習のためにも確認クイズを用意しました。
1.フィンランド語の母音(a,i,u,e,o,y,ö,ä)を3つのグループに分けると、どのように分かれる?
2.母音調和とは?
3.asuaを人称代名詞ごとに活用させるとどうなる?(現在形)
4.elääを人称代名詞ごとに活用させるとどうなる?(現在形)
答えはこの記事のどこかにあります。
お付き合いいただきありがとうございました!
参考書籍
上記はすべてこの本で学んでいます。
日本語の文法書があるってステキ。吉田先生ありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?