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舞台芸術

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記事一覧

努力クラブ『涼しい。』

・冒頭の主人公と友達について 家出や旅立ちの経験と関係なく、自分はどちらの立場にもなったことがあるように感じました。 とても美しいシーンなのに、きっと二人は幸せになれないんやろうなーという予感がしました(アフタートークで話されていた「運が悪い」というテーマに、とても納得がいきました) でも、二人の会話を聞きながら、人生は幸せを追うことだけでは形作れないんやな、とも考えていました。 ジーン・セバーグの名言、"Money doesn't buy happiness. But ha

下鴨車窓『散乱マリン』

・作品を準備する美術家と、そのアシスタントや関係者たちのやり取りが生々しく、詳細に描かれていました。私は芸術祭の当日スタッフを数回経験したことがあるだけですが、それでも「あぁーこんなことあったなー」「こんな人おったなー」と共感できました。 自転車を探す女性とその周囲の人々については、あまり共感できませんでした。その女性の持ち物に対する執着、あきらめずに全て集めたいという強い気持ちやそれまでの背景を、私には汲み取りきれなかったです。 ・美術家たちと女性たちがそれぞれに ”置き

東京芸術祭ワールドコンペティション

11月2日に上演された3作品を観劇することができました。 ■ボノボ『汝、愛せよ』 薄暗い冒頭のシーンが終わって舞台美術の蛍光灯が点いた瞬間、眩しすぎて舞台を直視できませんでした。 また、舞台上の長机が高すぎて、俳優があまり見えませんでした。途中で登場して奥に座った俳優に全く気づかなかったので、彼が話し始めた時に驚きすぎてしまいました。私の席は前から2列目でした。もっと後ろの席から観るべき作品だったのかもしれません。 「事実が少しずつ明らかになる」という、SFと会話劇の基本

KYOTO EXPERIMENT 2019 後半

■ネリシウェ・ザバ『Bang Bang Wo』『Plasticization』 開演前の会場で流れていた、Bang Bang Wo の曲(というか声)が面白かったです。『Bang Bang Wo』はレクチャー部分が多めのレクチャーパフォーマンスで、複数のテーマが同時に扱われていたので、内容を追うのに必死になってしまいました。翌日に読んだKEXニュース5のインタビューがとてもわかりやすく、理解できる部分が増えて助かりました。 『Plasticization』含め、ネリシウ

KYOTO EXPERIMENT 2019 前半

◼︎mimacul『さよならあかるい尾骶骨』 タイトルやチラシのデザインに惹かれました。小高知子による戯曲が先に公開されていたようですが、読まずに行きました。 上演は目新しさを感じませんでしたが、心に残る会話でした。 小さなスペースで演劇が静かに進められる様子は、ウイングフィールドのようでした。長い時間を経た物語や窓を使った演出は、突撃金魚のアトリエ公演も連想させました。 (Space bubu、2019年10月5日14時) ◼︎ベビー・ピーの旅芝居2019『ラプラタ川

若だんさんと御いんきょさん『時の崖』(戯曲『棒になった男』より第2景)

ひとつの戯曲を3回、それぞれ別の演出と出演者で上演されていました。 1つ目で筋を追い、2つ目で1つ目と比較して観ていたので、3つ目が始まるまでに疲れ、ある程度満足してしまいました。 【合田団地 演出】 裸足だったので、靴下の台詞の不思議さがよく映えていました。 次第に、「ひとりでしゃべっている」ことがとても気になりました。(もしかして、藤村弘二さんは本当に独りで、ただしゃべっているだけなのかもしれない。それが偶然舞台で行われているのを、みんなで偶然見ているだけかもしれない)

うさぎの喘ギ『まちがいない。』

最小限の条件で繊細に上演されていて、隅々まで探しながら観ていました。 全然別の街やけど、こないだ観た『シティⅢ』を少し思い出しました。冷凍うさぎの、毎回帰りだけバス乗る話(『ロックンロール』)も少し思い出しました。 別々の街で様々な人がうろうろと生活してるんやなーと思いました。 (ウイングフィールド、2019年3月31日)

奈良県立大学 現代アート展「船/橋わたす 2018」

全然人がいないので不安でしたが、会場の係の方々はとても親切でした。 ありがとうございました。 ■ 小川美陽《ネガ(記憶)》 大学の門を入ってすぐの外壁に展示されていました。 自分で撮影したネガを火で炙ったものと、そのネガで撮影されているものを一画面に合わせた写真作品を制作されています。今回の展示は、1,351枚のL版プリントと手書きのメモで構成されていました。 ・作品解説ではデジタル化への風刺に言及されていますが、展示自体はインスタ映えを誘発するようにも見えました。 ・記憶す

Jaha Koo “CUCKOO” (具滋昰『電子鍋』) @臺北藝術節 Taipei Arts Festival

臺北藝術節 http://www.artsfestival.taipei/index.aspx 海外初ひとり旅の2日目だったので、やや涙もろかったです。 —– 机の上に炊飯器3台。1台から米が炊けると映像が始まり、舞台に男性・Jahaさんが登場する。 生い立ちを話す。1984年生まれ。幼い頃は、街がデモ等で混乱している(日韓ワールドカップの際、平和な群衆をはじめて見た)ここまでは韓国語で話す。中国語・英語字幕。 20代後半でオランダへ引っ越す。服とCuckooを持っていく。こ

Liting Tan “PRETTY BUTCH” (陳立婷『不男不女』) @臺北藝術節 Taipei Arts Festival

臺北藝術節 http://www.artsfestival.taipei/index.aspx ふたつだけ観ることができました。チケットを英語のメールで予約する段階からくじけそうでした。無事観られてよかったです。 私は中国語が全くわかりません。英語はTOEICで700点いかないくらいです。英語字幕を、本当に6〜7割くらいしかわからないなーと思いながら観ていました。ものすごい誤読や勘違いが混ざっていればすみません。 —– 中山堂の舞台上に客席もつくられていた。デザインはバラバラ

国際舞台芸術ミーティング(TPAM)2017年2月

国際舞台芸術ミーティング(TPAM)をのぞきに、横浜に行ってきました。 ・アピチャッポン・ウィーラセタクン『フィーバー・ルーム』 ・シンポジウム 批評的舞台芸術と舞台芸術批評について — ポピュリズムの時代を迎えて ・パブリック・レコーディングス『パフォーマンスの百科辞典』 ・サムート・タイ:未完の歴史たち  ピチェ・クランチェン『Open Studio: No. 60』 OLには刺激が強すぎる週末でした。 でも、舞台芸術批評について考えるのも、英語で書かれたテキス

劇団冷凍うさぎ『No Surprises 』

考えすぎて頭だけ疲れているような状態で観たのですが、大量の台詞を受け止めるのには案外向いていたようです。 主人公がものを忘れていくことや、「記憶と記録」というテーマは気になりました (が、観劇中にはあまり考えを深められませんでした)。いろいろあってもおなかがすいたら食べるところが意外で、親近感を覚えました。 生死の基準が曖昧なままうろうろする人々や、殺人が手軽に扱われるところ等、春に観たコトリ会議と似ているように思いました。 たくさんのビニールで客席から仕切られた舞台美術は、

TPAM(国際舞台芸術ミーティング in 横浜)2018/2/10-12, 17

三連休と土曜を使って、TPAM(国際舞台芸術ミーティング in 横浜)をのぞいてきました。 ・blanClass Anthology #3 高山玲子『ゴースト ライター』 ・藤原ちから 演劇クエスト・横濱パサージュ編 ・ジューン・タン ディレクション プログラミングのポリティクス ・コンタクト・ゴンゾ featuring スカイチャーチ『群衆の音像(仮)』 ・ライトニング・スタディーズ:圧迫・抗争・汚染翻訳センター(CTCCCs) 『パサ・パサ』 ・サムソン・ヤン『カノン』

チェルフィッチュ『三月の5日間』リクリエーション

若さを感じる内容を、若い俳優が演じていました。 俳優や登場人物と比較して、私は若くありません。自分が失いつつあるものを舞台上に見出すのは、本当によいことだろうかと疑問が生じました。だんだんと気持ちが悪くなり、ぐったりしました。 戯曲がそのままで、周囲の環境や人間は歳を重ねていくことについて考えていました(が、正直これはあまり自信がありません)。観劇から日が経った今は、団体名らしい作品なのかなと思っています。 確かに注目され得るパワーのある戯曲だったし、衣装はそれぞれに感じがい