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忘れられないお客様

保険業界に身を置いて10年以上。
本当に色んなお客様と出逢いました。
私は良くも悪くも記憶力に自信があって
どんなお客様もエピソードまで覚えている特技があります。
だからどのお客様も忘れることはないのだけど
強烈なエピソードがいくつもあります。
でもトップバッターはこの方以外ないなと思う。

今から6年程前の初春。
出逢った時の彼女は31歳。
ご結婚されて保険を考えたいと来店。
何度か商談し、お葬儀代くらいの死亡保障、医療保険、ガン保険に加入。
毎年何かしらの連絡や商談をしながら時が流れ
数年後の5月、子供が産まれたとの連絡があり
共に喜んだ。
その4ヶ月後の9月中旬のある日。
商談後に折り返してほしいという入電があり
折り返すと電話口で泣き崩れるお客様がいた。

「廣瀬さん、私、胃がんやって。ステージ4。嫌だ、死にたくない、死にたくない!」
仕事柄、「病気になりました、入院しました」
という連絡には慣れてる私も言葉を失いました。
(え、お子さんまだ4ヶ月くらいやん。え、まだ35歳やん。なんで?!)

動揺しながら医療保険、ガン保険の手続きの案内をし、発見された経緯などを聞いてると
「廣瀬さん、会いたい。死にたくないから頑張る。私、この体験談を全部記録して本を出したい!」
この言葉を聞いて震えました。
なんて前向きなんだろう、なんて生きることを真剣を考えてるのだろうと。

私は「よし、毎月給付請求の確認がてら電話しますね!何回の電話で給付が終わって元気になるかですよ!」と言い、毎月25日を電話の日と決めました。
お客様も「やったー!楽しみ増えました!廣瀬さん、退院したら会いに行くね!」と電話を切る時は泣いていなかった。

10月25日「元気だけど何も食べれなくてガリガリだよー。ねー会いたいー。」
11月25日「なんかね、温熱治療試そうかとかになってるけど保険て出ますか?名古屋まで行くかもって言われた。」
12月25日「県外出れる体力なくて結局ずっと同じ病院にいる…。食べてないのに浮腫んで顔パンパンなのー。」
「あたしもこないだ入院したんですよ、睡眠時無呼吸症候群で!」
「え、廣瀬さんおっさんじゃんー!」
「こんなクリスマスもありですよ!」

年が明けた1月25日電話をかけても出なく、数時間後折り返しが来た。
「携帯も持てなくて、全身痛くて、あたしもう無理かも。廣瀬さんに会いたいなー。」
その瞬間、走って会いに行こうかと思った。
でも「退院して会う約束でしょ!待ってますから私!」と強い口調で言うと
「そうやった!本当に廣瀬さんスパルタ!いいねー!また来月ねー。」と答えてくれた。

2月24日ご主人さんから電話がかかってきた。
「2月17日に苦しんだ末、亡くなりました。廣瀬さん、毎月本当にありがとうございました。あいつを元気付けてくれてありがとうございました。電話、いつも楽しみにしてました。」

最後の最後まで頑張ったお客様。
5月に産まれたお子様はまだ8ヶ月。
電話の後ろで可愛い声が聞こえました。

いつ終わるか、どう終わるか解らない人生。
このお客様の電話番号は携帯のアドレス帳に消さずに登録したまんまです。
アドレス帳をたまに見て、生きること、生きる意味、生かされてる意味を再確認します。
毎月「あ、25日だ」と今も思います。

同じ女性として最高にかっこよかったです!
廣瀬はいつかまた会った時に担当として恥ずかしくないように生きますね!
起業しましたよって伝えたかったです!
本に出来なかったから私がここでブログとして出しましたよ!

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