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保護者と一緒に「おさかな解体ショー」──写真で知ろう!小規模保育【遊び】

こどもの杜保育園 ぽかぽか(京都府京都市)

2019年度、園として力を入れていた『食育』活動。毎月さまざまな取り組みを実践・発信していくなかで、ある保護者の提案から、園で一緒に魚を捌くことになりました。

大きさ、匂い、包丁の音などに興奮する子どもたち。1匹の魚が「食卓で普段見ている姿」になる様子を不思議そうに見ながら、最後はみんなで味噌に漬けていきました。

【参加した園児】0歳児8人、1歳児4人、2歳児5人(計17人)+系列園の幼児数名
【参加した保育者】施設長を含め5人+系列園の引率保育士数名
【活動の場所】保育室
【準備物】保育園:ラップ/キッチンペーパー/トレー/ブルーシート1枚/ビニールシート(壁用)/ジップロック(持ち帰り用)人数分/ゴミ袋、保護者:子どもたちのエプロン/三角巾/マスク

■ ねらいと配慮

『食育』を通じて、おいしいものを食べるだけでなく、いろんな食文化に触れたり、素材を味わったりする体験を重ねていました。『おさかな解体ショー』は、そうした園の取り組みに共感してくださった保護者の1人(Kさん)から、「良ければ一緒にやりませんか?」と提案いただいた活動です。

Kさんはご家族で西京漬のお店を営まれています。その方と今回、1匹のブリを捌くことになり、「生の魚からにおいがしたり、血が出たりするのを子どもたちはどう感じてくれるだろう」と想像しながら計画を進めました。また、「切り身として普段食べているもの」と「生きものとしての魚」を少しでもつなげて感じてもらえたらと、2歳児さんはクッキングまで一緒に行うことにしました。

打ち合わせを経てKさんにお願いしたのは、解体・調理に関わる包丁やまな板、魚の用意。園側は細かな消耗品や、衛生管理の方法(活動後もスムーズに保育をするための養生、除菌、手指消毒など)を確認しました。

さらに、各家庭には予めきちんとご説明して、2歳児の保護者の方には子どもたちのエプロンなども用意いただきました。

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■ 振り返り

解体が始まると、子どもたちは「目の前で魚が捌かれていく」臨場感に惹きつけられていきました。特に印象的だったのは、食い入るようにブリに目を向けていた2歳児さんたちの姿。骨を切るときの音を聞いて「ゴリゴリって音がしてる」と言ったり、顔を近づけて「変なにおいする」と話したりして大興奮でした。

逆に0・1歳児さんの多くは、大きな魚が怖かったのか最初は少し遠巻きに。保育士にピタッとくっついて「目も合わせないぞ」といった雰囲気の子もいましたが、2歳児さんたちがどんどん前に行く姿を見て、少しずつ近づいていきました。

Kさんは手際よく切り分け、1匹の魚が頭、内臓、背骨、そして切り身へとみるみる姿を変えていきます。子どもたちはそれを、最初とは全く違うものを見るような不思議な顔で眺めていました。お寿司が大好きな子は、切り身を見て「あ、いつも食べてるあれになってる!」とすごくうれしそうに教えてくれました。

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活動の後半はクッキング。0・1歳児さんは切り身に塩を振るところまで、2歳児さんには西京漬にするところまでやってもらいました。味噌を塗りながら「ベトベトする」と言ったり、不思議そうににおいを嗅いだりする様子がここでも見られました。

できたものは保存して、保護者に持ち帰っていただきました。最後に家で焼いて食べてもらうことで、園と家庭をつなぐ活動にできた点も良かったなと思っています。

また、「保護者が働く姿」を子どもが見る機会は、実はなかなかありません。今回それを目の当たりにできたことは、子どもたちにとっても良い経験だったと感じています。Kさんも子どもたちが喜ぶ様子を間近で見て、「すごく嬉しかったです」と言ってくださいました。

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■ 「小規模保育」としての視点

においや音を子どもたちが感じていく活動だったので、やはり小規模保育の魅力が引き立ったように思います。一人ひとりが間近でじっくり観察したり、触れたりする姿がとても印象的でした。味噌塗りの際も、保育士の配置に少し余裕があるので、感触が苦手な子に丁寧に寄り添うことができました。

少人数であることの良さには、一人ひとりの子どもの向こう側に「保護者の姿がはっきりと見える」点もあります。近い距離で日々の関係を築いてきたこと、こちらも「ただ預けるだけでなく、一緒に園をつくってほしいんです」とよくメッセージを発信していたことで、保護者の側から企画を提案いただけたのかなと感じました。

また、小規模だと何か特別なことをするときも、全体の合意を取るのにあまり時間がかかりません。今回であれば「Kさんのところが言って下さったんだったら」と、他の保護者からすぐ賛同をいただけました。保護者同士の顔が見えやすい距離だからこそ、活動を進めやすかったように思います。

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【園情報】
こどもの杜保育園 ぽかぽか(特定非営利活動法人 国際医療支援機構)
https://kodomo-mori.jp/
京都府京都市下京区御幸町通り五条上る安土町626
定員19名
小規模保育事業A型・管理者設置あり


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