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異年齢×集団の小ささが生む「育ち」──写真で知ろう!小規模保育【日常】

にこの森保育園(京都府京都市)

園の「日常」にある、子ども同士のさまざまな関わり合い。そこには保育にとって大切な原点がいくつもあります。今回、そんな日々の「特別じゃない」写真をあえて選ぶことで、小規模保育の魅力を改めてお伝えしてみようと思います。

【園児数】0歳児3人、1歳児6人、2歳児3人
【保育者】施設長+常駐5人
(2021年8月時点の人数。写真はすべて今年度のものです)

■ 『異年齢』保育の魅力

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0〜2歳児を対象とするこの園では、日々の活動は『異年齢』が基本となります。早ければ生後2ヶ月の赤ちゃんから、上は満3歳を迎えた子どもまでが生活をともにしていきます。

そのなかで写真のように、上の子どもたちが下の子を思いやり、下の子どもも上の子たちに安心して身を任せていく光景が自然と見られるようになります。

乳児を寝かせるときも同じ部屋の布団などを使うので、1歳児・2歳児の子どもたちは常にそこのそばを通ります。赤ちゃんが寝ていたら、「あ、シ〜!」なんて言い合う姿も。自分が騒いだら赤ちゃんを起こすことを、ちゃんとわかっているんです。

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これは1歳児の子どもが、0歳児のお友だちを「熱ないかな?」とみている場面です。誰かに「みてあげてね」とお願いされたわけではありません。保育士がみんなの体調を気にかける姿を日々見ていくなかで、ふと「◯◯ちゃんしんどくないかな?」と自分が気になったときに、自然と同じような行動をとる。

こういった関わりをされた子どもたちは、自分が大きくなったとき、さらに下に入ってきたお友だちに対して同じことができていきます。その姿を見るたびに、同じ場所を共有すること、それが毎日あることが育むものの大切さを感じてきました。

もちろん喧嘩もしますし、取り合いもします。けれど、互いにぶつかることも重要な関わりのひとつ。家庭のきょうだい児とはまた違う、「保育園のきょうだい」として過ごすことの魅力が、特に0歳児を含めた異年齢の保育にはあると思っています。

■ 『集団の小ささ』の魅力

ここのような定員数が少ない園にとっては、『集団の小ささ』もまた大きな魅力。子どもたち一人ひとりに寄り添いながら、その場その場で保育を柔軟に変えることができます。

例えばお散歩に行くとき、特に事前に目的地を設けず、子どもたちの気持ちの向くままに移動できる。「今日はオタマジャクシのとこ行く!」「金魚のとこ行く!」「新幹線見たい!」……そんな子どもたちの声に「じゃあそうしよっか」と応えながら日々の保育を変えていきます。

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最初に言っていた目的が変わることもよくあります。上の写真は、公園を目指して歩いていたときに、そばに咲いていたタンポポが気になって、公園ではなく道で遊びが始まったシーン。

こういった「立ち止まり」に時間をかけ、その場の喜びを保育士や他のお友だちとも共有していくことは、保育のなかでとても大事なことだと捉えています。もちろんその都度安全を確保するなど配慮は必要ですが、集団が小さいことも、そこへの応じやすさを助けてくれます。

子どもたちは5歩も歩けば「お花咲いてる!」「この虫なんやろう?」と言い出して、わーっとみんなが寄ってくるので、ちっとも前に進みません。でも、それで構わないと思っています。発見があった瞬間を分かち合うことにこそ、本当の散歩の意味があると考えているからです。

■ 設備がなくても、得られるもの

多くの小規模保育園には、園庭がありません。この園にも、2020年に移転をするまで園庭はありませんでした。けれどそれも、決してデメリットではないと考えています。

園庭がないからこそ、自然と毎日のように散歩に出て、たくさんの気づきをみんなで共有していく。そこで日々起こることが、時に園庭で遊ぶ以上にたくさんの意味をもたらしてくれるようにも感じます。

積極的に外に出ることで、体の機能として培われていくものも大きいと考えています。0歳児から2歳児まで、基本的にはどこに行くにも一緒で、多少の山道でも歩ける子は40分ぐらいは歩く。「園に通い始めてから、お休みの日に出かけても自分でしっかり歩けるようになりました」などと、多くの保護者からの声もいただいてきました。

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どれも決して「特別な」写真ではありません。けれど、こうした何気ない日常に潜むきらめきや成長は、子どもたちが社会に出ていくときの大切な土台を築いていきます。

そこに寄り添いやすい環境として、小規模保育園には大きな可能性があると私たちは考えています。


【園情報】
にこの森保育園(一般社団法人NICO)
http://www.niconomori.com/
京都市山科区大塚野溝町11-1
定員8名
小規模保育事業A型・管理者設置あり



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