権威主義的システムへの依存の緩和(家業における父親との関係性より)

先日はライフメンタリング、9人目の方でした。

文化にまつわる家業を営む家に生まれた方が相手でした。この方の今の状況は、現在、家業に帰って働いておられて、自分がやりたいことと家業でやっていることのズレをどうにかしていきたいというお話でした。

そして話は、「家業における父親との関係性」や「アイデアの抑圧」などのトピックが挙がりました。

家業あるあるですよね・・・・。

私は以前、家業イノベーション・ラボさんでピッチをし、登壇させていただくことがありました。その前後から、いわゆる家業の家に生まれたアトツギの方々と知り合う機会もあり、よくやり取りしている友達たちもいます。

そこで超頻出の話題とも言えるのが、「家業における父親との関係性」です。会社の業績や会社の中の組織のあれこれについて悩むということに合わせ、家族関係のあり方が色濃く反映されてしまうということが何よりも特徴だと思います。

お話していた方は、たくさん素敵なアイデアを持ってらっしゃいました。

アイデアを話している時は、とても楽しそうです。

ですが、お父さんがわりと保守的で、高圧的で、自分がしたいアイデアを話すと、即却下される、ということがよく起こるみたいです。(わかりみが深い・・・)

こういう状態が続くと、とんでもなくしんどいですよね。

そういう中で、どうすればいいのかはそれぞれの家庭で異なると思いますが、私がお話を聴きながら促すことは、「家族システム」「家業というシステム」という物語の中にいることを自覚することです。

明治時代が幕開けし、民法が制定された際、国の方針として家業を推奨することが明示されました。その時に、権限が与えられたのは、家父長です。いわゆる家父長制というやつです。他の家族構成員の人は、そこに所属し、家父長の権限のもとで生活をするという物の見方が強化されていったのではないかと思います。

ある事物・個人等が他の事物や団体や命令系統等に属していること。

Google で調べると、所属とは、命令系統等に属していること、という定義が出てきます。命令系統等への帰属意識が強ければ強いほど、いわゆる上からの命令は判断を停止して実行しなくてはいけない、というふうになってしまう可能性が上がっていきます。

権威主義のレンズで、家を見る

私的に思うのは、家、家業の物語は、すごく権威主義的な色を含み込んでいます。

権威主義的な、と書いた時に、私が頭の中に描いているのは、ホロコーストのことです。第二次世界大戦の時期には、大量のユダヤ人の方々が犠牲になりました。

イスラエルに行った際に、ユダヤ人のラビ(宗教的指導者)の方とも話した時、「民族的にあまりに辛い思いをした。まだそこを饒舌に語ることはできない・・・」と話されていたことを思い出します。

人類の歴史の中で、私はホロコーストのようなものを繰り返してはならないと思います。

ホロコーストがあってから、「権威主義」についての研究が心理学や社会学の分野を中心にしながら、たくさんの研究者によって取り組まれてきました。

たとえば、「地位」や「肩書き」をやたらと尊重されることや、トップダウンの命令・指示に従い、思考・判断が奪われてしまうやり取りが常態化してしまうことは、権威主義の特徴の一つです。

権威自体は別に悪いものではありません。それによって、生活が守られたり、自分が生きやすくなったり、そういう人を豊かにする資源であると考えることができます。

ただ、それが適切に機能しない状態になる時は注意が必要だと思います。

権威とは依存関係の一種

権威とは依存関係から生まれる複雑な社会プロセスのことである。

資本主義のあり方に警鐘を鳴らしてきたリチャード・セネット氏の『不安な個人 / 漂流する経済―新しい資本主義の労働・消費文化』の上記の定義が私はしっくりきています。

依存関係なんですよね、権威って。

権威を権威を持っている人の問題だと自分から切り分けてしまうのではなく、自分自身の依存の話として扱っていくことで、その相手との関わりを変化させていくことが可能になります。

とはいえ、とはいえ、ですよ!

やっぱり、家業で権威を持ってしまっている(ように見える)父親/社長のあり方は、性格で個性だという側面は確かにあるのですが、明治・大正の時代の色を受けて、高度経済成長期を生き抜いてきた中で、ついつい身についてしまっている癖であって、「その人のせい」と絶対的に言えるものでもないと思うんですよね。

結構、大変な中で、視点を転換することが難しいこともあります。さらには、それらの癖はとっても強固なものが多いので、パッと変わっていくというよりも中・長期的なやりとりにならざるを得ないですよね。

その一方で、選択肢を見出していくことはいつだってできるはず。家業の中で新しい事業を作り出すことを諦めずに取り組んでいくことや、権限移譲してもらうために、権威を持つ側の不安や心配を丁寧に扱うこと、小さくとも結果を出すことなど、試行錯誤できる余地があると思うんです。

さらに、権威側がどう考えているのか、本当に何を望んでいるのかを理解しようとしてみるということも関係性改善に有効です。

(それがめちゃくちゃ体力がいることなのは、痛いほどわかります ^^; )

ぜひ少しずつ試しながら、自分のアイデアを出せるスペースを増やしていってもらえるといいなと心から思いました!

素敵なアイデアがたくさん浮かんでいるからこそ、それが「これ、言っても無駄だろうなぁ」という頭の中のジャッジメントや直接的な却下によって、アイデア自体が出てこなくなってしまうのは悲しいものです。。

じゃあどうやって、その権威主義的なあり方から変わっていけるのだろう?という時に、個人的に参考になるのは「マインドフルネス」や「コンパッション」の考え方です。

書くととっても長くなるので、これらの取り入れ方については、またいつかの Note で書くことにします😀

閉鎖的な環境にいて、「あれ、これってどうなんだろう?」という時、外の目を持っておくと、自分を整えやすいと思うので、そういう場所の一つとして、メンタリングを活用してもらうのもいいかなぁ、なんて思います。

楽しい時間でした!ありがとうございました😄


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