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「物理学レクチャーコース」編集サポーターのお仕事紹介 Part.2

今回のPart.2では、Part.1に続き、「物理学レクチャーコース」の編集サポーターである須貝駿貴さんとヨビノリたくみさんが、本シリーズの中で具体的にどんな関わり方をしているのか、その舞台裏をご紹介させていただきたいと思います。
(須貝さんとたくみさんのプロフィールは、こちらをご覧ください。)

読者の目線で原稿を読み、フィードバックする

Part.1にも記しましたが、「物理学レクチャーコース」では、これまでは主として編集者が中心に行っていた「学習する読者(学生)側の目線で原稿を読む」という点に、より重きを置きたいと考え、「編集サポーター」という形で、須貝さんとたくみさんのお二人にもお力添えをいただくという体制にしています。

著者から編集部に1次原稿(まだ完成原稿とまではいかないけれども、一応、最後までひととおり書いてみたという状態の原稿)が届くと、その原稿のPDFとコピーしたものを、編集委員の先生と、編集サポーターである須貝さんとたくみさんにお送りします。

そして、編集委員の先生には「講義をする先生の目線」で、須貝さんとたくみさんには「学習する読者の目線」で、およそ2ヶ月程度の期間で、著者から届いた1次原稿をお読みいただいています。ただ、言うまでもなく、皆さん多忙を極めておりますので、この期間はあくまでも目安に、という形でお願いしているというのが実際のところです。

著者から届いた1次原稿を読む、須貝さん

須貝さんの場合は、感想・コメントと共に、原稿の中で気になったところ、わかりにくいと思ったところには直接書き込みを入れて、そのページに付箋を貼ってお戻しいただくことが多いので、著者の方には、その形のままお渡しする(フィードバックする)ようにしています。

同じく1次原稿を読む、たくみさん
(たくみさんが着ているTシャツは、こちらで購入できます)

一方のたくみさんの場合は、原稿の良い点、気になった点とその改善案などのコメントをメールでお送りいただくスタイルなので、編集委員と編集部、そして、須貝さんからいただいた感想・コメントと合わせて一つにし、著者の方にフィードバックしています。

完成原稿の脱稿に向けて

著者の方には、お送りしたコメントをもとに1次原稿をブラッシュアップしていただき、完成原稿の脱稿に向けて、加筆・修正をしていただくようにお願いしています。

なお、著者の方にフィードバックしてから完成原稿をいただくまでの期間は一般的には2〜3ヶ月程度なのですが、1次原稿の内容によっては、ゼロベースで再検討をお願いすることもありますので、あくまでも目安の一つに過ぎません。

ゼロベースで再検討をお願いするときは、担当編集者としても大変心苦しく、どのようにお伝えすべきかと思い悩むのですが、先生と共に良書を創り上げたいという想いを伝えた上で、フィードバックのコメントと共にその理由を丁寧にご説明し、「それであれば!」と著者の方にはご納得していただけるように努めています。


帯のキャッチフレーズを検討する

本シリーズでは、その本の魅力や印象を一言で表すようなキャッチフレーズ(須貝さんとたくみさんからの言葉)を各巻の帯に入れています。このフレーズは、お二方が著者のご原稿を読んでの素直な感想・印象を表現しているので、編集部で着色するようなことはせず、そのまま採用させていただくことにしています。

『素粒子物理学』の完成原稿や校正刷を見ながら、お互いにフレーズを言い合っている様子

帯のキャッチフレーズを決めるタイミングは、編集作業が大詰めを迎えた(あともう少しで校正作業も終わりという)頃が多いため、須貝さんとたくみさんが1次原稿を読んだ時期からは時間が経っていることが一般的です。

そのため、リマインドも兼ねて、1次原稿がブラッシュアップされた完成原稿と、初校〜再校段階の校正刷も見ていただきながら検討をしていただくようにしています。

ホワイトボードに書き出した各自のフレーズを見ながら、どれにしようかと検討している様子

帯のキャッチフレーズを確定する

須貝さんとたくみさんのお二方の口から自然に出てきたフレーズを、ホワイトボードにどんどん書いていき、ほぼ出尽くしたタイミングで、最終的にそれぞれ一つを選んでいただきます。

『素粒子物理学』のキャッチフレーズが決まった瞬間(先頭にお二方のお名前が記されています)

須貝さんとたくみさんから出てくるフレーズは、お二方が学生時代に学んだときのことなども振り返りつつ選び出され、その本のイメージをうまく表現したものになっていますので、上にも記したように、担当編集者が「こんな表現がいいのでは?」といったような提案はしていません。

新しい帯が出来上がりました!

本シリーズでは、このような形で著者の方々がご執筆された原稿を拝読してコメントをフィードバックし、そして、各巻の帯に入るキャッチフレーズも決まっていきます。

ということで、9月下旬刊行の伏屋雄紀先生の『量子力学入門』、11月下旬刊行予定の川村嘉春先生の『素粒子物理学』の帯も無事に出来上がりました!

2024年9月末刊行の『量子力学入門』


2024年11月末刊行予定の『素粒子物理学』

なお、専門書のシリーズとなりますが、川村先生の『量子力学選書 相対論的量子力学』も大変好評ですので、ぜひお読みいただければと思います。

終わりに

Part.1とPart.2の2回に亘って、「物理学レクチャーコース」の編集サポーターとしての須貝駿貴さんとヨビノリたくみのお仕事(役割)を簡単にご紹介させていただきました。これらの記事が、読者の皆さまにとって、何かしら参考になったならば嬉しいかぎりです。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
引き続き、本シリーズの趣旨に副った本創りに努めてまいりますので、皆さま、どうぞ宜しくお願いいたします。

(文責: 裳華房 企画・編集部 小野達也)

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