第一部 あるところに、一柱の神が居た。 神は、人々を愛しておられた。 今日は年に一度の、祭りの日である。
「あーーっ!取られとる!」 べた!と、ゲーム機に張り付いた。やめろと友人二名に引き剥がされながら、遠くから空っぽになったクレーンゲームの透明な台の中を見つめる。かわいいチョウチンアンコウのぬいぐるみ。まだ在庫はゲーム機の中に残っていたが、残念なことに先程までおれが景品投入口に寄せたチョウチンアンコウくんは何処かのにんげんくんの手に渡った様であった。一度諦めたばかりに。もう少し粘っていれば取れたのか。おれだったから取れなかったのか。 「もう少し粘ってたら良かったのにな」