脳科学テキスト『魂の演技レッスン22』

上智大学で今期開講している「脳科学」の授業で演劇のテキストを用いています: アドラー『魂の演技レッスン22』(フィルムアート社)です。

脳科学の眼で見ると、演劇にはとても興味深いテーマが多数含まれていることに気がつきます。講義では、アドラーさんの具体的な技レッスンを脳科学的に考察しながら読み進めています。新鮮であり、今までの認識が深まることが多く、脳科学にとっても演劇学にとっても、大切なことだと感じています。

たとえば、俳優が演技をする場合は脳のどのような機能を使っているのか、またそれを観ている観客の脳は演劇というものをどのように情報処理して鑑賞しているのか、俳優と観客の間に何かが伝わるという感覚は脳のどのようなはたらきによるものなのか、俳優のみならず観客も演劇に入り込むことができるのはなぜか・・・

また、演劇の技術とは「自分の妄想を他者に伝える」技術である(平田オリザ:演劇入門)というのであれば、妄想が他者に伝わるメカニズムを脳科学は考えます。多くの人は自分の妄想を他者に伝える手段をもっていません。この少しアブナイ技術を演劇がもっているのであれば、それは脳科学の研究テーマです。

今後はこのようなレッスン(演劇+脳科学)を発展させていきたいと考えています。興味がある方はご意見をお聞かせください。演劇関係の皆様からのコメントやご質問、歓迎です。

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