Chief of Staff ~急成長スタートアップで活躍する新しい役割~
初期のスタートアップ起業家の仕事は、本当に過酷。
業務は多岐にわたる。製品開発はもちろん、営業や守りなども全て。
仲間に任せられない仕事が多い。
超急成長で仕事量は雪だるま式に増え続ける。
綿密な計画を立てても全く役に立たない。殆ど予測ができない。
そんな制御不能のカオスを生きている
全ての起業家に、お勧めしたいのが
「Chief of Staff (CoS) / Gapfiller」という新しい役割の採用です。
Chief of Staffは、一言で言うならば、「起業家のShadow」。
「起業家が生み出す価値を最大化するため」
「ありとあらゆる任務やサポートを任せられる特殊な役割」
シリコンバレーの急成長スタートアップにおいてはかなり一般的な役割になっています。
私自身、創業後1年未満の相当早い時期に、Chief of Staffを採用しましたが、
今振り返ると、これまでの意思決定の中でも最高のもののひとつだったと自信を持って言えます。
HQ社を創業して約二年半、ジェットコースターのような日々でしたが、
Chief of Staffの存在のおかげで、なんとかカオスを制御しながら質の高い成長を遂げられたと感じています。
本記事では、実体験から得られた学びをふまえて、起業家/経営者とChief of Staff候補者にむけて、以下のような事柄を纏めてみました。
仕事内容
仕事の進め方、任せ方
いつ採用すべきか?
CEOからみたChief of Staffの価値
Chief of Staff経験で得られること、次のキャリア
どんな人を採用すればいいか?
Chief of Staffの活用ノウハウ
Gapfiller - Chief of Staffの別の呼び名
上記はPaypalマフィアの一人でありLinkedin創業者のリードホフマンの言葉だが、私もまさにその通りだと思います。
創業初期の起業家の頭の中には常に「やばい」とならざるをえない問題が存在します。
そう、スタートアップでは、常に、どこかでボールが落ち続けています。
スタートアップ初期のChief of Staffの役割はこの「落ちそうなボールを拾うこと」「あらゆる”GAP”を埋めること」です。
Chief of Staffは、別名で、「Gapfiller」とも呼ばれます。
業務領域は、目まぐるしく変わります。
私も、その時期の課題にあわせて、例えば以下のような仕事を、Chief of Staffに任せていました。
採用:HRがいない間、CEOが主導していた採用を側面サポート
営業の後方支援体制の構築:営業資料の作成、Q&Aの型化、利用規約の修正依頼対応プロセスの構築、申込フロー構築
マーケ/営業管理の型化:Hubspot導入、案件管理、稼働量管理など
カスタマーサクセスの特命ミッション:成果レポートの型化(Google Looker Studioなど)
KPI管理のVer.1の構築:SQL学びながら、自動収集の仕組み構築など
展示会で着ぐるみを着てもらう(笑)
以上は本当に一例であり、細かく挙げると切りがない。
あらゆる業務に関わる可能性があり、それを歓迎し、なんでも立ち向かっていく。
そんな気概をもつ必要がある役割だと思います。
Chief of Staffの仕事の進め方
Chief of Staffの業務内容は多岐にわたるため、必然的に一人だけの力では完遂できないことが増えます。
Chief of Staffの仕事への関わり方は、案件次第で変わります。
感覚値ですが、当社の場合は、以下のような形で仕事を任せていました。
4割:CEO特命案件型。CEOが設定した重要アジェンダに関して、Chief of Staffが業務推進。経営者と並走する。
3割:チーム派遣型。CEOだけでなく、他の創業社員とパートナーを組みながら仕事を進める。
2割:一任型。Chief of Staffにまるっと任せる(といえば聞こえがいいが、要はCEOが回っていないのでぶん投げている状態に近い。笑)
1割:率先型。Chief of Staffが自らGAPを見つけだし、率先して埋めていく。
Chief of Staffのバックグラウンドや強みも考慮しながら、仕事への関わり方を柔軟に調整していく必要があります。
当社の一代目Chief of StaffはIT企業の経営企画出身であったため、エクセルやデータの取り扱いは得意。そのため、そういった類の仕事はざっくりと一任。
一方、B2B営業の経験はなかったため、営業資料作成やQAの仕組み構築においては、かなり細かく具体的な指示でカバー。
また、全てを任せられるわけではなく、時にはどれだけ苦しくてもCEOが自ら全てやりきってしまう判断も大切と思います。起業家自体が最前線のプレイヤーでならねばならない仕事を安易に任せすぎてはいけないと思います。
Chief of Staffをいつ採用すべきか?
では、そんなChief of Staffをいつ採用すべきか?
その問いに対する私なりの答えは、
「可能な限り早く」
「ただし、良い人が採用できない限り採用してはならない」
というものです。
何の売上もない時期に、Chief of Staffのようなふんわりした役割の人を採用するのは勇気がいるかもしれません。
エンジニアや営業などと比較しても、Must Haveではなく、Nice to Haveな役割にみえます。
しかし、それでも私個人としては、
「良さそうな人がいるなら、Day1から、Chief of Staffを採用しにいくべき」
と思っています。
初期スタートアップで最も大切なのは、創業者/起業家の仕事スピードであり、
Chief of Staffは、そのスピードを劇的に高める起爆剤になりえるからです。
スタートアップ初期において、創業者/CEOは、社員に委任できる仕事が極端に少なく、殺人的忙殺状態。
つまり、常に起業家自身が最大のボトルネック。
Chief of Staffによってこのボトルネックが解消され、事業がスピードアップできるならば、こんなに価値の高い投資はありません。
もちろん、初期から、コスト・社員数を増やすのは基本的には悪手で、人数が増えても事業立ち上げのスピードが高まることは稀だし、runway=キャッシュ尽きるまでの時間、は短くなってしまいます。
しかし、どんなにコストを抑えても、スタートアップが激しくCash Burnしている状態には変わりはありません。
制限時間内に飛行機を組み立てきらなければゲームオーバー、という特殊なゲームの中に私たちはいます。
つまり、”時間短縮こそが最大のコスト削減”であり、 自らの力で、一カ月でも早く事業を進捗させることこそが正義だと思います。
私の場合も、Chief of Staffの存在によって、本来、CEOが自らやるべき業務/役割により集中でき、少なくとも数ヶ月は、事業進捗スピードが劇的に高まったと感じています。
シード調達から約半年でシリーズA調達に到達できたのも、Chief of Staffによるサポートがあってこそのスピード感だったと思います。
(ちなみに、以下画像の着ぐるみの中身は、当社のChief of Staffです。笑 もちろん、このような業務はめったにありませんが、文字通り何でもこなしてくれたと思います。)
また、攻めだけではなく、守りとしても、Chief of Staffの働きは大きいです。
誰もが忙殺されている&できれば全員がどこかの特定領域に集中したい状況。落ちそうなボールがでてくると、起業家自身が誰かに仕事をアサインする必要がでてきます。
仕事のアサイン自体が、起業家にかなり負担がかかります。工数的にも精神的にも。
創業者なら、絶対に「誰にこの仕事振ろうかな...」と悩むはずで、結局自分で背負ってしまうことも多々あります。突然振ったら振ったで、コミュニケーションコストはかかるし、事業は停滞してしまいます。
そんなとき、”ギャップを埋めること自体”がミッションになっているChief of Staff/Gapfillerがいると、役割分担がとってもスムーズになります。
会社に全く余裕がないからこそ、全体のバッファ、調整機能として、Chief of Staffが活躍するのです。
なお、これらの攻めと守りのミッションは、決して簡単な仕事ではないです。
あらゆる業務に取り組んでいける高い思考力、
泥臭く実行し、やりきる実行力、
混沌の中で自律して挑戦し続ける強い精神力。
このような心技体の揃った候補者でなければ採用すべきではないでしょう。
可能な限り早く、ただし人材にはこだわって採用するのを勧めます。
疑似CEO体験で得られる実践知
私が採用したChief of Staff / Gapfillerは、将来の起業家志望の20代後半の血気盛んなハードワーカー。
上場したITベンチャーの経営企画で働いていたが、将来起業も視野にいれたときに、もっと厳しい環境、経験を得たいと考えていたようです。
実際、当社のCoSには、入社して2年ほどで、これまでとは段違いの臨場感、過酷さ、幅広さで、”疑似CEO体験”を提供できたのではないかと思います。
たとえば、絶対に書籍だけでは学びきれないような、以下のような体験を得られたのではないかと思います。
大きな困難や課題が出てきても、前向き、建設的に取り組むことで、乗り越えていけるという根拠なき自信をもつ
全く未経験の分野であっても、必死に学習しながら挑戦することで、意外と何とかなってしまうことを知り、学習しながら実践していく感覚をもつ
訪れた幸運に気付き、失敗を恐れず挑戦することで、偶然のチャンスをものにしていく感覚をえること
売上もなく大赤字、業務プロセスもないスタートアップという超不安定な組織を統治していくために必要な芯の強さ、経営強度の高さを学ぶ
素早くファクトや現場理解を深めて、合理性とスピードを両立しながら、時に勇気をもって意思決定していく情報不足のなかでの判断経験
特に起業家や新規事業担当としての準備を積みたい若手にとっては、間違いなく非常に貴重な学習機会になると思います。
(逆に経営や事業創造に携わりたいという意志がない人にとっては、過酷すぎて、とてもお勧めできる仕事ではない。)
Chief of Staff経験で広がるキャリア
果たしてキャリアとしてChief of Staffをどうとらえるべきでしょうか?
正直言って、Chief of Staffは殆どの人にとって、勧められるキャリアでは全くないと感じています。(起業を万人には勧められないのと似ている)
手っ取り早く、かつ確実性をもって、人材市場で年収を上げたいのだとすれば、Chief of Staffよりも、「専門領域を持ち、明確なエッジをもつ人材」に向かっていくのが圧倒的に近道です。
Chief of Staffは、職務内容がころころ変わりすぎるため、
事業家としての地力はつくが、わかりやすい専門性/経歴は手に入りません。
つまり、職務経歴書を一目みるだけで、何を任せられるか、どんな成果をもたらしてくれるか、が具体的に分かる人材にはなれないということです。
一方、特定のキャリアを志向する人にとっては、Chief of Staffは、飛躍的な進展をもたらす最高の仕事になりえるとも感じます。
個人的に、Chief of Staffをキャリアとして勧められるのは、
起業家志望タイプ:事業を創れるようになりたい、将来起業したい
創業メンバータイプ:いますぐ活用できる専門性はないが、将来、そのスタートアップで要職を担えるような経験を積みたい
事業家転換タイプ:経営企画系/参謀キャリアから事業家キャリアに転換したい
という人だと考えています。
①起業家志望タイプは一番わかりやすいです。起業家の横で、事業を実際に創りあげていく現場体験に勝る経験はないと思います。
また、②創業メンバータイプも良いキャリアパスになりえます。高成長スタートアップに創業期から関われるのは、キャリアの高速エレベータで、CEOの近くで働くことは、そのスタートアップでの大きな抜擢チャンスを得ているということでもあります。
実際、当社の初代Chief of Staffは、次の機会でプロダクトマネージャーに抜擢しました。彼の経歴では、そのような機会を得られることはまずなかったと思います。
そして、③事業家転換タイプにもおすすめです。
Chief of Staffには、スタートアップにもかかわらず、良くも悪くも専門家としての即戦力期待が持たれないので、戦略コンサルタントのようなジェネラリストがスタートアップに参画するうえでは理想的なエントリーポジションになりえると思います。
どんなに頭が良くて問題解決能力があっても、事業感覚・PL感覚・実務経験がないと、起業やスタートアップで短期で成果を出し切るのは結構難しいと思います。
いきなり起業という選択肢も勿論アリだが、まだこれぞという起業アイデアやドメインに出会えていないなら、Chief of Staffは、非常に良い修行先になる気がします。
一方、Chief of Staffは、5年、10年やる役割ではないとも思っています。
いくら疑似CEO体験ができるとはいえ、CEOのように最終意思決定者としての覚悟が必要なわけではないし、組織的にも本当に矢面に立つ役割ではない。長くやりすぎると、器用貧乏になりがちになり、成長カーブが寝てくるのではないかと思います。
なお、米国では、CoS経験後の輝かしいキャリアアップ事例がたくさんあるので、幾つか紹介しておきます。
Chief of Staffをキャリアのステップとして上手く活かして、次の挑戦に繋げています。日本でもこういう事例が次の10年で続々出てくるのではないでしょうか。
Matt Cohler - Partner@Benchmark / 元Likedin, Facebook
米国で最も成功しているVCのひとつBenchmarkのPartner。Dropbox、Asana、Domo、DeepL、Zendeskなどの投資家として有名。
新卒ではマッキンゼーに就職したが、Reid Hoffmanと知り合い、LikedInの立ち上げにChief of Staff的に参画し、Hoffmanの右腕/Shadowとして活躍。
その後、Facebookの最初の5名の社員になり、Mark Zuckerburgのもとで、VP of Product Managementまで昇格。
培われた実績や人脈をもとに、BenchmarkのPartnerへ。
マッキンゼーのコンサルタント → スタートアップの世界 という大きなキャリアチェンジにおいて、Chief of Staffという役割が活用されている。
Andy Jassy - CEO@Amazon / 元Technical Advisor
Amazonの現CEOは、元Jeff BazosのCoS(Technical Advisorという呼称)を経験している。
Harvard Business Schoolを卒業後、収集品会社で働いたのち、Amazonのマーケティングマネージャーになった。
その後、Jeff BazosのTechnical Advisorになったのがキャリアの大転換ポイント。Bazosから直接、Amazonの経営手法を学ぶことができた。
かの有名なAWSの立ち上げに関わり、その後の急成長に貢献。その実績を買われて、Bazosの後継者となった。
Technical AdvisorとしてBazosと直接働いたことが、明らかに大きなキャリアステップになっていると思われる超成功例。
Chief of Staffに向いている人材、経歴
では、どんな人をChief of Staffとして採用すべきだろうか?
実際にChief of Staffをマネジメントしてみて私が感じたChif of Staffに特に必須と感じる要件は、
「曖昧さ・不確実性への耐性」
「学習力」
「経営者へのリスペクト/フォロワーシップ」
の3つです。
※もちろん、ゼネラリストとして必要な能力は多々ありますが(論理思考力、コミュニケーションなど)、Chief of Staffという役割で特に必要になるのはこの3つかなと思う。
なかでも最も重要なのは、曖昧さへの耐性、不確実性への柔軟性。
Chief of Staffは、起業家のShadowのような存在ですが、初期スタートアップの起業家が抱える課題のほとんどが、曖昧な未定義の問題。
答えはだれも持っていないし、誰からも明確な解き方は教えてもらえない。
Chief of Staffは、曖昧で未定義の問題に対して、進んで混沌の中に飛び込んでいかなければなりません。
加えて、「学習力」も特に重要な要素。高速に学び、実践していく力が求められます。
黎明期のスタートアップはただでさえなんでもやらなくてはいけない環境だが、そのなかでも究極の何でも屋がChief of Staff。
ほとんど全てのことが初挑戦の仕事になるのに、丁寧に教えてくれる先輩も上司も誰もいない。迅速に実行しながら、学び続ける力が求められます。
最後は、「起業家へのリスペクト/フォロワーシップ」。
Chief of Staffは、起業家を支える存在。だから、加入するスタートアップの起業家を心からリスペクトし、フォローしていくスタンスがなければ、とても持たないと思います。逆を言えば、Chief of Staffを目指すなら、どんなタイプのCEOから学びたいか、を問うてみる必要があるでしょう。
面談面接などを通じて心からフォローしていけると信じられる人を選ぶとお互いにとって良い結果になると思います。
Chief of Staffに向いている経歴は?
では、具体的にどんな人材を採用ターゲットに置けばいいだろうか?
個人的には、今現在ハングリー精神を持てているかどうかが大事になることもあり、年齢はある程度若い方が良いと思います。
専門性やキャリアを築きすぎた感があると、マッチングしにくいでしょう。
出身企業や業界は広いスコープで良いと思います。メガベンチャー、スタートアップ、金融、商社、コンサルなど、広く募集すれば良いと思う。
海外では、特に戦略コンサルティングファームのコンサルタント出身者をお勧めしている人が多いようです。
※↓有名なCEO向けコーチングMochary Methodでは、Chief of StaffをExec Opsと呼称しており、戦略コンサルタント出身者の採用を推薦しています。
他方、Chief of Staffは、スタートアップのなかでも超スタートアップ的(曖昧・不確実・新規・立ち上げ)な仕事です。
スタートアップの実情に対するミスマッチがないかはとても丁寧に確認しあう必要があると思います。
ちなみに、私が創業期に採用したChief of Staffのプロファイルは以下のようなものでした。
経歴:証券会社営業職→上場ITベンチャーの経営企画
年齢:20代後半
将来のキャリア希望:起業
学生時代はかなりアクティブに学生団体活動に従事
採用経緯 他の創業メンバーからのリファラル
Chief of Staffの活用 - 渡り鳥としての宿命 -
実際にChief of Staffを採用し、マネジメントしてきて感じているのは、
「通常のラインの部下とは全く異なる取り扱いが必要」ということ。
Gapfillerとして、新しいチームを立ち上げたり、仕組みをつくったりするが、他の人に譲っていく運命の渡り鳥であることがほかのメンバーとの決定的に大きな違いです。
Chief of Staffに依存しない組織経営、組織マネジメントが求められます。
「Chief of Staffはあくまで一時的な存在」
そのことを、CEOが認識するだけでなく、他のメンバーにも徹底的に周知しておく必要があり、そうしないと、Chief of Staffを担当業務から引きはがして新しいGAPをアサインするときに大変苦労することになります。
Chief of Staffは、現場的には、良くも悪くも、とても頼りになる存在になります。「いつか去るんだ」ということが共通見解になっていないと、現場は離したがらなくなるし、他のメンバーに責任意識が育たたなくなってしまう。
Chief of Staffなしで組織がまわる、という状態を常に理想に置く必要があります。
また、事業フェーズによっても、Chief of Staffの活用方法は変わっていきます。
創業に近いアーリーフェーズほど、いわゆるゼロイチ系の立ち上げ仕事や、緊急リリーフ的な仕事が多くなります。
一方、組織ができてくると、より具体的な課題に対してアプローチする問題解決型の仕事が多くなってくるでしょう。
また、最初のプロダクトがPMF(プロダクト・マーケット・フィット)しているかどうかでも動き方は大きく変わります。(PMF前の経営手法については以下過去記事も参考になるかもしれません)
自社にとって最適なChief of Staffで、質の高い急成長を実現する
ここまで偉そうに語ってきましたが、当社はまだシリーズA段階のアーリーなスタートアップであり、まだまだ誇れるような達成事項なんて全くないです。
また、本記事はHQという会社での一例からの学びに過ぎないという点に注意してほしいと思います。Chief of Staffの役割は、マーケット、ビジネスモデルや創業者の経歴など、多くの独自要素に左右されます。
当社の場合、創業事業では、リモートHQという「最高の生産性をつくるリモートワーク特化型福利厚生」という、かなり新規性が高いプロダクトを開発していました。
新規市場であった点や、自社倉庫や物流が必要で極めて複雑なバックエンドオペレーションが必要な点など、様々な点に強い特殊性があり、Chief of Staffの仕事内容やこちらから求めたことは、多分にこれらの特殊要素に左右されたと思います。
最後になりますが、Chief of Staffを採用することには、個人的には、二つの意味があると感じています。
起業家自身が、自分にはサポートが必要だということを知ること(自身の不完全性を認める)
一方で、自分自身に自信をもつこと(自らをレバレッジすることの価値を信じる)
スタートアップ初期は本当に過酷。
本記事でChief of Staffについて知ることで、もっと大胆かつ楽しく挑戦していく起業家がひとりでも増えていくことに少しでもつながれば、心から嬉しいです。