見出し画像

【書評】アメリカの崩壊"分断の進行でこれから何が起きるのか"

本書「アメリカの崩壊 分断の進行でこれから何が起きるのか」は、山中泉氏がバイデン政権下のアメリカの現状を鋭く分析した内容です。
著者は、バイデン政権の登場からアメリカがどのように分断と崩壊の道を歩んでいるかを詳述しています。バイデン政権の正統性に対する疑念や、アフガニスタン撤退の失敗、環境政策が引き起こした原油高とインフレ、高額の失業保険と労働意欲の低下、ワクチン義務化政策への反発、ユニオンと民主党の共依存関係、過剰なポリティカル・コレクトネスによる言論の自由の抑圧など、様々な問題点を具体的に掘り下げています。
これらの問題がアメリカの経済や社会に与える影響を明らかにしながら、著者は自由と正義を求める草の根の人々の声や行動に希望を見出そうとしています。本書は、主要メディアが伝えないアメリカの現実を、在米35年の日本人経営者の視点から詳細にリポートする一冊です。




【序章-バイデン政権とアメリカの転落】

バイデン政権の正統性の疑問

バイデン政権は、トランプ大統領を破り、2021年1月に発足しました。しかし、その正統性については、政権の内部からも外部からも疑念が投げかけられています。民主党支持者の一部からもバイデン政権の政策やリーダーシップに対する不満の声が上がり、アメリカ全土で選挙の正当性をめぐる監査が行われている現状は、政権の基盤が揺らいでいることを示しています。
各州では、市民が自腹を切って選挙の監査を続けており、これがいかに深刻な問題であるかを物語っています。特に、2020年大統領選挙の結果に対する疑念は根強く、バイデン政権の正当性に対する不信感が広がっています。これにより、アメリカ国内での分断が一層深まっています。

アフガニスタン撤退の失敗

2021年8月末、アメリカはアフガニスタンからの撤退作戦を実行しましたが、この撤退は大きな失敗として記憶されることになりました。アフガニスタン撤退作戦は、戦略的にも実行面でも無様な結果となり、多くのアメリカ人がその失態に怒りを覚えました。さらに、撤退の背後で進行していた密約が暴露され、政権の実像が浮かび上がりました。
バイデン政権は、撤退作戦の際に多くの誤りを犯し、その中でも最も深刻なのは、アフガニスタン政府との連携不足でした。この結果、タリバンが急速に勢力を拡大し、アフガニスタン全土を制圧するに至りました。アメリカの国際的な信頼も大きく損なわれ、同盟国からの批判も強まりました。

原油高とインフレ問題

バイデン政権の環境政策は、世界的な原油高と米国内の突出したインフレを引き起こしました。著者は、これが単なる「コロナ後の景気回復」ではなく、バイデン政権の政策が主因であると指摘しています。気候変動対策として、米国自身が原油の採掘を停止し、パイプラインを閉鎖しました。これにより、原油の供給が不足し、価格が急騰しました。
さらに、高額の失業保険の支給が続いたため、多くの人々が労働市場から離れ、労働意欲が低下しました。これにより、供給不足が一層深刻化し、物価上昇が加速しました。特に、生活必需品の価格上昇は、低所得者層に大きな打撃を与えています。著者は、バイデン政権の政策が世界経済に与える負の影響を強調し、アメリカの経済的安定が危機に瀕していることを警鐘しています。


【史上最低の大統領 - バイデン】

バイデン大統領の政治的背景

ジョー・バイデンは、長い政治キャリアを通じて風見鶏政治家としての立場を貫いてきました。彼は、その都度の政治的風向きに合わせて立場を変えることが多く、その一貫性のなさがしばしば批判の対象となってきました。特に、バイデンが民主党の中道派として知られていた過去とは裏腹に、彼の政策は左派に寄り過ぎているとの指摘が多くあります。
バイデン政権の政策は、気候変動対策や社会保障の拡充など、左派的な要素が強く、これが一部の国民からの支持を失う原因となっています。また、彼の政策は経済的にも多くの問題を引き起こしており、その結果としてアメリカの国力が弱体化している現状が見られます。

バイデン家のスキャンダル

バイデン政権のもう一つの大きな問題は、バイデン家にまつわるスキャンダルです。特に、ハンター・バイデンの「地獄からのラップトップ」事件は、バイデン政権に対する信頼を大きく損ないました。ハンター・バイデンが関与したとされる違法行為や倫理的な問題は、政権全体のイメージに悪影響を与えています。
この事件は、バイデン政権の矛盾を浮き彫りにしました。バイデン大統領は透明性と誠実さを掲げて当選しましたが、家族のスキャンダルを隠蔽しようとする姿勢は、その公約に対する疑念を抱かせます。政権内部での対応も含め、この問題はバイデン政権の信頼性を大きく揺るがす要因となっています。

犯罪の増加と警察予算のカット

バイデン政権下では、大都市部での犯罪が急増しています。特に、暴力犯罪や窃盗事件が増加しており、市民の安全が脅かされています。この犯罪増加の背景には、警察予算のカットが大きく影響しています。バイデン政権は、警察予算の再配分を進め、社会サービスへの資金を増やす方針を掲げていますが、これが現場の警察力の低下を招いています。
警察予算のカットは、一部のコミュニティで治安の悪化を招き、住民の不安を増大させています。犯罪者が優遇される一方で、警察官は必要なリソースを持たない状況に追い込まれており、この矛盾が治安の悪化に拍車をかけています。また、ワクチン義務化による警察官の離職も問題をさらに深刻化させています。


【アメリカが歴史上最も弱くなった日】

アフガニスタン撤退の背景

アフガニスタンからの撤退は、アメリカ史上最も屈辱的な出来事の一つとして記憶されることとなりました。2021年8月末、米軍はアフガニスタンからの撤退を完了しましたが、その過程は混乱と混迷に満ちていました。この撤退作戦の失敗は、アメリカのリーダーシップの欠如を露呈し、世界中に衝撃を与えました。
アフガニスタン敗戦の背景には、長年にわたる米国の政策の誤りと、バイデン政権の決断ミスが絡んでいます。特に、バイデン大統領の決断を歪めた虚栄心が、作戦の無様さをさらに際立たせました。バイデン政権は、撤退のタイミングや方法を誤り、結果としてタリバンが急速に勢力を拡大し、アフガニスタン全土を掌握する事態となりました。

同盟国との亀裂

アフガニスタン撤退は、アメリカとその同盟国との関係にも深刻な亀裂を生じさせました。米国政府の対応に対する同盟国の怒りは強く、特に欧州首脳からは不信と裏切りの声が上がりました。アメリカの撤退計画に対する同盟国の意見や懸念が十分に考慮されなかったことが、その原因です。
例えば、英国の元首相トニー・ブレアは、アフガニスタン撤退を「知的障害者なみの判断」と批判しました。同盟国は、アメリカが国際協調を軽視し、自国の利益を優先したことに対し強い不満を抱いています。このことは、アメリカの国際的な信頼を損ない、リーダーシップの低下を招いています。

バイデン政権の失敗とその受益者

バイデン政権のアフガニスタン撤退作戦は、多くの誤算に満ちていました。最も重要な軍事拠点であるバグラム空軍基地を撤退前に閉鎖したことは、その典型的な例です。この決定により、アメリカ軍の撤退がさらに混乱し、多くのアフガン市民や米国民が取り残される結果となりました。
この失敗により利益を得た勢力は誰でしょうか?一部の専門家は、タリバンが最も大きな受益者であると指摘しています。タリバンは、アメリカの撤退を利用して勢力を拡大し、アフガニスタン全土を掌握しました。また、中国やロシアといったアメリカの競合国も、アメリカの国際的な影響力の低下を喜んでいることでしょう。


【バイデン・インフレとその影響】

インフレの原因と影響

バイデン政権の政策が引き起こしたインフレは、アメリカ経済に深刻な影響を及ぼしています。バイデン大統領が就任当初にサインした一連の大統領令が、即座にインフレの引き金となりました。特に、気候変動対策として原油の採掘を停止し、パイプラインを閉鎖する決定は、エネルギー価格の高騰を招きました。この結果、ガソリン価格が急上昇し、輸送コストの増加が物価全般の上昇につながりました。
インフレは、特に低所得層に大きな打撃を与えています。生活必需品の価格が上昇し、多くの家族が日々の生活に苦しんでいます。また、高額の失業保険が支給される中、多くの人々が働く意欲を失い、労働力不足が生産性の低下を招いています。このように、バイデン政権の政策がもたらしたインフレは、アメリカ市民の生活を破壊し、経済の安定を脅かしています。

ワクチン義務化とその影響

バイデン政権のもう一つの重要な政策は、ワクチン義務化です。この政策は、多くのアメリカ人から強い反発を招いています。特に、ワクチンを接種しないことで職を失うリスクがある労働者たちからの不満が高まっています。
ワクチン義務化の影響は、航空業界にも及んでいます。多くの航空会社がワクチン接種を義務付けたため、パイロットや乗務員が不足し、フライトのキャンセルが相次いでいます。この結果、旅行や物流が混乱し、経済活動にも悪影響を与えています。ワクチン義務化政策は、アメリカの経済に多大なストレスを与えていると言えます。

ユニオンと民主党の関係

バイデン政権の政策は、ユニオン(労働組合)との深い関係にも影響を与えています。ユニオンは、民主党と共依存関係にあり、バイデン政権の政策にも強い影響を及ぼしています。特に、ユニオンが持つ排他的特権が、労働市場の柔軟性を阻害し、経済の停滞を招いています。
ユニオンは、その影響力を駆使して、自らの利益を優先する政策を推進してきました。例えば、港湾の近代化を阻むことで、自らの雇用を守る一方で、物流の遅延を引き起こし、経済に悪影響を与えています。また、バイデン政権はユニオンとの関係を優先するあまり、経済全体の利益を犠牲にしていると批判されています。


【終章: バイデン政権下のアメリカと未来への展望】

バイデン政権の下で、アメリカは様々な問題に直面しています。本書「アメリカの崩壊 分断の進行でこれから何が起きるのか」では、著者・山中泉がこれらの問題を鋭く分析し、読者に迫りくる現実を伝えています。

バイデン政権は、自由と正義というアメリカの根幹をなす価値観を揺るがす政策を推進しています。選挙の正当性に対する疑念、アフガニスタン撤退の失敗、そして経済政策の失敗によるインフレと生活の苦難が重なり、アメリカ国内の分断は深まるばかりです。アフガニスタン撤退は、アメリカの国際的なリーダーシップの喪失を象徴する出来事でした。混乱した撤退作戦は同盟国との亀裂を生み、アメリカの信頼性を著しく損ないました。さらに、インフレと高額の失業保険、ワクチン義務化による経済の混乱は、市民の生活を直撃し、社会全体に不安と不満を広げています。

バイデン政権とユニオンの共依存関係もまた、アメリカの経済に大きな影響を及ぼしています。ユニオンの排他的特権が労働市場の柔軟性を阻害し、経済の停滞を招いています。民主党とユニオンの関係は、短期的な利益を優先するあまり、経済全体の発展を阻む結果となっています。バイデン政権下で進行するポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)問題も、社会に大きな影響を与えています。過剰な政治的正しさが、言論の自由を抑圧し、新たな社会的対立を生んでいます。特に教育現場での影響は深刻で、子どもたちの教育環境や親たちの不満が高まっています。

山中泉は、アメリカの未来について悲観的な見方を示しつつも、希望を見出すための道を模索しています。アメリカが再び立ち直るためには、バイデン政権の問題点を直視し、政策の転換が必要です。市民一人ひとりが声を上げ、草の根の運動を通じて社会を変える力を信じることが求められています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?