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外国人の歌が上手い理由はただ一つ

今回は日本人と比較して外国人の方が歌が上手い要因について考察したいと思います。


もちろん、一概に『外国人の方が上手い』という風に言い切ってしまえることではないのは重々承知の上でのお話です。

当然ながら個人差がありますし、日本人でも歌が上手い人はたくさんいます。


ただ、なんとなく肌感覚で「外国人は歌が上手い人が多いなぁ」と感じることは多いと思います。


やはり、”個人差”を抜きにして「マクロな視点」「全体感」「大きな傾向」で考えると外国人は日本人と比較すれば歌が上手い人が多いのでしょう。


「骨格が違うんだよ」

「人種(喉)が違うんだよ」


という考えもありますし、それが完全に間違っているとは思わないのですが、それが核心をついたものとは思いません。


やはりたった一つの大きなカギは


『言語』


だと思います。


つまり、

言語の差によって『歌が上手くなりやすい傾向』のようなものが生まれる

と考えられます。


【骨格の差による共鳴の差:あまり関係ない】


頭蓋骨の形による共鳴の差は確かに存在すると思います。

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例えば、

西洋人は

・鼻が高い

・頭蓋骨が前後に長い

などのことから「鼻腔などの空間が広い」。

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黒人は

・口や歯や顎全体が大きい

ということから「口腔の空間が広い」。

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アジア人(日本人を含む)は黒人や西洋人と比べるとどちらの特徴からも劣っている傾向にあるようです。

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その点を考えると


『日本人の共鳴腔の大きさは骨格的に劣っている傾向にある可能性が高い』


と考えることができます。



でも、共鳴腔って直接歌の上手さに関係しないでしょう。


アジア人の骨格でもフィリピン(英語人口世界3位だそう)人とか歌が上手い人が多いとか言われますし。


もちろん”全く同じ条件の人間であれば”共鳴腔が大きいほどに、

・声量が大きくなりやすい
・倍音が乗りやすい

というメリットはあるでしょうが、あくまで歌の上手さの補助的な部分ですね。


例えば、

ギターとウクレレは共鳴空間に大きな差がありますが、どちらも一流の奏者が弾けば素敵な音色が鳴ります。


声も同じですね。

持って生まれた共鳴腔を活かすことが大事なのであって、その大きさで上手さそのものは決まりません。


もっと核心をついていけば、


もし共鳴腔の大きさが歌の上手さに関係するのであれば、共鳴腔が小さい(頭蓋骨が小さい)子供には歌が上手い人は存在しないことになりますが、全然そんなことはないですね。

小さな子でも上手い人は上手い↓(ついでに勉強になるボイトレ動画チャンネルを紹介)

小さな頭蓋骨でも上手い人がいるのなら、歌の上手さと共鳴腔の大きさそのものはほぼ関係ないと言い切れるでしょう。


【人種による声帯の違い:多分ない】

人種差によっての声帯の能力の違いもないと言われています。

個人的にも”人種差だけ”で声帯の能力が決まることはないと思っています。


ただ、もしかしたら『筋肉のつきやすさ』みたいな感じで、


『声帯や声帯付近の筋肉や神経の成長のしやすさ』


みたいなものがある可能性も否定できません。


ただ、もしこれがあったとしても「成長しやすいからなんだ!」って話ですよね。


歌がどこまで高い声を出せるかを競うスポーツだったとしたら、不利かもしれませんが、歌は競技ではないので『筋肉などの成長のしやすさ』は歌の上手さには関係ないですね。

自分が出せる範囲を極めればいいのですから。


【言語の違い:英語=上手い】


これでしょう。


この言語の違いが

「外国人は歌が上手い人が多い」という傾向を生み出している大きな要因

でしょう。


世界中には色々な言語がありますが、特に英語は上手くなりやすい。おそらくスペイン語・イタリア語・フランス語などヨーロッパ系の言語も上手くなりやすい。

中国語とか韓国語などもご近所ですが、意外と悪くないかと。


というよりも悲しいことに『日本語が歌が苦手になりやすい言語である』と言った方が早いのでしょう(*厳密にはこれは語弊があるのですが、これは後ほど説明します)。


というのも、

日本語は世界的にトップクラスの


『母音言語』


です。

と言うより、母音を重視する母音言語は「日本語」と「ポリネシア語」しかないそうです。



母音言語・・・言語の中に母音が出てくる割合が多い。母音を重視する。

子音言語・・・言語の中に子音が出てくる割合が多い。子音を重視する。


この二つ厳密に線を引くのは難しいですし、中間的な言語は存在するでしょうが、日本語と比較すればほとんどの言語は「子音的」ですし、「子音」を重視して聞く耳を持っているのですね。

*ちなみに、大陸に住んでいた人種は縄張り争いのため威嚇的な言語(子音を強調する言語)に進化し、島国に住んでいた人種は争わないように融和的な言語(母音を強調する言語)に進化したのだとか。



本題に戻りますと、日本人は母音主体の言語だから、


・『声帯の使い方が硬く単調になりやすい』=『声帯を柔軟に使えない原因』=『歌が苦手になる原因』

・『子音を上手く使えない』=『声帯以外の部分のコントロールも苦手』=『歌が苦手になる原因』


なのではないかと思っています。


母音からの観点

母音というのは必ず『声帯の鳴り』なんです。

『ア・イ・ウ・エ・オ』

は必ず声帯が鳴ります。

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そして日本語は全ての言葉に母音がついてますね。

これを考慮に入れると日本人は話すときにいかに声帯を鳴らして話しているかがわかると思います。


「わたしは おんがくが だいすきです」は


「あーいあ おんあうあ あいういえう」


という風に全部に母音がついてますね。


「I love music so much」だと


「あい あぅ うーいっ おー あっ」

のように母音の割合が少ない。



このように母音だけを切り取れば、日本語は声帯を鳴らしまくってますね。

常に鳴らしています。


「あれ?たくさん鳴らしているんならそっちの方がいいんじゃね!?」

と思うでしょうが、そうではないでしょう。


鳴らし方が単調で硬いのが問題なのだと考えます。


試しに口を閉じてハミング(鼻歌の状態)で

①「私は音楽が大好きです。」

②「I love music so much, and I love singing.」(*短いので2文。英語圏の人になったつもりで)

と言ってみてください(*そう言っているつもりでハミングする)。


そうすると、日本語の方が鼻から「フンフンフンフン」細かくたくさん言わなければいけならず若干キツさを感じるはず。

そして、英語は「フン」が少なく流れるようにさらっと言いやすいはずです。


さらに日本語は「フンフン」細かく音にブレーキをかけて区切るわりに全体の音がつながっていて単調。

英語は一つ一つの「フン」がゆったり伸びやかなのに全体の音はリズミカルに区切れている。

という感じになるでしょう。


つまり、

・日本語は瞬間的には母音を硬く区切るけれど、全体的には鳴らしっぱなしで長く繋がっている

・英語は母音を柔らかく息に合わせて繋げて流すが、全体的には鳴りの歯切れがよく(=鳴りが少なく)リズミカル

という特徴がある。


これは言い換えると、

日本語は『声帯を硬く使っている』『喉に力が入っている』『息が流れにくい』

英語は『声帯を柔らかく使っている』『喉に力が入っていない』『息が流れやすい』

ということ。


しかも英語の母音の数は細かく分類すると26個だそう。日本語は5個


・声帯を硬く鳴らしている発声(日本語:母音5個)
・声帯を柔らかく鳴らす発声(英語:母音26個)


これを日常レベルから常に続けていると、どちらの方が声帯のコントロールする能力が高くなりやすいかは予想できますね。


普段から日本語を話している僕ら日本人からすれば「声帯を硬く使っている」「喉を硬く使っている」「喉を締めて話している」などそんな意識は微塵もないのですが、英語と比較すると随分と違うのですね。


子音からの観点

子音というのは「声帯の鳴り以外の部分の音」です。


『歯・舌・唇・息』


などで作る音です。

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子音をたくさん使う言語ほど


『歯・舌・唇・息のコントロールが上手くなる』=「声帯以外のコントロールが上手い』

なども考えられます。


例えば、

「JUST・ジャスト」だと、

日本語風に言うと

「じゃすと」

じゃ(鳴らす)す(鳴らす)と(鳴らす)

です。



英語だと

「ジャst」

ジャ(鳴らす)S(息のみを出す)T(舌のみを弾く)

ですね。


その分子音を強調します

なので息を使ったり舌を使ったりという音の表現は、英語の方が自然と長けてきます。


例えば、英語圏の人が日本語を話すとすごく子音がはっきりしますよね。

「ありがとうございます」が「アリ・ガト・ゴザイ・マス!」みたいな。


このように「子音を強調する」という特性が歌に必要な

・息の流れ
・舌の柔軟性
・唇の使い方

など日本語に比べてその必要性の分だけ能力が上がることになる。


英語は話しているだけで日本人にしてみればボイトレみたいなものですね。

羨ましい。


母音と子音の観点をまとめると


英語は

・母音を柔らかく使う=声帯のコントロール能力が高まる

・子音を強く使う=息・舌・唇などの使い方が上手くなる

などの特徴があり、それが日本語と比較すると歌に向いているということ。

英語だけでなく、他の主要な言語も割とこういう要素を捉えている。


というより、世界的に見て日本人が逆に歌が苦手になりやすい(声帯・喉が硬すぎる)んでしょうね。悲しい、、、。

もちろん日本でもプロのシンガー達は喉が柔軟ですが、そういう人たちが少なくなりやすい言語特性。


そもそも、日本語で上手く歌っているシンガー達は本当にすごい。

音楽的に英語は日本語よりも歌いやすい(音程取りやすい・リズム取りやすい・質のいい発声がしやすい・出だしも綺麗・高音が出しやすい・負担が少ない)という面も持っているので、もう大変です。 


日本人(語)にも”得意”はある

そんな日本人(語)にも実は得意な歌があると考えられます。

それは演歌・歌謡曲・流行歌・民謡などの日本らしい歌


そもそも日本で現在主流となっているポップスのルーツは洋楽です。

つまり海外産の音楽を日本風にカスタマイズしているようなもの。


しかし、日本文化から生まれた歌は日本人に歌いやすいようになっている。

具体的には『一言一言(1音1音)が長く、ゆったりとした音の流れのある歌い方』。

これは世界で一番日本人が上手いのではないかと考えられます(*あくまでも傾向)。

例えば、こういう歌唱↓

こういう日本らしい歌の歌い方は逆に海外の人は苦手になりやすいはず。


先ほど母音の項目で、

日本語は

・声帯を硬く使う言語

・喉を締める言語

と述べましたが、これは裏を返せば『母音をゆったりと長く伸ばすことが得意になりやすい』ということです。

それに関しては日本語を話すことが最高のボイトレになります。


なので、日本文化の中で生まれた音楽の多くは音が滑らかにゆっくりと流れる歌が非常に多いです。

また、お経などでも母音をすごく長くつなげますよね。

このように母音言語だからこそ、母音を長くゆったり繋げることはものすごく得意という性質を持っていてそれが文化の中に大きく活かされています。

日本に根付く文化や歌は自然と日本語に最適化されており、自然と『日本人用』になっているのですね。


中盤で、『”日本語は歌が苦手になりやすい”というのには語弊がある』と述べたのはこれが理由です。


つまり、正確には日本人(語)は

・洋楽ルーツの音楽は苦手

・日本ルーツの音楽は得意

になりやすいということです。


言語によって歌の上手さが決まるのではなく、言語に相性の良い歌がそれぞれにある』。


もちろん、これはあくまでも「傾向」のお話であって結局は個々の能力次第ではあります。『日本語』でも母音(喉)を柔らかく使い、子音をはっきりと話す人もいますし、訓練次第でなんとでもなるでしょう。


ただ、大きな視点で見ると”言語”と『歌』は密接な関係があることは間違い無い。

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