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売り手と買い手とサプライヤーの奢りと

Photo by Brusk Dede on Unsplash

昨日、米国のDriftというSaaS企業が出版している「Conversational Marketing(カンバセーショナル マーケティング)」という本を少し読んでいて感じたことがあった。

この本の冒頭で、売り手と書いての関係性サプライとデマンドの関係性について書かれている。

ここ数週間のコロナ関係の対応とDriftの書籍の冒頭部分を見て感じてことを合わせて簡単に残したいと思う。

買い手と売り手と

自分が社会に出たばかりの頃と比べると、何を調べるにしてもあっという間に欲しい情報が手に入るようになったな、と感じることが多いです。

当時は、SNSも企業では一般的なものではなくググる、なんていう言葉もなく、仕事で普通にチャットツールを使うなんてこともほとんどありませんでした。

そこから比較すると凄まじい変化、ソフトバンクの孫さん曰く、2018年から2048年までにインターネット上の情報量は増え続け100万倍まで増加するだろう、とのこと。

この情報量の増加は、BtoB企業の商売にも変化を与えており、2013年発売の書籍「Invisible Sales(見えなくなった販売活動)」でも約60%ほどの購買プロセスを買い手自ら終わらせて、売り手の企業側からは見えなくなったと述べられています。

2020年の今、購買活動の70%ほどは買い手側が自ら済ませているのでは、くらいにも感じてます。

買い手と売り手のバランスが崩壊、これに気づかずに対応できていない人たちが多いと大変なことになるのではないのかな、と。

自分もBtoBの業界にいるので置いてけぼりにならないように、スピードやモーメントの大きいBtoCの動向を、5年後10年後のBtoBの姿として注意深く観察するようにしています。

Driftの書籍の例に出ていたのですが、買い手と売り手のバランスが崩れてひっくり返ったビジネスの例に、

2010年、ピーク時に従業員が最大6万人いた店舗型のDVD貸し出し業のBlockbusterが倒産。

2011年、フォーチュン500にあげられる国際的書店チェーンBorders が経営破綻。

現在進行形で、米国のタクシー業界は、アプリ企業にお客さんを持ってかれ続けている。

などがある、と書かれています。

また、これらかつて栄華を極めていた企業に共通するのはサプライヤー思考。提供する場だけを持っている企業たちでした。

彼らをひっくり返したのは、Netflix、Amazon、LyftやUberで、買い手の変化した購買パターンに合わせてデマンドを刺激し、4Pの3つ、Promotion、Place、Priceを変更した企業達。

そこまで有名な企業ではないのですが、「DOLLAR SHAVE CLUB」も大変わかりやすい例なので少しご紹介。

DOLLAR SHAVE CLUBは、買い手の髭の濃さやクセに合わせて、髭剃り、髭剃りクリーム、シャンプー、体臭予防クリームなどを組み合わせて「洗面所で必要なものを自動でお届け(で、ハンサムになろう)」というコンセプトでデマンドを創出。

動画の一部の意訳:うちの刃は、めちゃクソいいぜ。たった一ドルで、お宅のドアまで届けるんだ。毎月20ドルも使っているんだって?その19ドルの差額がどこに行くか知っているか、(ジレットのスポンサーしている)ロジャーフェデラーだぜ、まあ俺もテニスがうまいけどな(空振り)。

髭剃りのジレットがサプライヤーとして、髭を剃るためだけの髭剃りを、それとなく立ち寄る薬局で販売していた状況に対して勝負を仕掛け、4PのPriceをサブスクモデルに変更。

結果的に、DOLLAR SHAVE CLUBは急成長、ユニリーバに1,000億円で買収され、ジレットのシェアは71%から59%に後退。

DOLLAR SHAVE CLUBのような新興企業が、栄華を極めている企業からシェアを奪うのは、買い手と売り手の力の変化を見極め、サプライヤーであり続ける企業に対して、デマンドを創出する勝負を仕掛けたからなのだろう、なと。

この変化を2020年の2月末に行われたSatoriさんの大型カンファレンス「標」で、少しばかり体感。

コロナの影響で急遽オンライン開催となり、その時に感じたデマンドを刺激した感の強さ。視聴率の高さと同時に、Twitterとslidoでのインタラクティブな動きを撮影されながら見ていましたが驚きました。

BtoBの大型カンファレンスといえば、大型会場を借りサプライヤー側の理屈で、

- 場所と環境が固定
- 定形的な参加申し込み
- 名刺は会社資料の引換券
- 翌週にメール爆弾と売り込みを受ける

が、固定。一方で、オンライン開催は、

- 慣れたデスクでカンファレンスの様子を視聴
- 申し込みは気分次第で後日視聴も可能
- ツイートして意見を交換、
- リアルタイムでユーザー同士で製品サービスの情報を交換できる

これって、圧倒的に買い手が時間を有効活用できているのではないか、ということ。Driftの書籍にあったサプライとデマンドの関係性にとても似ているのではないかと思う。

このコロナ騒ぎでこのデマンドに新しい商機を見つけた会社さんもいる。もちろん、逆も然り。

買い手の力が優位に立ち、売り手の力が弱まっていることへの理解不足、サプライヤーの奢りはよくないであろうなぁ、と。

BtoB企業のマーケティング担当者も、大きな買い手の力のバランスの変化と、市場からのデマンドをきちんと読むようにするのが必要なのではないかな、と思ったここ数日でした。

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