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ふかえりは深津絵里。

1q84book1の300ページを開いた瞬間にかつて読んだことがあるような気がした。はっとした。いや読んだことなどない。間違いない。大学の図書館履歴にも記載がないし、まして買ったことなどない。母から借りて読んだこともないから間違いなく読んだことはないのだ。にもかかわらず、突然読んだことのあるような記憶に襲われる。この効果は一体なんなのだろうか。1q84が生み出す世界観に取り込まれているのだろうか。それともたまたま脳が勘違いしただけなのだろうか。それとも月が綺麗すぎて宵に浸っているからだろうか。本を読むためにあえて電車に乗る。そんな生活も慣れてきたものだ。こんな生活ができるのもそう多くはない。社会に出て果てしなく大きい荒波に飲まれ始めたら、こんな呑気な時間も過ごせなくなるだろう。都市の電車は一人一人の尻に合うように区分けがされている。そこに座っているだけで、目の前の読書に集中できる。腕も動かさないし、脚もせいぜい組むぐらいだ。飲みも控えられている時だから、騒がしくしている中年も大学生もいない。隣に女性が座ればなお心地いいのだが、平日の夜だとあまり好まない風貌の人が座ってきたりする。それはそれとして、とにかく目の前の読書に集中する。いまぼくの前にあるのは永年の歴史をもつ文字だけなのだ。この文字から読み取れることを必死になって吸い込み、僕の人生の糧にする。隣の人がゲームをしていても関係ない。僕は僕なりに読書をすれば自分のためになると思ってただ読み続けるだけだ。もちろん疲れる。頭も使う。しかし文字から得た世界を感じることで、2倍3倍と別の体験をしているようになれる。たった10分だけでものめり込むと深い学びにつながる。

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