見出し画像

The Model Practice vol.1 -カスタマーサクセス編- の振り返り(前編)

はじめまして。カスタマーサポートに特化したAIチャットボットを提供しているカラクリという会社でカスタマーサクセスの責任者を務めている鈴木奨平と申します。好きなものは阪神、スーパー銭湯、ラーメン、激辛料理などです。

僕はカスタマーサクセス系のイベントによく顔を出しており、いろんな方とお話しするのですが、その内容をもっと公開した方が良いよと何人かの方に言われたこともあって、今日からnoteで発信することを始めようと思います!

さて、2019年3月29日にセールスフォースさん主催の「The Model Practice vol.1 -カスタマーサクセス編-」という勉強会に参加しました。ここではディスカッションテーマごとに、各企業およびセールスフォースさんのカスタマーサクセスの取り組みやナレッジをシェアし合いました。この勉強会の発表内容のサマリーはおそらくどなたかが書かれていると思いますので、ここでは弊社カラクリでの取り組み内容を中心に記載したいと思います。なお、各項目に関してより詳細まで掘り下げた内容も記載したいのですが、長くなってしまうので気が向いた際に別記事で執筆できればと思います。

以降の話の前提として、我々カラクリのサービスやカスタマーサクセスの特徴を記しておきます。

・本格ローンチから約1年で導入企業数は約30社 
・SaaSの中では金額的に高め(月額料金は6桁以上)
・カスタマーサクセスチームの本格組成は2018年10月頃からで、2019年3月時点で役員・社員で5名、インターン含めると約10名のチーム
・大手BtoCサービスのカスタマーサポート部門のマネージャーの方がカウンターパート
・サポートは所謂ハイタッチ的なアプローチがメイン。チャットボットの活用サポートだけに留まるのでなく、顧客の事業課題解決、サービス改善にまで踏み込んだコンサルティングを行うことも(上場企業の場合は、有価証券報告書、決算説明会資料の内容も参考にし、サポートを行っています)

カスタマーサクセスチームの立ち上げ時にやるべきこと(やってよかったこと)

弊社カラクリではチーム組成をして、まだ半年くらいですが、以下のことをやってよかったと思います。

1.  顧客と顧客の課題を定義
スタートアップではリソースが限られています。全方位的にあれもこれもやろうとすると中途半端になってしまいます。

よって、自分たちの本当の顧客は誰なのか、その顧客の課題は何なのかの認識を全社で揃え、それらの対応にリソースを集中し、事業を行っていったのは良かったと思います。

2. カスタマージャーニーマップの作成
顧客サポートにおけるオペレーションも1からつくっていくわけですが、これもいきなり全部やろうとすると大変です。例えば分析や問題解決などのタスクを一度は経験したことがある人ならわかってもらえると思いますが、1つずつ情報収集を行っていくと間違いなく時間オーバーになります。まずは全体像や結論を先に考えそれを検証していく仮説思考的なアプローチをした方が良いと思います。

よって、どの部分のサポートが特に重要そうかの当たりをつけるため、先程の顧客と顧客の課題をもとにしたカスタマージャーニーマップを作成し、顧客視点でのつまづき、満足ポイントの仮説を洗い出し、そこから優先順位をつけオペレーションを構築していくことを行いました。

3. ハイタッチサポートから本当に効果のある業務を見出し、業務を標準化・効率化
仮説を前提に考えたサポート内容が本当に顧客のためになるかどうかは実際に試してみないとわかりません。

よって、カスタマーサクセス界隈では顧客へのアプローチ方法として「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」があると言われていますが、サービス特性やダイレクトに顧客の反応を知りたいこともあり、我々は「ハイタッチ」的なアプローチから着手しました。そして、顧客の反応などを踏まえながら効果的だと判断した内容(所謂「勝ちパターン」)に関しては、誰もが同じレベルでできるようドキュメントに起こすなどして標準化し、一部業務はロータッチ化や、オペレーションの自動化(ここはプログラミングなども駆使しています)による効率化も図ってきました。

4. 顧客の期待値のコントロール
どこの会社でもあるあるの課題だと思いますが、マーケ、セールス、カスタマーサクセスそれぞれのタッチポイントで顧客の期待値がバラバラになっているケースがあります。これが原因で顧客が不満足になり、最悪解約につながることもあるそうです。

我々もまだまだ上手く言っているとは言い難いですが、我々のサービスでできること・できないこと、各マイルストーンにおけるあるべき状態などの期待値があまりブレないよう、社内外ともにドキュメントや打ち合わせを通じ、認識のすり合わせを行っています。

カスタマーサクセスチームの立ち上げ時にやってはいけないこと

逆にこんなことをして失敗した経験もあります。

顧客の言うことを聞きすぎる
これに尽きます。僕もたくさん失敗しました。顧客は「○○の機能を追加して欲しい」など様々な要望を我々に伝えます。ついそれを真に受けてプロダクトのメンバーなどに伝言ゲームのように伝えてしまったこともありました(実は本当は必要ない機能かもしれないのに)。また、時には顧客にお願いしたことが実行されないようなケースもあります。「△△の理由でできない」と言われ、それなら仕方ないと済ませてしまう(妥協してしまう)こともありがちです。

しかし大事なのは「何が本質的な課題か」を見極めることです。「顧客の言うことを聞くのではなく、顧客のためになることをなす」というスタンスであることが重要です。顧客に言われたことをそのまま鵜呑みにするのでなく、一歩深く考え、「こう仰っているのは□□を実現したいからですか?」、「(できない理由は本当に△△ですか?)他に困っていることはありませんか?」のように、深掘りしたり、別の視点からの質問を投げかけたりしていくことで、本質的な課題にたどり着くこともしばしばあります。

さらに、我々はよく「KARAKURIはビジネス版RIZAPなサービス」だと公言していますが、顧客のゴール達成に向けて伴走するため、時には顧客にとって耳の痛いことを伝えないといけないこともあります。それを言わずにゴールが達成されない方が顧客にとって悪いことです。極端な話、子どものしつけと同じで顧客の言うことに一切耳を傾けないこともアリだと思います。

本当の「顧客志向」というのは「本当に顧客の為になることであれば顧客の言うことに無理に従う必要もなく、顧客自身も気づいてない価値を提供することだ」と僕は思います。

まだまだ続きがあるのですが、ここまででだいぶ長くなりましたので、続編は4月中にまた書きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?