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ハローウィーンも本番。本番もしなかった。

 本日はハローウィーン。
 渋谷で毎年行われるお祭り騒ぎとは全く縁がない。最後にハローウィーンっぽいことをしたのは大学の頃が最後。毎年この時期になると、そのハローウィーンのことをそれとなく思い出す。というか結局女の子の話になるのだが。

 ハローウィーンの日、たまたま持っていた黒の全身タイツに身を包み、僕は大好きな街、高田馬場を闊歩していた。たしか、変装していない友人一人を連れて。誰も浮かれていない馬場の街をロータリーから観察しながら、二人で悪態をついていたと思う。ホットなのは渋谷だけなんだろう。ロータリーの闇に紛れる黒タイツは好奇の目にも晒されず、秋の冷たさと同化していた。めちゃめちゃすべっていた。黒タイツの意味が分からないだろうが、変装というスキルを持っている着衣はこれしかなかった。ロータリーにただいるだけで、ハローウィーンの着地点は何も見えなかった。でも渋谷には行きたくはなかった。
 ハローウィーンのハの字もない絶海の孤島、馬場ロータリー。時間が経ち、明らかに変装をしている四人の女の子が入ってきた。その時、この世界には僕らだけ。黒タイツと変装女の子四人の出会いでロータリーの中心がドッと盛り上がりをみせた。なんで全身タイツなの?ウケるー!その時、これが僕の着地点なのだと思った。馬場、全然ハローウィーンしてないじゃん!私たちだけじゃん!黒タイツも私たちに入っていたと思う。一緒に写真撮ろうよ!とフランクに言われ、我らがBIGBOXをバックにパシャリ。やはり黒タイツも私たちに入っていた。心がハローウィーン・ババロータリー空港に着地した。いいフライトだった。彼女らとSNSを交換し、大満足で家路についた。

写真慣れしている仮装4人組と後藤

 数年が経ち、交換したSNSはその四人のうち一人とだけ繋がっていた。SNS上のオープンなやり取りで、僕の友人とその女の子が知り合いであることが分かった。会うことになった。もちろん高田馬場で。ただ、別の女の子を一人連れてくるという。急遽勃発した男女2対2のコンパだった。
 久々に高田馬場で再会。再会して思い出したが、その女の子はかなりのギャルマインドだった。そして、それを今もなお保持していた。希薄な繋がりで会うことに不安な僕の壁を、持ち前のギャル話術で早々に取っ払ってくれた。初めて会う女の子のほうも同じくギャルマインドを持っていて、かつて僕が帯びていた黒タイツマインドと共鳴し、非常に盛り上がった。酒を酌み交わしていくうちに、彼女らがどエロいことに僕は気づき始める。めちゃくちゃ、セックスの話をしていた。特に女性が男性に対してする手の動きについてが一番の盛り上がりを見せた話題だった。エロは壁を壊してくれるんだな。いろいろな壁が取り払われた。そのおかげで話していくうちに、とてつもなくムラムラしてきてしまい、僕で練習する?と笑いながら、でもしっかりと言い放った。久々に会った彼女は気にも留めないように、全然いいよと笑っていた。その言葉は非常に難解だった。彼女の練習としてならば、全然いいという答えは教わる側として不適切だと思う。えっまじ、いいの!くらいの感謝に組するような言葉が自ずとでてくるのではないか。練習として捉えながらも、単に言葉の選択を間違えただけなのか。反対に、僕にする行為を練習として捉えていないからこそ、その言葉が出たのか。そもそも彼女がどエロいからその言葉が自然と出たのか。エロによって、お互いの間にあった壁は取り払われたが、僕自身の中に立ちはだかる壁ができた。壁は非常に硬く、聳え立っていた。
 別にどっちでもよかった。練習はしなかった。


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