夢について4
夢の入口の向こうに、夢の入口があり……
……どこまでもつづくような夢に、果てはあるのだろうか。
その果ての近くに来たかもしれないと思ったことが、一度だけあった。
イギリスから日本へ向かう飛行機の中、窓際の席で、夜を眺めていた。
夜がぼんやりと光っていた。
雲のはるか上を飛んでいるから、雲にあたる月光ではない。
時折、緑がかった光が走った。すると、光が波立った。
夜の光が、緑がかった色を増していった。夜の光は幕のようにゆれていた。
星が流れた。一つ、また一つと、光の幕に星が流れて消えた。
この向こうで、夢が生まれている。確信に似た気持ちで夜を見つめていた。
子どもの頃に遊んだテレビゲーム。ドラゴンを操作して、夜空を飛ぶ。灰色の雲を上に抜けると、闇の中をどこまでも上昇していくことができた。ドラゴンを上へ上へと飛ばしながら、僕は夢に浸っていた。
その夢は、ここにつながっていた。すべての夢が生まれる場所があるとしたら、それは、この向こうにあると思った。
夢の果ては、夢の生まれる場所。
だとすると、すべての夢はつながっているのかもしれない。
黒い螺旋階段も、草原にそびえる塔も、鄙びた家のすりガラスの星々も……
つづく
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