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第7回 INSEADでの学び Lead the Future Programの選考プロセスについて

早いもので第7回目の投稿になります。
今回はLead the Future Programの選考プロセスについてお話しします。
このプログラムに申し込んでみようと思ったものの、想像以上に情報が限られていました。INSEADのMBAプログラムについての情報はいくつか見つかりましたが、このプログラムについての情報はとても限られております。将来このプログラムについて検討される方に役立ってほしいと思います。

今回も結論から述べていきます。私は現在、十全化学株式会社の取締役ですが今回のプログラムには、企業負担(Company sponsored)ではなく、個人(Self sponsored)での申し込みをしており、その場合の選考プロセスになります。

選考に必要なものは、以下の3つ
・INSEADへの個人情報の登録
・英文履歴書 Curriculum Vitae (CV)
・推薦状

それ以外の特徴として、以下があります。
・面接はない
・GMAT,TOEFLのスコア要件はない
・プログラムの入学資格は早いもの順に処理して、承認していく

こう見ると思ったより選考プロセスは簡単と思われるかもしれない。しかし、事実選考プロセス自体は私にとっても想像以上にシンプルでした。特に予備校も行っていないですし、特別の準備期間もありません。時間を要したのは推薦状を書いてくれた元上司への経緯説明と、推薦状作成依頼と内容の擦り合わせ、印刷と提出くらいです。これらは海外MBAプログラムに申し込むほどの時間は必要でありません。

面接もGMATもTOEFLスコア要件もなく、資料を提出すれば選考を通るのか?と言われればそれは「No」です。おそらくは、受講者の平均年齢は40歳を超えています。これまでの実績、歩んできたキャリアとこれからのキャリア、そして推薦状で人物を判定しているのでしょう。40代に入り、実績も積んできており、将来にCXO職を目指す人たちの選考基準として、TOEFL,GMATが相応しくないということなのだと思います。

このプログラムを受講開始しただけではAlumni資格は得られませんが、修了すれば得られる、というのが特徴です。コースが開始されて2ヶ月ですが普通に大変です。毎日、毎週末勉強する生活が続くタフなコースです(科目と科目の間に2週間インターバルがあるのでここでは休めます)。75名でClass of 2024-25はスタートしましたが、すでにdropしている人は出てきていると思います。教授とのLive授業であったり、クラスメートとのTown Hall meetingがありますが75名は参加していません(動画録画されているので、スケジュール調整が合わない人もいると思います)。2025年3月末に何名残るのかは??です。

この辺りの内容を詳しく綴ります。


プログラム選考に必要なもの 3つ

以下の3つが必要になります。
・INSEADへの個人情報の登録
・英文履歴書 Curriculum Vitae (CV)
・推薦状

個人情報の登録

個人情報の登録。こちらもそれなりに時間がかかります。内容的に難しいことはないのですが時間がかかります。私は大学の授業を受けるのが20年ぶりでしたのでデジタル化の進展に驚きます。

今時は大学とのやりとりにメールはほとんどありません。大学の指定するWebサイトで個人情報を登録していくのですが、データベースにデータが登録されるのでなんだか時間がかかります。ここで登録される情報の全てが、学生のデータ管理と直結しているのでしょう。こういったデータベース管理がINSEADに限らず名門大学のAlumini情報の出発点になっていることはほぼ間違いないと思います。

細々と時間がかかります。顔写真を登録するのですがアップロードした顔写真が横になってしまい、それを縦に方向転換するのに時間かかったのを覚えています。この点については特に共有すべき情報はありません。
また、一度登録すると後戻りできない、追加のファイルを送れないなどのトラブルが発生します。これについてもINSEADのAdmin関係者とのやり取りで個別にメール送付するなどの対応をしてくれましたので特に問題はないと思います。

英文履歴書 Curriculum Vitae (CV)

次に、英文履歴書 Curriculum Vitae (CV)です。こちらは特に指定フォーマットはありませんでした。書式自由です。私は、日産自動車に入社したのが2005年であり、それ以降転職活動をしていませんので、日本語版の職務経歴書もありませんでした。それゆえ大学を卒業してからの全てを振り返りながらの英文履歴書を作成することになりました。

ごくオーソドックスに、学歴、資格を記載しました。この部分は今更変えることは出来ません。INSEADにとって自分を受け入れることのメリットを伝えることが必要ということでそこに焦点を絞って書くことにしました。上に書きましたように、面接も、GAMTもTOEFLのないのですから選考を通るかどうかは、これをしっかりと書けるかどうかで決まります。

私は、製造業一筋20年です。これまでに、エレクトロニクス(家電品)3年、自動車業界13年、製薬業界6年です。そして多くの場合、事業企画、経営企画に従事しておりましたので、これらの事業においてほぼ全部門の人と打ち合わせを行い、意思決定を行い、計画を立てて実行をしてきました。新商品をどのように企画し、マーケット調査を行い、仕様を決め、デザインを決め、コストと投資を決め、収益管理をすることを実務として学んできました。どこかの部門において専門的に知識を積み重ねてきた訳ではありませんが、全部門と広く、ものづくりの全体像を複数の業界で経験してきた人材は少ないと思います。

日産でのキャリアにおいては、2013年からはエジプトに海外赴任の経験を述べました。日産の中では比較的に小さな現地会社、工場ではありますが、従業員1500人の工場においてわずか3人の日本人でエジプト事業を運営してきたことも述べさていただきました。そして日産におけるキャリアの集大成としては、新興国向けにDatsunブランドを再投入し、その事業責任を負う仕事、ルノーとのアライアンスを進めながら新車開発についても述べました。

そして現在勤める十全化学の概要とヘルスケア業界におけるCDMO事業における自分自身の役割(常務取締役、No2)についても述べて、どうして自分にとってのINSEADでの学びが大切かということ、私がINSEADにもたらすことが出来る私ならではの付加価値をしっかりと記述しました。

推薦状

私のクラスメートにも超大手の企業の人が多いです。私は学費を企業スポンサーではなく、個人負担で申し込みました。この場合は、誰かに推薦状を書いてもらう必要があります。
私はかつての上司に推薦状を書いてもらうことにしました。この方しか思い当たりませんでした。嬉しかったのは、上司に久しぶりにメールして、「INSEADのプログラムに申し込みたいのであなたに推薦状を書いて欲しい」と、お願いしました。即答で「OK」とのことでした。
それからは上司と推薦状の内容について打ち合わせをしながらこれを書き上げました。私の元上司はとても優秀な方です。そのような方に推薦状を書いていただけてとても光栄です。そして、元上司と私の関係、私と取り組んだ仕事についても記述します。さらには、私と元上司が知り合って何年か?という質問にも答える必要があります。この元上司と一緒に仕事をしたのは、もう14年も昔のことになります。「14年」という数値を記述しているところに、私と元上司が作り上げた「信頼」があると思います。
そして第6回の投稿でも書きましたように私の英語力については、推薦者が保証する形を取るのがINSEADです。もっと言えば英語力だけでなく、私がINSEADにおいて学ぶこと、INSEADに対する貢献も保証しているのです。これだけの保証があるから、GAMTもTOEFLも選考過程で求められないのだと思います。

INSEAD Lead the Future Program選考についてのまとめ

INSEAD Lead the Future Program選考についてまとめます。エントリーの準備を始めた時に情報がなくて困りました。日本語で情報を書いているのは私だけでしょう。このプログラムの選考には、GMATもTOEFL要件もありませんし、面接もありません。本人からの申請内容と推薦状のみで受け入れ可否が決まります。それでは誰でも合格できるのかというとそうではないと思います。このプログラム修了時にはINSEADのMBA,EMBA修了者と同じAlumni資格を得られるプログラムの選考と修了要件が簡単なわけがないのです。それでは、INSEADのMBA,EMBA修了者に対して失礼です。これまでにこのプログラムが始まって2ヶ月が経ちましたが、勉強内容は濃密ですし、かなりの労力と犠牲を払わないと修了できないことはすでに理解できています。75名で始まったClass of 2024-25ですがすでに参加していない人もいるのは分かります。
平均で20数年近くのビジネスキャリアのある候補者の実力を測る上では、GMAT、TOEFLというスコアよりも、積み重ねてきた実績と推薦者からの推薦状の方が適切な指標であるということなのだと思います。このように考えると、INSEAD Lead the Future Program選考については合理性があるなと思います。
日本企業ではあまり一般的ではないのかもしれませんが、40歳を超える人の転職時には、「Reference letter」、つまり推薦状を求める事がよくあります。海外の会社では転職時に推薦状(レファレンスレター)を求めることは一般的です。特にアメリカやヨーロッパの国々では、転職活動において以前の雇用者からの推薦状が重要な役割を果たします。特に重要なポジションになる程こちらが重要になります。面接しても精々30分から60分です。この限られた時間で面接者の能力と信頼を測定することは難しいと思います。
これは考えてみれば当たり前のことと思います。本質的には人の評価は他人がするものです。自分伝えるものではありません。信用と信頼は、第三者の中にある自分に対する評価です。社会に出て、もう20年も経過しているのに、自分のキャリアの節目で推薦状を書いてくれる方がいないとすればそれは何かがおかしいのだと思います。しっかりとした理由もない転職、責任を果たさない仕事の仕方、そういった働き方をする人を推薦するわけがないのです。日産を転職するときに、自分の上司は転職を応援してくれました。今でも日産時代の知り合いとは付き合いもあります。
私がINSEADの Lead the Future Programの選考を特に準備することなく通過できたのは、これまで普通にしっかりとした仕事を続けて来たことと、信頼を損ねるようなことしてこなかったこと、にあると思います。特別なことは不要です。INSEADは日常からの信頼を積み重ねる事ができる人を求めているのだと思います。
いかがですか?このような普通に一生懸命に仕事をしてきた人は日本にもたくさんいると思います。英語の点数要件もありませんし、是非ともこの記事を読んだ人がINSEADのプログラムに参加されることを願っています。ご質問があれば遠慮なく問い合わせてください。


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