見出し画像

Semantics in Language Space

以前書いた文章に,こんなものがある.

個人的には,数学は非常に物化しやすいものであり,また,宇宙と密接にかかわりながらも形而上の概念としてふるまうという特異性があるため,これは極めてアート的だと思っています.
※物化については『胡蝶の夢』参照
※ここでいう宇宙とは,自然的な万有というイメージ

というのも,人が感じる美しさは宇宙の性質に由来していると考えることが可能だし,現代のアートではコンセプトが重要視されるからです.

また,物化しやすいということは,ミディウムの垣根を容易に超えることができ,それにより多くの作品を生み出せると同時に,その創作行為そのものがある表現性を持ったアートと言えるでしょう.

※全文はこちら↓


読解における構文的解釈についてはよく書いている.

大事なのは,「意味が解らないことは諦める」ということと,「文章を構造的に捉える」ということ.

これは僕の記事に限らず,背景知識が使えない記事を読むときには常に使える考え方だ.

とにかく,背景知識がなくとも,物事を構造的に理解する力があれば,新しいことをどんどん学んでいける

意味論的思考も大事だが,構文論的思考が蔑ろにされすぎている.

(ちなみに多くの場合,意味論的思考がなされているわけでもなく,既存の知識に基づいて物事を勝手に捏造して理解した気になっているにすぎない.)


意味的解釈についてはあまり書いていないなぁと思い,それをちょっと書いておこうかと.



上記の文章において意味が誤解されやすい語としては,「物化」「宇宙」「コンセプト」あたりだろう.

語の意味が誤解されやすいというのは,語の難易度の問題ではない.(難易度の捉え方は個人差があるため,あまり配慮しない
誤解されやすいのは,複数の解釈可能性のある語で,他の解釈をされる可能性が高いと思われる場合である.

「物化」というのは明らかに多義語である.
唐突に「物化」と言われて意味を特定することは難しい.
ゆえに,「『胡蝶の夢』参照」という注釈を入れている.

「宇宙」という語も実は多義語である.
特に,数学のみの文脈においてはIUT理論を参照している可能性を考えるのが妥当だろう.
しかし,今回はその意味ではない.また,「宇宙」という語を漢字的に「宇」+「宙」と解釈するのか,universeの訳語として解釈するのか,によってもその解釈は変わる.
「数学では宇宙というのはどうやって捉えてるんですか?」と質問されたこともある.
それだけ捉え方が多様なので,「自然的な万有のこと」という注釈を入れている.

「コンセプト」も,conceptの訳語としての「コンセプト」とカタカナ語としての「コンセプト」は意味が異なる.
と考えると多義的であると言える.
しかし,今回は現代アートの文脈で「コンセプト」という語を使っているため,「コンセプトアート」の「コンセプト」であることが推測できる.


このように,妥当な推論により意味を絞り込んでいき,語と語の意味的関係を把握しながら読解することが意味的解釈だと,個人的には考えている.



ちなみに,筆者のコンテクストから意味を絞り込むということもある.
というより,それもできれば更に深く意味を理解できる.

その筆者がどんなバックグラウンドを持ち,どんなコンテクストに乗っているのかを理解しないと,本当の意味での理解はできない.

『情緒と日本人』では,著者の岡潔さんが読んだ本が何冊も挙げられているので,まずはそれらを読まないことには話にならない.


本記事のタイトルでは“Space”という語を使っているが,俺が数学をコンテクストに持つことを踏まえればその意味が絞り込める.


基本的にどんな発言も,程度はさておき,発言者のバイアスにかかっている.

僕でいうと,基本的にあらゆることを数学的に考えることしかできない.

その僕の発言は,どんなにフラットであろうとしても,ある程度はポジショントークになってしまう.



さて,「語の意味が多義的である」とはどういうことかを改めて考えてみたい.

ここから先は

784字 / 1ファイル
「自分なら月額1,800円払う」と思う記事を投稿していきます.気の向くままゆるーくお楽しみください.

数学で感動を.体験する喜びを.学び考える豊かさを.

サポートしていただけますと,インプットに充てる時間とお金が増えてとても助かります!