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席主流マニアック序盤講座

こんにちは、席主です。

今回は将棋の講座記事を書いていくつもりなんですが、以前投稿した「金銀の特性」という有料記事を投稿して、ふと思ったんです。

「いきなり有料で講座記事を投稿しても、どれだけのクオリティなのか分からないものに100円支払ってもらえるのか…??」


もちろんですが、講座記事のクオリティは保証できるものにはなっていると自負しています。しかし初めて私の記事を読む人や、有料記事も読んでみたいなという方に向けて、今回は無料記事で投稿してみることにします。今回の記事をきっかけに是非講座記事も購入して頂けると嬉しいです😎


さて、前置きが長くなりましたが、今回の記事はタイトルにもある通り、かなりマニアックです。アマチュア高段者向けといっていいでしょう。その分、内容は充実したものとなっています。まず、この記事で学べることを述べていきます。

①先手番を持った時、先攻しやすい序盤の選び方を学べる
②序盤の数手の出だしの意味を学べる


初手▲26歩編

初手からの指し手

▲26歩↓

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奨励会在籍時、上級者〜有段者の頃の私は先手を持ったらだいたい初手▲26歩を採用していたと思います。理由として、

①戦型を決めやすい

②先攻を取りやすい

という点が挙げられます。②については、昨今の先手番の居飛車の研究が飛躍的に進んだこともあり、流行している戦法のほとんどが「先手の攻め、後手の受け」の構図になっているからです。

では、「①戦型を決めやすい」とは一体どういうことなのか。手順を進めてみます。

▲26歩からの指し手(1)対振り飛車

△34歩▲76歩△44歩▲48銀△42飛…以下駒組み↓

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駒組みの途中の手順は省きましたが、一例として後手がノーマル四間飛車を採用したことにします。

ここから先手は、

①エルモ囲い

②居飛車穴熊

③ミレニアム

と、指したい戦法を選び放題なんですね。もっと言うと▲78玉を寄らないで、「④▲78銀から左美濃」を選ぶことも出来る訳です。それに対し振り飛車側はせいぜい普通に美濃囲いか、振り飛車穴熊にするか程度しか選べません(藤井システムの話をするとややこしくなるので割愛します)。

上に挙げた四つの作戦はどれも優秀で、互角以上に居飛車が戦えます。後手番でこれだけの作戦に対策を練らねばならないのに対し、先手はこの中から一つ選べば良いだけなのでかなり楽です。

さらにさらに掘り下げると、▲26歩△34歩に▲25歩と突いてしまう作戦も有力です。相手がゴキゲン中飛車が得意な場合は、こちらを選択することもできます。既に3手目にして先手の自由度が高いのがポイント。


相手が▲26歩に相居飛車を挑んだ場合も見ていきましょう。

▲26歩以下の指し手(2)△84歩から相居飛車

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▲76歩△84歩と進んだ場面です。まだ三手目ですが、ここで先手は作戦を選ぶ権利があります。

①▲76歩から角換わり

②▲25歩から相掛かり

2手目△84歩という手自体が「王者の一手」とも呼ばれる作戦で、「相手に戦型を選ばれても良いですよ」という意味合いがあるのですが、作戦を選べることは実戦においてかなり重要で、対戦相手の得意戦法が角換わりなら相掛かりを選べますし、逆なら角換わりを選べます。現在ひっきりなしに相居飛車の研究は進んでいる最中ですが、後手で作戦負けせず互角に戦えるのはプロレベルの話で、奨励会有段者クラスで先攻を取れる、かつ作戦を選べるアドバンテージはかなり大きく感じます。

今回の記事では角換わりと相掛かりの具体的な解説手順は省きますが、私の場合は専ら角換わりを選択していました。例の▲48金▲29飛型が優秀だったからですね。私が奨励会に在籍していた当時は角換わりが大流行していたことも採用の理由に繋がっていました(研究しやすかった為)。

このように、初手に▲26歩を選択するだけで戦型選択の時点でのアドバンテージを取りやすくなることが分かります。初手▲26歩のまとめとして、角換わりもしくは相掛かりに自信のある場合は初手▲26歩がオススメとしておきます。


この記事の最後に、初手▲76歩を選んだ場合の考え方について話して終わりたいと思います。

初手▲76歩編

初手▲76歩↓

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私が仮に後手を持って指したとして、相手に▲76歩と指されたら、「振り飛車が指したいのかな?」と思います。先程述べた通り、相居飛車に自信があるなら▲26歩と指せばいいわけで、▲76歩だと相掛かりを選べないのが微差ながら若干損な気がします(作戦を元々決めているので選べなくても気にしないよ、というプロもいるとは思います)。

かといって、▲76歩が別段損な初手という訳ではありません。「王者の一手」△84歩なら、▲56歩が選べます。

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「先手中飛車」と呼ばれる作戦ですね。振り飛車ながら先手番のアドバンテージを活かして攻勢を取りやすい優秀な戦法です。記憶が定かではないのですが、菅井八段の三手目▲56歩の局面の勝率は一時期8割を超えていたと思います(今も、かもしれません汗)。


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△84歩に▲68銀も考えられます。純文学とも呼ばれる矢倉の出だしですね。一時期、左美濃急戦を始めとした後手側の新作戦に苦戦を強いられましたが、近年復活傾向にあります。じっくり組み合いませんか?という意味が根底にある戦法です。


また、▲76歩に△34歩なら、▲26歩で横歩取りか対抗形か、後手側が選ぶという展開になります。▲26歩の局面は初手▲26歩からの出だしに合流します。が、同じ局面でも棋譜としての意味合いは細かく違います。

横歩取りは現在勇気流や青野流といった急戦の定跡が優秀とされ、後手が苦戦しているイメージです。今度勇気先生の本が発売されるそうなので席主も買ってみようと思っています。笑

▲76歩△34歩の出だしでは他に▲75歩から石田流を目指すのもオススメな戦法だと思います。

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この、「先手番で中飛車と石田流を使い分ける」というスタイルは約10年ほど前にプロ間でも爆発的に流行していました。現在は研究が進み振り飛車側も簡単ではありませんが、「攻勢を取りやすい」という意味で紹介しました。


いかがでしたでしょうか。序盤の数手に拘って指してみるのも結構面白いものですよ!

少しでも皆さんの棋力アップに繋がれば嬉しいです😂もし良ければ他の記事も読んでください!!Twitterのフォローもよろしくお願いします〜(@hige_sekishu)


ではまた。

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