苦境から生まれた戦法⑥

前回からの続き。

狂気の▲3六歩戦法バージョン2を引っ下げ、ついに有段者になれた僕は、相変わらず▲3六歩を指し続けていました。有段者相手だと大体四間飛車にされることが多かったです。

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駒組みの手順は省きますが、四間飛車相手だと穏やかな展開になることが多いです。ここまで進むと通常の対抗形に近い形になります。

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数手進んで上の局面になりました。下手は四間飛車相手には引き角にするのが工夫です。▲2四歩からの仕掛けが見えているので△2二飛と指すとどうなるでしょうか。

△2二飛▲1六歩△1四歩▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香(下図)

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端攻めを狙って行きます。▲3六歩と突いてあることで、引き角が1三の地点を狙っているのを阻害されないのがポイント。

上図から指し手  △1三歩▲2五歩

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最後の▲2五歩で決まりです。放っておいて▲2四歩と取られてはいけませんし、△同歩なら▲1三香成でそれまで。既に上手投了級です。

△2二飛と下手に対し受けに回ると上手が失敗します。振り飛車の上手い有段者は、△4五歩と突いて来ることが多かったです。

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これにはすぐに▲2四歩を敢行します。

▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲2五歩△4四角▲5七角

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▲2四歩からはお互い通い慣れた道です。習いある手筋の攻防ですが、最後の▲5七角がポイントで、後の▲6六角のぶつけを見て下手十分。上手は△3三桂と跳ぶと角を成られてしまうという香落ちの呪いを受けている為、辛いです。

▲3六歩戦法対△四間飛車の戦いは、終盤で逆転負けする以外はほとんど下手を持って有利に進められていたので、優秀な戦法だと思っています。


そんな中、世間は電王戦の話題で持ちきりとなり、人間側が敗北しAIの強さを認めざるを得ない状況となりました。この頃から棋士だけでなく奨励会員もソフトを使った研究を始めたような気がします。


当然、平手の研究だけでなく、香落も、です。

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