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【ハチャメチャに】古代メキシコ展に赴いた【個人の感想】

先日、東京国立博物館で行われていた古代メキシコ展に行った。幼い頃から、特別詳しくはないものの古代文明に興味のあった私には堪らない魅力があった。(積極的に調べたことのあるものはシュメール文明だったが、遠い昔の自由研究として手を出したものだったから正直記憶が薄いし、今回の展示には残念ながらシュメール文明は関係がなかった。いつかシュメール展など開催される日が来たならその時は是非行きたい。)
こういった展示を見に行くのは5月に行ったルーヴル美術館展以来だったので、楽しみで胸を躍らせて会場内に足を踏み入れた。



展示入り口


死のディスク石彫

私の記憶にこびりついて離れないのは、今回の展示の目玉の一つであるこの死のディスク石彫だ。
写真からもわかるかもしれないが、この石彫はもう兎に角、あまりにも大きい。デカい!!!!
まさかあんなにも大きいとは予想していなかったので私は思わず目を丸くしてしまった。インパクトでしかなかった。
この石彫は、テオティワカン文明においてつくられたもので西に沈んでいった太陽を表している。それを表すものが何故死のディスクと呼ばれているのかというと、太陽が沈む=太陽が死ぬ、と捉えられていたからだそうだ。なんと西に沈んだ太陽は水の地下界を彷徨うらしい。この石彫以外にも地下界という概念を含むものが展示を眺めていくと幾つか出てくるのだが、中々興味深いと思った。

この古代メキシコ展の音声ガイドは上白石萌音さんと杉田智和さんだったのだが、この死のディスク石彫の解説は何度もきいた。最近一人で展示を見に行った際には音声ガイドがあれば必ずきくようにしている。結構面白くて、キャプションには書ききれなかったことが短い間でも詳しく解説されているので効率良く対象について知れる。私の場合こういった展示を見た後は図録が販売されていれば必ず購入するので、後からじっくりとより詳細な解説を読む事ができるのにわざわざ音声ガイドをきくのはお金が勿体無いではないか、と思われるかもしれないが個人的には全く問題がない。展示の前に立ち、目も耳もその世界の支配下に置かれるという状況はとても心地が良い。音声ガイドをまだ利用したことのない人は是非一度は利用してみてもらいたい。意外にもハマってしまうかもしれない。

ところで、最近私はジョジョにハマっているのだが音声ガイドに杉田智和さんが登場すると知った時はハッとした。若ジョセフ………!第二部ジョセフじゃあないか!!!!!しかもこの展示にはアステカも登場する…!おお、石仮面!!!!!オサ!オサ!
私が何を言っているのかさっぱりわからねえ、と思われる方はどうぞジョジョの奇妙な冒険第二部戦闘潮流を履修してください。損はさせません。
きっと私以外にもアステカ×杉田智和さんの組み合わせにわくわくしてしまった人は居るんじゃあないのかな。とはいえ今回の音声ガイドでは杉田さんは雨の神として登場するし、そもそもジョジョコラボだとかそういうキャスティングではないので決してジョセフを期待していた訳じゃない。単純に此度の音声ガイド、にこにこして楽しめました。上白石萌音さんとの掛け合いも可愛らしかったなあ。満足。



96文字の石板

意外にも、なのかやはり、なのか…。わからないが、今回の展示では死のディスクと同じくらい石板に興味が湧いた。自分ってこういったモロに文明を実感できるようなものが好きなのか、と新たな発見。こういうことがあるから展示にはマメに行きたくなるんだよなあ。
この石板、あまりにも美しい。くっきりと、そしてなだらかにマヤ文字が刻まれている。食い入って見てしまって、どれほどの時間これを見ることに費やしたかわからない。ロマンというか、月並みな言葉でしか表現できないことが情けないがそういったもので胸が溢れるような心地がした。この石板に一体何が記されているのか、そういったことを調べる調査員に尊敬と憧れを抱いた。

考古学者って素敵だよなあ。私は昔からインディ・ジョーンズが好きで、アクションシーンは勿論のこと何よりもインディが大学で講義をするシーンなど物凄くわくわくして見ていて、考古学に関して眩暈がするような憧れを抱いていたのだった。結局これっぽっちも考古学の道に足を踏み入れることなくちんたらそこらをほっつき歩いている情けない大人になってしまった訳だが。うーむ、何を間違えてしまったのやら。


赤の女王のマスク等

此度の展示の目玉その2、赤の女王。
展示のされ方からして博物館側の震えるまでの気合いを感じさせられた。赤の女王は厳かに、静謐に、そこに横たわっていた。
マスク、装飾品………近寄ることを躊躇ってしまうような華々しさと威圧感にごくりと唾を飲んでしまう。心臓を掴まれたような心地がして、なんだかくらくらした。他の展示の前では小さい声で会話をしながら楽しんでいた人たちも、(批判ではありません!小さい声でならコミュニケーションをとっても良いと思います…!)赤の女王の前では声を出すことも憚られたようでその空間にはただ静寂が広がっていた。
その展示室を出た後、無意識に肩が上がってしまっていたことに気がついた。張り詰めたような緊張感があの展示室にはあった。上がってしまっていた両肩をゆっくりと下げて、深呼吸。貴重なものを見ることができて感無量だ。
ちなみに何故赤の女王と呼ばれているのかというと、それは出土状況に由来するという。出土された当初、遺体は真紅の辰砂に覆われていたらしい。
何かを出土する際の私の勝手なイメージは、土埃の舞う中で茶色や砂色の彫刻などを発掘するというようなベタなものだったので、そんなにも鮮やかな赤を遺跡調査において目にすることができるものなのかと驚いた。赤の女王の出土状況を記録した写真などは少し調べてもらえればすぐ見つけることができると思うので、興味の湧いた方は是非検索して見てほしい。きっと思わず息を呑んでしまうことだろう。


猿の神とカカオの土器蓋

個人的に可愛いな〜〜!と思ったものがこれ。猿の神。カカオ………カカオ………カカオかあ………。今回展示されていたものって結構非現実的だったり、そもそも何を造形したものなのかわからなかったりしたのだがこれは相当はっきりと今を生きる私たちにも何が表現されているのか目に見えてわかるタイプのものだと思う。うん。猿。猿が造形されているッッ!(正解)
色合いが何よりも可愛い。全然玄関の棚に置いて毎朝毎晩行ってきますとただいまをこの子に言いたい。それくらいお気に入りだ。


公式図録


ちなみに公式図録の方は表紙を赤の女王のマスク、死のディスク、鷲の戦士像の三種類のいずれかから選ぶことができたのだが、勿論私は死のディスクを選んだ。ウーン、かっぴょいい!!!!


今回はこの展示を見た後に舞台に行く予定があり、スケジュールがみっちみちだったのでドタバタしてしまったが、それなりにこの展示を楽しむことができて非常に満足である。この展示が開催されると聞いた時からどうしても行きたいと思っていたので、会期終了間際にはなってしまったが多少無理してでも行って良かったと思う。
自分の中で新しい発見をすることもできたし、やはりこういったイベントには積極的に赴くことが大事だなあと実感した。

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