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【完全に】ヴァグラント観劇レポート【個人の感想】


1階ロビー

『a new musical VAGRANT』を観劇した。計2回である。主演等ダブルキャストだったのだが、私は廣野凌大くんのファンなのでどちらも廣野くんが出演している回を観た。
完全オリジナルミュージカルとのことだったので、本当に内容が分からずほんの少しだけ困惑した。私の動揺を救い出したのはプロデュースするのがポルノグラフィティの人なので音楽は良いものな気がする、という根拠なき期待と明治座のお弁当美味しいんだよなあ、という圧倒的食欲、そして応援している舞台俳優が明治座の公演で主演として抜擢されたという超弩級の感動であった。3コンボ、オーブラボー!!


あらすじがよくわからないまま、それでもドキドキワクワクしながら迎えた個人的初日。Twitterで(Xなんて言うのは許しませんよ)同担のフォロワーさん達が絶賛していたので、途轍もない喜びと希望を胸に私は意気揚々と明治座の三階へ向かった。すみませーん、ヴァグラント弁当を予約しているのですけれども〜!


ヴァグラント弁当

ォ〜〜〜〜〜〜!!!ぐっど😭😭😭
口に入れた瞬間、明治座のお弁当特有のあの濃い味が脳髄まで行き届いて私を幸福で切り裂いた。もはや美味し過ぎて身も心も痛かった。美味しかった…………


お腹が満たされてご満悦、となったところで自分の座席を確認して始まるまで待機。あの静かな時間が私は堪らなく好きだ。


1日目
2日目

以下、一日目も二日目もごちゃごちゃな感想。
思ったことを書き殴るだけなので、そこのところはご了承ください。(観た回の役者さんで得た解釈のみ)

【佐之助】廣野凌大さん
流石にこの男について語ることは外せない。そもそも主人公、そして尚且つ私の推しだ。

なんと言っても、歌………歌声が本当に良かったですね?
マレビトの矜持、何度でも聴きたい。サブスク配信はまだですかー?
佐之助の身体から溢れ漲るあの明るい光には、何度か泣かされそうになった。圧倒的なまでに周囲を引き寄せるあの引力………いや、惹き寄せる暴力的なまでのあの魅力はなんだろうか。でも、あれだけの光を放っておきながら佐之助には膨大な影が差し掛かっているように思われる。これは否定的な指摘ではなくて、佐之助がそうあるからこそより一層輝くのだという根拠である。
作中でも少し語られていたように、佐之助には過去「何か」があった。それは真っ黒で、血生臭く佐之助自身の記憶からごっそり抜け落ちてしまった暗部だ。佐之助はその何かがあったが故、心に埋まっていない部分がある。自分の中に弱さがある。
その欠陥が、堪らなく良い!!周囲は佐之助の過去を知らなくとも、佐之助の在り方に共感を覚える。滲み出るものに惹かれる。自分でも覚えていない黒い過去があろうとも、佐之助は前を向いているのだ。
どこまでも光を放つ眩しい存在があると、周囲はその光に耐えられず灼けてしまう。近付けなくなる。しかし佐之助には小さな翳りがあるので、周囲は佐之助がどんなに光り輝いていたとしてもその目で真っ直ぐに捉えることができるようになるのではないだろうか。この部分に、私は佐之助の魅力の理由の一つを見出したいと思う。


【桃風】美弥るりかさん
桃風様、ちょ〜っとお美し過ぎません???
うっとりしてしまいましたけれども??あまりにも素敵だった……。
桃風様に関しては、彼女のチカラの方に興味がある。
悲しみをほんの少しだけ吸収するチカラ…。それって桃風様の方にその悲しみが蓄積するってことで良いのかしら?そうだとしたら、これほど人の心に寄り添うためにあるチカラは無いだろうと思う。ある意味で、自己犠牲的なチカラだよな。悲しみを取り除くってチカラだったのなら、自己犠牲的な要素はあまりなかったと思うけど桃風様のそれは吸収するんだものね。なんて優しいチカラなんだろう。
桃風様ってマレビトの掟を大事にするし、人様と交流を持とうとする佐之助をよく嗜めるけど…。それって人の感情の機微とかその人の抱えているものを理解してる上での行動なんじゃないかなあ、と思ったり。
チカラの事よくわからないけれど、その悲しみを吸収する時って苦しんでる人の心の中を探る動作をするわけじゃない、多分。そして、そのチカラを操る本人が悲しみとはどういうものなのか、というのを知らなければ悲しみを探り当てることって出来ないんじゃないのかな。胸に手を当てたら悲しみの感情に即コネクトします!ってそんな簡単仕様だったら私のこの考察は無駄打ちになる訳だが………まあ今が楽しいのでそれでOKです。
そして話を続けたいんだが、マレビトのそのチカラってやつは生まれ持ってくるものなのかな。それとも突然開花するものなのかな。前者ならば生まれながらにしてヒトの悲しみを和らげることこそが彼女の使命であるということになるだろうが、後者ならば彼女が何かそのチカラを得る事になったきっかけや想いがあったはずだよな、と考察してみたりした。桃風様の過去が知りたいよ〜〜〜!
ところで桃風様、ラップシーンカッコ良かったね。ヒプステのオタクとしては突如ヒプステが始まったと思って吃驚したが。あのシーンとても好き。可愛くて色気のある桃風様が見れる。桃風様に触れられるなら命だって惜しくないね!

【譲治】上口耕平さん
この人は本当に素敵な人だな……!私譲治大好きだ!
Twitterでも書いたことなんだが、譲治は本当に賢い男だと思う。理知的で、感受性も豊かな人。そうじゃなかったら、「自分たちの掘った石炭が自分たちの代わりに船に乗って外の景色を見に行くんだ」なんて歌えないと思う。(あの歌大好き〜〜〜〜)労働組合を仕切る人間として厳しく強い目を持っている反面、そんな穏やかで愛のある心を育てているその人柄が堪らない。
理性的で夢を見ることだって出来るこの譲治が、炭鉱の苦しい労働状況・現場を知っている人間だということが、私はひどく喜ばしいことのように思う。
もし譲治がここに居なかったら、きっともっと早くからあの環境は壊れていたのではないかと思う。
頭の良さで言えば政則だって当然その頭脳を褒められて良いはずだけれど、彼は譲治ほど現場を知らないはずだ。彼はあくまでも経営のやり方などそちらの方面で活躍するように育てられた人間のはずだから。


【政則】水田航生さん
政則くん、君にはたくさん言いたいことがある。にいちゃんアンタ何がしたいんだ?????だぜ。
政則のことは嫌いとかじゃないんだが、純粋にエゴイストだなあと思った。山のみんなを幸せにしたいって気持ちは間違いなく本物だと思う。けれど、なぜだか気持ちが一方通行で…。
政則はきっと、良い学校に行きしっかりとした教養を身につけた人間だ。というか絶対にそうだ。そうでなければ経営なんて任されない、社長になんてなれないだろうから。でもだからこそ、政則は堂々たるエリートのまま現場と向き合おうとするべきではないと思うのだ。
政則は当初、坑夫たちに寄り添っているようで寄り添っていなかった。現場の声を聞けているようで、聞けていなかったと思う。それに加えて父親___会長から与えられるプレッシャーというものも計り知れず。精一杯背伸びをして、頑張っていたけれどどうにも上手くいかない。
状況は次第にどうしようもなくなって、理論とかそういったものをぶっ飛ばして最終的に彼は事態に体当たりで挑もうとする。理性も何もかも捨て去って、命を賭けてでもヤマの皆の幸福を獲得しようとした。あの覚悟には思わずグッと来た。譲治が「守りたいお前を」と歌ったフレーズのあとに、それに繋げるように政則が「守りたいお前も」と歌ったことに対してはもう少年漫画的なアツさがあった。やはりダチ、幼馴染……感動した…。
一番成長したのは政則よな。でも佐之助がトキ子の不眠を心配して眠らせただけなのに話も聞かず罰則を与えたことに関しては許さんぞ!(マレビトの掟の問題だとか大事なトキ子を傷つけられたかも知れないという不安と怒りの感情だとか色々あることは理解してるけどネ!!) 

あ!そういえば思い出したぜ!汚れた作業着を着た坑夫たちに対して、真っ白でまるで汚れることを意図していない政則のスーツに思わず「皮肉だなあ」と思ったんだった!まるで経営者と労働者が相入れないことを視覚的に表現しているように思えてゾッとしたのよ。最終的に皆で闘って、会長からの「好きにしろ」を引き出し一先ずはヤマの希望が見出すことができたので良かったけれども!



【トキ子】小南満佑子さん
10年間、母親が死の間際に呟いた遺言に縛られ続けていたトキ子。
トキ子って本当に心優しい人間なんだと思う。そして強い。復讐に心を侵された人間って、もうどうしようもなくなってしまって周囲の事に関して目を配れなくなる。復讐復讐復讐だ、と盲目になってしまう。けれどトキ子は、復讐に心を苛まれていた物語序盤でもチサちゃんに優しくしたり、炭鉱で働く女性陣に文字を教える約束をしたりしている。彼女は自分のことで一杯一杯だと作中で語っていたが、そうは言っていても彼女の一挙一動には愛があった。両親を失った悲しみや憎しみに胸が押しつぶされそうになっても、彼女の本質は決して揺らいだりしていない。それは強さだと感じる。そういうところに政則は惚れたのかなー、とか考えちゃったり。


【健三郎】平岡祐太さん
健三郎、あいつはとんでもない悪党ですよォ!
でも全然嫌いじゃないです。寧ろ好き。
だってあそこまで潔く黒を受け入れて、沈み切るとこまで沈み切ることのできる人間そう多くはないですよ。好印象です。何かを後悔していたり、終盤でもし彼の善性が出てきていたら私は残念に思っていただろうと思う。
今の彼の中にあるのは完全なる闇で、中途半端な悪なんかじゃなくあの欲望渦巻く裏の世界で徹底的なまでの悪を貫き通した彼の態度は最高だった。アケミの店で10年前の事故の話を聞いていた時も、その顔に浮かぶのは後悔なんかじゃなく………単純に当時の状況を思い返している無心か、はたまた犯人がバレる事に対する焦りか……そんな空虚な表情だった。もう落ち切るところまで落ちている健三郎が、希望を見出そうと奮闘する政則に捨て台詞を吐くあのシーンは、最後までヒールを貫いていて素晴らしかった。



ずーっと書いていて疲れてしまった。
今回はここまで垂れ流して終わらせようかと。
最後にちょっとだけ。

明治座の舞台の上に立つ廣野くんが見られて、最ッッ高に幸せな心地がしました!有難う!!!


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