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「観る将」が観た第44期女流王将戦第三局

10月28日に、第44期霧島酒造杯女流王将戦三番勝負第三局が、東京の将棋会館で行われました。1勝1敗のタイスコアとなり、里見香奈女流王将が勝って防衛を果たすのか、西山朋佳女王が勝って白玲を奪取されたリベンジを果たすのか、大注目の一局となりました。

相振り飛車から対抗形に

改めて行われた振り駒で先手となった里見女流王将が中飛車に振ると、西山女王は向かい飛車に振ります。里見女流王将はすぐに飛車を2筋に戻して、第二局と同様に対抗形の将棋となります。前局では穴熊に囲った西山女王でしたが、本局では美濃囲いから高美濃を目指します。

押さえ込み

里見女流王将は3筋から仕掛けて飛車を3筋に寄せますが、西山女王は銀交換の後、銀を打って先手の飛車を押さえ込みます。西山女王は飛車で7筋の歩を取ってから5筋に戻し、2筋の桂頭を歩で叩きます。里見女流王将は桂を1筋に跳ねてかわすと、銀で飛車を追ってから▲1三桂不成と桂取りに飛び込みます。西山女王は歩で銀を吊り上げて飛車を銀に当て、里見女流王将が桂を成って桂と香を取る代わりに銀を取ります。

香の2段ロケット

里見女流王将が金銀両取りに桂を打って金と交換し、取った金と香で飛車を追うと、西山女王は飛車を見捨てて△6三桂と打って金を取り返します。西山女王は8筋に香を2枚打って突破すると、成香で桂と金を取って先手玉を追い詰めます。里見女流王将が飛車を走って下駄を預けると、西山女王は△4七金と打って右辺への脱出を阻み、鮮やかに寄せ切りました。

まとめ

本局は第二局に続いて、里見女流王将が中飛車から居飛車に戻しての対抗形となりました。里見女流王将の飛車が押さえ込まれたのに対し、西山女王の飛車は縦横無尽に動き回って先手陣を切り崩しました。西山女王は飛車を見捨てて2枚の香で突破すると、左右から挟撃態勢を作って寄せ切りました。
この結果、西山女王は2勝1敗で前期奪われた女流王将の奪還を果たし、女流二冠に返り咲きました。来週には、里見倉敷藤花に西山女流二冠が挑む三番勝負が始まります。2人の好敵手同士の戦いはまだまだ続きますので、今後も白熱した好勝負を期待したいと思います。

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