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第5回ABEMAトーナメント エントリートーナメントの結果(関西ブロック)

4月9日、第5回ABEMAトーナメントの最後の1チームを決める戦い、エントリートーナメントが放映されました。前週に放映されたドラフトに漏れた棋士の中から、117名が参加したエントリートーナメントを誰が勝ち上がったのか、確認しておきたいと思います。

42名が参加した関西ブロックは、準決勝に中村亮介六段、村田顕弘六段、大橋貴洸六段、冨田誠也四段の4人が勝ち上がりました。

準決勝:村田顕弘六段 vs 中村亮介六段

後手の中村六段が得意とする四間飛車に振ると、村田六段は飛車を六段目に浮いて急戦調の駒組みを進めます。中村六段が飛車を3筋に、更に2筋に振り直すと、村田六段は3筋と5筋の歩を突き捨てて仕掛けます。プロらしい歩の小技を利かせた応酬があり、村田六段が先に竜を作りましたが、中村六段も"と金"を作ります。村田六段が角を切って攻め掛かり一気に終盤戦に突入すると、中村六段は角2枚を自陣の守りに利かせます。村田六段が角を取りに行くと、中村六段は角を取らせる間に"と金"攻めで先手陣の金銀を剥がします。中村六段は△8八金と先手玉の挟撃態勢を作って下駄を預けましたが、時間を残していた村田六段がじっくり考えて▲4四竜と金を取った手が詰めろ逃れの詰めろとなり、中村六段の投了となりました。

準決勝:大橋貴洸六段 vs 冨田誠也四段

本局も後手の冨田四段が四間飛車に振り、大橋六段は箱入り娘と呼ばれる陣形を作って3筋から仕掛けます。大橋六段は銀を犠牲にして後手陣の桂香を拾いますが、冨田四段は"と金"を作って攻め込みます。大橋六段は9筋から端攻めし、▲4一角と飛銀両取りに打って飛車と角を交換します。端を突破した大橋六段が▲9一飛と打って後手玉に迫ると、冨田四段は△7三玉~△6三玉と逃がし、△9八飛~△9九角と打って反撃します。大橋六段は▲7二成香と銀を取って下駄を預けましたが、冨田四段は△6八"と"と金を剥がし、少し考えて△8八角成と詰ませに行きます。詰むや詰まざるやの攻防となりましたが、冨田四段はそのまま長手数の即詰みに討ち取りました。

決勝:冨田誠也四段 vs 村田顕弘六段

先手の冨田四段が準決勝と同様四間飛車に振り、村田六段も準決勝と同様に飛車を浮いて急戦の構えを見せます。村田六段が7筋から仕掛けると、冨田四段は飛車を7筋に振り直して受けます。村田六段が8筋の歩を突き捨ててから△7五銀と前進すると、冨田四段は銀をぶつけて交換します。冨田四段が桂を交換して▲2六桂と打つと、村田六段は△3三角とかわし金を上がって桂を取りに行きます。冨田四段は手厚く持ち駒の銀を投入して桂を守りますが、村田六段は銀を取らせる間に玉頭の目障りな桂を歩で除去します。村田六段が△5六歩と金頭を叩くと、冨田四段は▲6六金と金を捨てて▲5三銀不成と飛金両取りに飛び込みます。冨田四段が▲5二銀不成~▲5三角成と後手陣に殺到すると、時間に追われた村田六段は自陣に飛車を投入して執念の粘りを見せます。4分近く残していた冨田四段でしたが、わずか10数秒の考慮で決断良く▲3二金と踏み込み鮮やかに寄せ切りました。

冨田誠也四段のプロフィール

2020年プロ入りの26歳です。実質1年目となる昨年度は32勝16敗(勝率0.667)で、勝ち数ランキングは11位、勝率ランキングは15位でした。
今大会では、星野五段、狩山四段、小森五段、大橋六段、村田六段を破ってエントリーチーム入りを果たしました。フィッシャールールは糸谷八段と練習した程度とのことですが、終盤まで時間を残していることが多く、抜群の適応力を見せました。

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