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「観る将」が観た第10期女流王座戦第二局

11月10日に行われた女流王座戦五番勝負第二局を観た感想です。先勝した西山女流王座が一気に王手を掛けるか、里見女流四冠が巻き返しタイに戻すかという一局になりました。

注目された戦型は、先手の西山女流王座が3手目▲7五歩から三間飛車に振ると、里見女流四冠は穏やかに玉を4二~3二に移動して居飛車に構え、対抗形の将棋となりました。

里見女流四冠が7筋の歩交換で1歩を手にしてから△6五歩と仕掛けると、西山女流王座も強く同歩と応じます。里見女流四冠が角交換から△5五角と絶好の位置に角を打ち、激しい中盤戦に突入したところで昼休となりました。

昼休明け、西山女流王座は▲5六歩~▲3六桂と角を追い、▲6四歩~▲7四角~▲6三銀と猛攻を仕掛けますが、里見女流四冠は落ち着いて△7八龍~△4二金寄と受けました。これが好手だったようで、苦しくなった西山女流王座が龍を見捨てて馬を切る攻撃を見せましたが、里見女流四冠は凌ぎ切ると△6七歩成から反撃します。△6六角と攻防に角を打った後、思い切りよく△5九飛成と切り捨てた手が決め手となり、最後は即詰みに討ち取りました。

本局は、相手に先に飛車成を許しながら敵陣に殺到していった西山女流王座の攻撃も迫力がありましたが、反撃に転じてからの里見女流四冠の電光石火の寄せが上回る形となりました。「出雲の稲妻」と呼ばれる里見女流四冠に相応しい会心譜だったと思います。

これで両者1勝1敗となり、五番勝負の行方はまったくわからなくなりました。第三局以降も熱戦を期待したいと思います。

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