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第81期順位戦B級2組の展望

今期の順位戦のB級2組は、26人が参加して10局ずつ戦い、上位3人が昇級し下位6人に降級点(*)が付きます。前期は8勝2敗以上の3人が昇級を果たし、2勝8敗以下の4人と3勝7敗で順位の低い2人に降級点が付きました。今期も混戦が予想されますが、昇級に向けては8勝を目指して戦いたいところです。

今期の注目棋士をリストアップしておきたいと思います。

木村一基九段
1997年プロ入りの48歳。タイトル獲得1期(王位)。
前期はB級1組で3勝9敗となり、まさかの降級となりました。昨年は王座戦五番勝負を戦っており、まだまだ老け込む年齢ではありません。前期は丸山九段が果たしたように、1期でのB級1組返り咲きを期待します。

増田康宏六段
2014年プロ入りの24歳。
東の天才と呼ばれた俊英も8年目となり、そろそろ飛躍が期待されます。前期は7勝3敗の好成績でしたが、昇級には届きませんでした。今期は順位戦昇級はもちろん、タイトル争いにも絡む活躍を期待しています。

髙見泰地七段
2011年プロ入りの28歳。タイトル獲得1期(叡王)。
C級2組在籍時にタイトルを獲得して話題となりましたが、失冠して以降なかなかタイトル争いに絡めていません。前期は5勝1敗の好スタートを切りましたが、終盤の4連敗で昇級争いから脱落しました。今期こそ昇級を果たして飛躍して欲しいと楽しみにしています。

深浦康市九段
1991年プロ入りの50歳。タイトル獲得3期(王位)。
粘り強い棋風は健在で、昨年度は藤井竜王に2勝を挙げてキラーぶりを発揮しました。前期は3勝7敗に沈み降級点争いとなりましたが、むしろ昇級を争うべき実力者だと思います。

大橋貴洸六段
2016年プロ入りの29歳。
前期はC級1組で1回戦に敗れたものの、9連勝して1位となり連続昇級を果たしました。先日行われた王座戦の挑決トーナメントでプロ入り同期の藤井竜王を降し、対藤井戦に4連勝している実力者です。升田幸三賞を受賞した深い序盤研究にも定評があり、3連続昇級の期待が掛かります。

藤井猛九段
1991年プロ入りの51歳。タイトル獲得3期(竜王)。
言わずと知れた振り飛車御三家の一角を占める、羽生世代の一員です。前期は2勝8敗で、まさかの降級点が付きました。ここ数年公式戦の成績は振るいませんが、今年はABEMAトーナメントで藤井竜王と同じ組で注目されることもあり、復調を期待したいと思います。

前期に中堅の有力者が昇級して抜けたこともあり、今期は本命不在の混戦が予想されます。上記注目棋士以外にも、抜け出してくる棋士が現れる可能性は高く、どのような展開になるのか楽しみにしたいと思います。

(*)降級点  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B級2組以下のクラスでは、成績が悪くても1期で降級することはなく、成績下位の一定人数に「降級点」がつけられる。降級点はB級2組とC級1組では2つ累積、C級2組では3つ累積すると降級する。

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