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「観る将」が観た第11期女流王座戦第二局

11月15日、第11期リコー杯女流王座戦五番勝負第二局が横浜市の「ヨコハマ グランドインターコンチネンタル ホテル」で行われました。第一局を落とした西山朋佳女流王座が巻き返すのか、女流王将を奪取して五冠に返り咲いた里見香奈女流五冠が女流王座奪取に王手を掛けるのか、注目の一局となりました。

先に里見女流五冠が濃紺のスーツ、西山女流王座が藤色のワンピースで入室します。先手の西山女流王座は初手▲7八飛と三間飛車に振り、里見女流五冠は2手目△5四歩から14手目に2二飛と向かい飛車に振り、相振り飛車の将棋となりました。西山女流王座は8筋に飛車を振り直してから9筋の位を取り、里見女流五冠は美濃囲いに構えます。西山女流王座は飛先の歩を交換してから金無双を完成させ、お互いに左桂を跳ねて玉頭攻めを狙います。

里見女流五冠も飛先の歩を交換すると、西山女流王座は▲9四歩と仕掛けます。▲9三歩を桂で取らせて▲9四香と走ったところで昼休となりました。各3時間の持ち時間の内、残り時間は西山女流王座が2時間15分、里見女流五冠が2時間9分と拮抗しています。

昼休明け、里見女流五冠は力強く△7四金と上がって先手の角に圧力を掛けます。西山女流王座も強く角を切って角金交換となり、▲9九香と打った局面は早くも一手詰めの詰めろです。里見女流五冠は王手で竜を作りますが、このタダで取れる竜を取ると先手玉は詰んでしまいます。西山女流王座が玉を引いてかわすと、里見女流五冠も玉を引いて詰めろを逃れます。西山女流王座は桂で後手玉の退路を封鎖し再び詰めろを掛けますが、里見女流五冠は銀を引いて詰めろを逃れます。

両者の残り時間が1時間を切りましたが、西山女流王座は攻め続けて▲9三香成と詰めろを掛けて下駄を預けます。先手玉には即詰みが生じているようで、里見女流五冠はわずか1分の考慮で△3八香と王手します。西山女流王座は数手指し続けましたが、90手目のタダ捨ての△2八同竜を見て投了を告げました。

本局は西山女流王座が積極的に仕掛けましたが、何か誤算があったのか寄せ切れませんでした。里見女流五冠は巧みな受けで凌ぐと、チャンスを逃さず鮮やかな即詰みに討ち取りました。これで挑戦者の里見女流五冠は女流王座奪取にあと1勝となりました。女流王将を奪われた西山女流王座としては何としても巻き返して防衛を果たしたいところだと思います。次局は先手番となる西山女流王座が、どのような将棋を魅せてくれるのか楽しみにしたいと思います。

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